男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:焼き鳥デートで、女が犯した致命的なミス。男が「次は誘わない」と判断したワケとは




マッチングアプリで出会った由香。彼女のことは、最初から気に入っていた。だから、メッセージのやり取りや初デートで、僕はできる限り気を配っていたし、失礼なことは何ひとつしていないつもりだ。

それなのに、2度ほどデートをしてからパタリと連絡が途絶えてしまった。

いったい、僕は何をしてしまったのだろうか…?



彼女と別れて1年経っても、シングルだった僕は、重い腰を上げてマッチングアプリを使い始めた。

周りも結婚し始めて、出会いも少なくなった。そんな僕にとって、マッチングアプリは神のようだった。便利だし出会いの数も多い。しかも出会う女性のレベルがかなり高くて、いい子ばかり。

その中でも特に由香のことをいいなと思っていたので、僕なりに頑張ったのだけれど…。


Q1:マッチング後の初デート。もう一度会う段階に繋がった勝因は?


由香とマッチした後、僕たちは何度かやり取りをして会うことになった。

最初から食事デートでも良かったけれど、お茶のほうが相手の負担も少ないかと思い、夕方から渋谷駅からすぐの『ガーデンラウンジ 坐忘』で会うことになった。




「こんにちは…裕平さんですか?」

椅子に座っていた僕の背後から、フワッと良い香りがする。振り返ると、写真の通りの由香が立っていた。

「そうです。由香さん、ですよね?」
「はい、初めまして」

たまに写真と雰囲気が違う人もいるけれど、由香は想像していたより少し小柄で、そして華奢だった。

「裕平さん、写真と少し雰囲気違いますね」
「え!それは良い意味ですか?」
「もちろんです。身長、高いですね」

最初は少しぎこちなかったけれど、オーダーしたコーヒーの湯気が落ち着く頃には、僕たちの緊張も解けていた。

「じゃあ由香さんは、最近別れたばかりなんですか?」

聞けば、由香は2ヶ月前に彼氏と別れたという。

「そうなんです。でも出会いもないので、アプリを使い始めました。裕平さんは?」

可愛いしモテそうだけれど、最近は食事会もないし、本当に出会いがないようだった。

「僕は別れて1年くらい経ちます。仕事も落ち着いているタイミングなので、そろそろ本腰を入れて誰か見つけようかなと」
「そうだったんですね。どういう人が好きなんですか?」
「僕は自立している女性が好きです。由香さんは?」
「私は男らしい人ですかね」
「男らしい…って、どういう感じの人ですか?」

マッチングアプリで出会った場合、話が早い。お互にいい人を探しているのは確かなので、好きなタイプなどを遠慮せずに確認することができる。

「決断力がある人?頼れる感じの人が好きです。裕平さんのお仕事は、土日がお休みですか?」
「そうです。由香さんも?」

その後もお互いの仕事の話や、週末の過ごし方など無難な話題で盛り上がる。




初対面でも、軽く雑談するだけで、合うか合わないかはだいたいわかる。

由香は僕の話を楽しそうに頷きながら聞いてくれて、質問もたくさんしてくれた。そのおかげで、由香との会話は楽しかった。

あっという間に1時間くらいが経ち、お会計を待つ間に、お互いに次の可能性を探り合う。

「由香さん、良ければ次は食事へ行きませんか?」
「もちろんです!裕平さんが良ければ」
「良かった。じゃあ次は食事しましょう。今日、ここは僕が持ちますね」
「ありがとうございます」

僕がカードで支払いを済ませた後、2人で外に出た。

「由香さんは?電車ですか?」
「はい、恵比寿駅に向かいます。裕平さんは?」
「僕は家が近いので、歩いて帰ります。ではまた再来週に」

こうして、僕たちはエントランスの前で別れた。歩いて行く由香の背中を見ながら、彼女とはこの先も続く予感がしていた。


Q2:食事デートで、女が見切った理由は?


初の食事デートは、広尾にあるビストロにした。カウンター席で僕たちは話に花を咲かす。

「裕平さんって、今までアプリで何人くらいに会いましたか?」
「僕は実際に会ったのは3人くらいかな…由香さんは?」
「私は裕平さんで2人目です。でも、2度会ったのは、裕平さんが初めてです」
「そうなの?嬉しいな…」

本当か嘘かはわからないけれど、そう言ってもらえて単純に嬉しくなる。




「ちなみに、なんで前の彼女と別れちゃったんですか?」
「自立している子だと思っていたんですけど、実際に付き合ってみたら想像と違って…。男をATMとしてしか見ていない女性、いるじゃないですか。食事とかも毎回僕が支払うし、一緒に暮らしたら全額僕の負担になるんだろうなと思ったら幻滅しちゃったんです」
「なるほど…自立した子が好きって言っていましたもんね」
「あと彼女、全体的にガサツで。食事をしていてもこぼすし、カバンの中とかも汚かったり」

元カノはとにかく大雑把で、部屋が汚くても気にしないような性格だった。僕自身は綺麗好きなので、そこが合わないのはキツかった。

「それは嫌ですね…」
「そうなんですよ。由香さんは?なんで前の彼と別れたんですか?」
「価値観の違い、ですかね」
「価値観か〜。一番大事だけど難しいですよね」

お互いの恋愛観や価値観をすり合わせていくことは大事なこと。特にアプリだと共通の知り合いもいないので、たくさん話して双方のことを知っていく作業は必要不可欠だと思う。

「由香さんって、可愛いし話しやすくて本当にいいですよね」
「ありがとうございます。裕平さんも、もっと寡黙な感じかと思ってました」
「僕がですか?全然寡黙じゃないですよ」

楽しく会話をしているうちに食事は終わり、あっという間にお会計の時間になった。




「ここは僕が払いますね」
「いいんですか?ありがとうございます。この後時間ありますか?もし2軒目へ行くのであれば、次は私が払います」
「ありがとうございます」

由香のほうから2軒目を提案された僕は、思わず顔がほころぶ。

― まだ一緒にいたいってことだよね?

そして僕たちは店を後にし、少しだけ歩いて恵比寿のほうへと向かう。

「ちょっと歩いても大丈夫ですか?ここから10分くらいのところにバーがあって」
「わかりました、行きましょう」

そして次のバーでも、なんの問題もなく盛り上がった。

「あ〜楽しかった。由香さん、本当に最高です」
「ありがとうございます。また飲みましょうね」

そう言って解散した。でも、由香の言う「また」は永遠にやってこない。むしろお礼のLINEのやり取りをしてから、パタリと連絡がなくなってしまった。

どうして由香からの連絡は途絶えてしまったのだろうか…?

▶前回:焼き鳥デートで、女が犯した致命的なミス。男が「次は誘わない」と判断したワケとは

▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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女が食事込みのデートでもう会わないと決めた理由は?