「飲酒前に乳製品」「お酒の種類を混ぜない」効果あり? 正しい二日酔い予防法とは【管理栄養士監修】
頭痛に吐き気、さらには下痢に胃もたれも…。飲みすぎた翌日、二日酔いに悩まされる人は少なくありません。これらの予防には「事前に乳製品を摂ると良い」「酒の種類を混ぜない」など、諸説ありますが、効果は本当にあるのでしょうか。改めて知りたい二日酔いの原因と予防法を、たいや内科クリニックの管理栄養士、林安津美さんに話を聞きました。
【漫画】「やめて…!」酒で豹変した友人、あっけなく壊れた友人関係
■複雑な二日酔いメカニズム、最大の予防は「適量を守る」こと
誰もがよく知る二日酔いのツライ症状。でも実は、その発症メカニズムは、現在でもはっきり分かっていないと言います。
「二日酔いは、過度なアルコール摂取により体が受けるさまざまな負担の結果として生じる症状群です。多くの人々は、二日酔いの原因は単純に過度なアルコール摂取だけであると誤解していますが、その背後には脱水、ビタミンやミネラルの不足、アルコール代謝物質の蓄積などが複雑に絡み合っています」(たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美さん/以下同)
さまざまな現象が複雑にからみあって起きている中でも、二日酔いの主な要因としてあげられているのが、「アセトアルデヒド」と脱水、栄養不足です。
「アセトアルデヒド」は、アルコールが肝臓で分解されたときに発生する毒性物質で、これをさらに肝臓で無害化するまでには、一定の時間がかかります。その間、神経や血管、胃や腸の粘膜を刺激し、頭痛や吐き気、胃痛などを引き起こします。
また、アルコールには利尿作用があり、お酒を飲むと尿量が増えて水分が失われますが、その際に必要なミネラルやビタミンも一緒に排出されます。その結果、脱水症状や栄養不足が起こり、喉の渇きやだるさ、食欲不振などを感じるようになります。
これら二日酔いの予防策として、まずは「飲みぎないことが大前提」と林さん。
「“飲酒前にチーズや牛乳を摂るとよい”という説もあります。乳製品の摂取は、一部の人々においては二日酔いの予防に効果的である可能性はあります。ですが、それが全ての人々に当てはまるわけではありません。最も確実な予防策は、適量を守ること。体が適切にアルコールを分解・代謝する能力を超えて飲酒すると、二日酔いのリスクが高まります。また、お酒を飲む前にしっかりと食事をとることなど、バランスの良い食生活と適切な飲酒習慣を心掛けることです」
適量を守った上で、二日酔い対策として摂取して欲しい栄養素は次の通り。
■酒の席のつまみや二日酔いになった翌日に摂取すべき栄養素と食材は?
▼飲酒時・飲酒後に摂取したいもの
・水分
水分は体内のアルコール濃度を下げたり、アルコールの分解や排出に必要です。お酒を飲むと脱水状態になりやすいので、意識して飲むようにしましょう。
・脂質
胃の粘膜を保護し、アルコールの吸収を抑えます。揚げ物、アヒージョ、チーズ、ナッツ、レバーペーストなどがおすすめです。
・ビタミンB1
アルコールを分解する際、大量のビタミンB1が消費されます。豚肉やレバー、納豆、豆腐、そばなどで補給しましょう。
・糖質
アルコールの分解をサポートすると同時に、二日酔いの要因のひとつ“低血糖”を改善します。ビタミンB1も摂取できる玄米ご飯や、のどごしの良いうどんなどがおすすめです。
・ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用を持ち、アルコール摂取後の酸化的ストレスを和らげる可能性があると考えられています。アルコールによる体へのダメージを減少させる効果が期待できます。
・ミネラル(特にカリウムとマグネシウム)
アルコールは利尿作用を持ち、排尿の際にミネラルも失われます。特に、カリウムとマグネシウムの欠乏は、疲れやけいれんの原因となることがあります。バナナ、アボカド、ナッツ、豆腐、鮭、ほうれん草などで補給しましょう。
・ナイアシン
ビタミンB群の一つで、アルコールの分解過程で関与するとされています。おすすめは鶏肉、魚、ピーナッツ、玄米など。
「一般に流布している『酒の種類を混ぜない』『酒を飲む順番』などの常識は、実は科学的根拠が不足していることが多いです。大切なのは、自身の体がどれだけのアルコールを受け入れられるかを理解し、それを超えないようにすることです。最後に、二日酔いを感じたら無理をせず、十分な休息と水分補給を心がけ、必要なら医療機関での診察を受けることをおすすめします」
記事監修/林安津美
管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。
【漫画】「やめて…!」酒で豹変した友人、あっけなく壊れた友人関係
■複雑な二日酔いメカニズム、最大の予防は「適量を守る」こと
「二日酔いは、過度なアルコール摂取により体が受けるさまざまな負担の結果として生じる症状群です。多くの人々は、二日酔いの原因は単純に過度なアルコール摂取だけであると誤解していますが、その背後には脱水、ビタミンやミネラルの不足、アルコール代謝物質の蓄積などが複雑に絡み合っています」(たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美さん/以下同)
さまざまな現象が複雑にからみあって起きている中でも、二日酔いの主な要因としてあげられているのが、「アセトアルデヒド」と脱水、栄養不足です。
「アセトアルデヒド」は、アルコールが肝臓で分解されたときに発生する毒性物質で、これをさらに肝臓で無害化するまでには、一定の時間がかかります。その間、神経や血管、胃や腸の粘膜を刺激し、頭痛や吐き気、胃痛などを引き起こします。
また、アルコールには利尿作用があり、お酒を飲むと尿量が増えて水分が失われますが、その際に必要なミネラルやビタミンも一緒に排出されます。その結果、脱水症状や栄養不足が起こり、喉の渇きやだるさ、食欲不振などを感じるようになります。
これら二日酔いの予防策として、まずは「飲みぎないことが大前提」と林さん。
「“飲酒前にチーズや牛乳を摂るとよい”という説もあります。乳製品の摂取は、一部の人々においては二日酔いの予防に効果的である可能性はあります。ですが、それが全ての人々に当てはまるわけではありません。最も確実な予防策は、適量を守ること。体が適切にアルコールを分解・代謝する能力を超えて飲酒すると、二日酔いのリスクが高まります。また、お酒を飲む前にしっかりと食事をとることなど、バランスの良い食生活と適切な飲酒習慣を心掛けることです」
適量を守った上で、二日酔い対策として摂取して欲しい栄養素は次の通り。
■酒の席のつまみや二日酔いになった翌日に摂取すべき栄養素と食材は?
▼飲酒時・飲酒後に摂取したいもの
・水分
水分は体内のアルコール濃度を下げたり、アルコールの分解や排出に必要です。お酒を飲むと脱水状態になりやすいので、意識して飲むようにしましょう。
・脂質
胃の粘膜を保護し、アルコールの吸収を抑えます。揚げ物、アヒージョ、チーズ、ナッツ、レバーペーストなどがおすすめです。
・ビタミンB1
アルコールを分解する際、大量のビタミンB1が消費されます。豚肉やレバー、納豆、豆腐、そばなどで補給しましょう。
・糖質
アルコールの分解をサポートすると同時に、二日酔いの要因のひとつ“低血糖”を改善します。ビタミンB1も摂取できる玄米ご飯や、のどごしの良いうどんなどがおすすめです。
・ビタミンC
ビタミンCは抗酸化作用を持ち、アルコール摂取後の酸化的ストレスを和らげる可能性があると考えられています。アルコールによる体へのダメージを減少させる効果が期待できます。
・ミネラル(特にカリウムとマグネシウム)
アルコールは利尿作用を持ち、排尿の際にミネラルも失われます。特に、カリウムとマグネシウムの欠乏は、疲れやけいれんの原因となることがあります。バナナ、アボカド、ナッツ、豆腐、鮭、ほうれん草などで補給しましょう。
・ナイアシン
ビタミンB群の一つで、アルコールの分解過程で関与するとされています。おすすめは鶏肉、魚、ピーナッツ、玄米など。
「一般に流布している『酒の種類を混ぜない』『酒を飲む順番』などの常識は、実は科学的根拠が不足していることが多いです。大切なのは、自身の体がどれだけのアルコールを受け入れられるかを理解し、それを超えないようにすることです。最後に、二日酔いを感じたら無理をせず、十分な休息と水分補給を心がけ、必要なら医療機関での診察を受けることをおすすめします」
記事監修/林安津美
管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。