何十社と届く不採用通知。「自分の何がいけないの」と落ち込んでもまだ頑張れると奮起して/画像提供:コジママユコ(@cotori9)

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大学4年目の12月で内定が決まっていなければ、新年度の入社は厳しいと言われる。人生の大きな転機である就職。スムーズに内定をもらえる人は少なく、就職白書2022のデータによると、平均27社は落ちていることになる。不採用の連絡を受けるたび「自分のどこがいけないんだろう」と悩み、就活が憂鬱になる人も多いのではだろうか。今回は、就活で苦労している人に贈る、コジママユコ(@cotori9)さんの「就活で死なないで」を紹介したい。

【漫画】本編を読む

■就活に苦しんだ人、就活のシステムにわだかまりを感じる人にこそ読んでほしい

就活のための心構え、自己分析とアピール方法。どこにでも書かれているような就活に関する資料はほぼ読破した。しかし、何十社受けても採用されない日々が続いたら?

就活中の大学生は、不採用通知が届くたびに「自分のどこがいけないのか?」「採用されない理由は?」と悩み、就活カウンセラーにも通った。明るく見えるように「笑顔」や「化粧」にまで気を使った。

面接官が「熱意を伝えたいなら手書き」と言えば履歴書は手書きで書いたり、できるかぎりの努力をしてきた。しかし、採用の通知が届くことはなかった。

そんなある日、就活に悩む大学生の前に現れた“とめ会”が「参考にお見せしましょう」と見せてくれた映像には、会社の採用人事の内側。会社は個人一人ひとりきちんと見ているわけではなく、会社の都合で必要な人材を選別していたのだ。

何社も不採用だった理由に「自分に非がある」と思い込んでいた彼女。何も悪くないのに「消えてしまいたい」と、病むほどに自分を追い込んでいた就活。しかし、「上手くいかないのは、自分が悪いせいだけじゃないんだよ」と、諭され、心が晴れやかになった。

■実話がベースになった「就活の辛さ」を描く

本作は、コジママユコさんの実体験がベースになっており、就活に行き詰まった主人公が悩み過ぎて自己否定を繰り返し、行き場をなくしてしまう部分もコジマさんのリアルな心情が綴られている。

「本作は、コミチ×withnews『#ミライの就活』」という、漫画コンテストに応募するために描いた作品です。こちらで、大賞を受賞することができました(コジマさん)」

大賞の際には、漫画がYahoo!ニュースでも紹介された。「否定的な反応を覚悟していたのですが、「あなたがダメだったんじゃなく、会社が採用したい人が他にいただけ」「人事担当は正解ではなくお見合いだと思えばいい」「就活がうまくいかないとき、誰も苦しさを理解してくれなくて死にたいと思いつめていたけど、今思うと就活自体が異常だったな」など、多くの共感のコメントを多く頂きました」(コジマさん)

しかし、就活中は誰しも煮詰まってしまうことはある。気分を変えられるようなアドバイスがないか伺うと、「漫画で賞を取るようになり気付いたことがあるのですが、賞に落ちるときは理由が一つだけあって「自分のよりもその賞にふさわしい作品があったとき」です。就活もそうだと思います。他に適任の人がいたから内定が出ないのであって、あなたの人格が悪いからではありません。そのことはぜひ覚えておいてほしいです」と話す。

就活は、過程の一つ。その会社に就職できてもできなくても、自身を否定してネガティブになることはない。なぜなら「社会人になってから就活のこういうところがおかしいと思ってた、という話をする機会が度々あったのですが、社会人で今の就活のシステムを完璧だと思っている人に会ったことがありません。違和感を覚えるのは当たり前のことなので、自分の感覚を大事にしてください」とコジマさんも言うように、就活のシステムにマッチするかどうかだけなのだ。

コジマさんは、その他にも「就活全滅日記」を執筆中。「私の実際の経験をもとに、就職浪人しても内定ゼロだった人が、その後どのようになったかまでを描く内容となっています。就活に苦しんだ人、就活に疑問のある人にぜひ読んでいただきたいです」(コジマさん)。結局、就職してみなければ自分に合っているのか分からない。何のために就活をしているのかわからなくなった人は、ぜひ一読して欲しい。

■取材協力:コジママユコ(@cotori9)