『東京カレンダー』初登場となる、櫻坂46の新センター・森田ひかるさん。

「大人っぽい雰囲気で挑みたかったので、ヘアスタイルはあえてラフな感じに。唇には赤リップを塗りました」と、撮影への意気込みを語ってくれた。

今回は、恵比寿の人気鮨店で五感を満たす握りを体験してもらいながら、森田さんのセンターとしての覚悟を聞いた。


「グループの未来を見据えたら、進化は喜ばしいこと」


ポートレートとは被写体となる人物の個性を生き生きと写し出した写真のことだが、この日、恵比寿の鮨店での撮影を終えた森田さんは、そのカットにメガネ姿で臨んだ。

6枚目シングル『Start over!』のMVを受けての編集部からのリクエストだ。

「もともとメガネが好きで、日頃からコンタクトレンズを付けながら伊達メガネをかけることも珍しくないんです。

ただ、パフォーマンスをするときはちょっと難しいですね。ズレると気になって歌や踊りに集中できなくなりますし、反射で映りが悪くなってしまったり。100%の私をお届けできなくなってしまうので。

それで言うと、6枚目シングルのMV撮影でメガネをかけたのは挑戦でした。なんとかうまくいき、ファンの方からの反響もあったので、良かったです」

その言葉から受けた第一印象は、プロ意識の高い人。夢や希望を与えるのがアイドルだとすれば、自分の見え方を真剣に考える彼女はまさしくそのものである。

本誌の撮影においても片鱗は見られた。彼女は『東京カレンダー』が追求する世界観を想像して自分なりに咀嚼し、どんなヘアスタイルやリップの色が相応しいのかヘアメイクアーティストと一緒に考えていた。

さすがはアイドルのオーディションとしては異例の約3,400倍という競争率を突破してきた逸材である。

また、表現力も卓越している。身長は150.5センチと櫻坂46のメンバーの中で最も小柄だが、そのダンスはパワフルでひときわ目を引く。まるで何かが憑依しているかのようにキレッキレなのだ。

見る者に深い没入感をもたらすのは、表現者が為せる業。ファンからは「カッコよすぎて鳥肌立った」などと絶賛する声が数多く寄せられている。

さて、そんな森田さんといえば、10月18日にリリースされた櫻坂46の7枚目シングル『承認欲求』でセンターを務めることが話題だ。しかも、今回からは選抜制を導入。

選ばれなければその楽曲のパフォーマンスに参加できないし、当然ながらメディアの露出も減る。発表されたとき、森田さんはどんな心境だったのだろうか。

「いつものようなフォーメーションの発表ではなかったので、まずは驚きました。

もともと緊張する方ではないのですが、どうなっていくんだろうという不安から心がざわざわして。選抜メンバーとして3期生の名前が呼ばれていくと、これが変わるということなのだとしみじみ実感しました。

でも、櫻坂46というグループの未来を考えたら喜ばしいことだと私は思います」


「センターにとって一番大事なことは、楽曲に魂を込めること」


森田さんの名前は最後に呼ばれた。センターを務めるのは通算3度目だが、分かったときは嬉しさよりも複雑な気持ちが勝ったという。

「前にセンターを務めたときは先輩たちが脇を固めて支えてくださいましたが、今回は両隣が3期生の後輩なので同じような感覚でいてはいけない。意識を変えなければ」

それを受けて聞いてみた。

“これから楽曲を披露していく上で、センターに求められることとは?”

森田さんは言葉を選ぶようにしつつ、まっすぐにこちらを見て言った。



恵比寿南の交差点からアメリカ橋方面に向かう坂道の途中に店を構える『恵比寿 鮨 藤』。ぴたりと閉ざされた扉と白い暖簾、行灯の明かりが大人のひとときを予感させる


「魂を込めることだと思います。

曲のイメージは詞や音に加えて、表情やパフォーマンスでも作られる。だとしたらそれを表現する者として心と体を健やかに、フラットにしておきたいし、メンバーとのコミュニケーションも大切にしたいですね。

人と人との関係性って意外とちょっとした所作に表れてしまうと思うので」

そうなのかもしれない。例えばギスギスした関係だと素っ気なくなるし、気を遣わなければいけない関係だと、妙にテンションが高くなったりする。

なんでもないふうに演じることはできるだろうが、綻びはどこかに出る。

「だから、積極的にメンバーに声をかけていきたい。それがセンターを務める私の役目なのだと思います」

その言葉を聞いたら、華奢で小柄な森田さんがひと回りもふた回りも大きく見えた。


躍進の年を締めくくる、新センター・森田ひかるの覚悟


櫻坂46にとって、2023年はまさに飛躍の年であり、勝負の年でもあった。

全国ツアーをはじめ、この夏にはフランスのパリと、マレーシアのクアラルンプールで開催された「ジャパン・エキスポ」に立て続けに出演。並行して彼女たちのクリエイティブの源泉に迫る展覧会「新せ界」の開催など、活動の幅を外に外にと広げている。

そうした刺激的な舞台を踏んだり、さまざまな価値観を持つクリエイターやスタッフと仕事をともにしたりすることによって、デビューして5年とは思えぬほどの速さで磨かれているのだろう。

新曲がセンター・森田ひかる体制でどんな広がりを見せていくか楽しみだ。



ふわふわとした身の食感と醤油の香ばしさに森田さんはすっかり魅せられたらしい。「瞬間的な香りはもちろん、脂が溶け出すことで徐々に変化する風味もたまりません」と、完璧な食レポを披露。今年22歳だが、大将と話すときも落ち着いていた


「まずは楽曲を聞いていただきたいです。曲名にもなっている“承認欲求”はいまの時代性を反映していると思いますし、おそらく誰しもが持っている感情です。

どんな方が聞いても感じられることがあると思います。私自身もこの曲と向き合うことで、自分についていろいろと考えさせられました」

ちなみに、この撮影が行われたのは、『承認欲求』のMV発表前。

数週間後、MVが公開されると、開始早々森田さんはメガネ姿で祈りを捧げていた。と思えば、メガネを外し、足で踏み潰す。同時に新たな選抜メンバーによる一糸乱れぬパフォーマンスがシンクロする。

過去に囚われず、常に進化を続けるグループの象徴として、強烈なメッセージを放っていた。

「パフォーマンスもみんなで一丸となって頑張りました。

メンバー一人ひとりの動きと、それからグループ全体の調和に注目してみてください」

“グループ”という言葉を発するとき、森田さんの声に力がこもった。全員で戦っていく、その表れなのだろう。

その眼差しはキリッと引き締まっていた。それに触れたら、これからの櫻坂46のさらなる飛躍が目に浮かんだ。

今年もあと僅かだが、11月にはグループにとって初の野外スタジアム・ワンマンライブが千葉の「ZOZOマリンスタジアム」にて行われる。

季節は冬に向かっているが、そこには熱い上昇気流が発生していることだろう。


■プロフィール
森田ひかる 2001年生まれ。福岡県出身。2018年8月に坂道合同オーディションに合格。同年12月、日本武道館で開催された「欅坂46 2期生/けやき坂46 3期生『お見立て会』」で2期生としてお披露目された。2020年10月に欅坂46が櫻坂46として生まれ変わると、1STシングルでセンターに抜擢。今年10月18日にリリースされた7thシングルで3度目の表題曲センターを務める。

■衣装
[1ページ目]ドレス 97,900円〈コート/イザ TEL:0120-135-015〉、眼鏡 48,400円〈オプティシァン ロイド TEL:03-3423-0505〉、リング(左手人差し指)928,400円、リング(左手中指)74,200円〈すべてザ・フューチャーロックス/エイチスリーオーファッションビュロー TEL:03-6712-6180※すべて参考価格〉
[2ページ目・3ページ目]ジャケット 123,200円、ドレス 103,400円〈ともにコート/イザ TEL:0120-135-015〉、バッグ 45,100円〈オールセインツ〉、リング(左手人差し指)928,400円、リング(左手中指)74,200円〈すべてザ・フューチャーロックス/ともにエイチスリーオーファッションビュロー TEL:03-6712-6180※すべて参考価格〉、その他スタイリスト私物

▶このほか:「私、素敵なオジサンに憧れます」 齋藤飛鳥が描く、第二章の自分とは




東京カレンダー最新号では、森田ひかるさんのインタビュー全文をお読みいただけます。
東カレに語ってくれた、最新シングル『承認欲求』のMVの見どころとは?

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