好きな人にはたまらない秋の味覚「ぎんなん」。1日に食べていいのは何個まで?

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 秋の味覚、ぎんなん(銀杏)。独特の苦みと風味が特徴で、好き嫌いが分かれる食べ物ですが、よく言われるのが「食べ過ぎはダメ」ということ。小さい頃、「大人は6個」「子どもは1個」など、親に注意された方もいるではないでしょうか。その理由を知っていますか? 実は、ぎんなんには「毒性物質」が含まれ、食べすぎると中毒症状を起こす可能性があるとされています。たいや内科クリニックの管理栄養士、林安津美さんに話を聞きました。

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■食べ過ぎ注意も、美肌・アンチエイジング効果が期待される“ぎんなん”

 ぎんなんに含まれる毒性物質は「メチルピリドキシン」と呼ばれるもので、これは、ビタミンB6の働きを阻害します。その結果、大量に食べるとまれに嘔吐や下痢、呼吸困難、けいれんなどの症状が現れることがあります。この「メチルピリドキシン」は熱に強い成分で、加熱調理しても毒性がなくなりません。そのため、特に銀杏中毒を起こしやすい小児は、1日に1〜2個に抑え、5歳未満には控えるようにと言われています。大人でも1日6〜7個程度を目安に、“食べ過ぎない”ことが重要です。

 一方で、ぎんなんには女性に嬉しい栄養素もあると言います。

「ぎんなんの殻や種には、美肌効果や抗酸化作用が期待される成分が含まれているため、スキンケア用品やサプリメントとしての利用も増えています」(たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美さん/以下同)

▼ぎんなんの主な効能と栄養成分

・アンチエイジング

抗酸化物質として知られるβ-カロテンを含有し、皮膚の健康やアンチエイジングの効果が期待されています

・むくみ、高血圧の改善

 カリウムが体内の水分量を調整し、むくみ・高血圧の改善に

 健康と美容のためにも、適量を守って楽しみたいぎんなんですが、“味よりもニオイがダメ”という人もいます。あのニオイの正体は、一体何なのでしょうか。

■ぎんなんの果肉に含まれるニオイ成分とは?

 ぎんなんが臭いのは、果肉みたいな種皮に含まれる酪酸とエナント酸という成分が原因です。酪酸は足の臭いやバターの酸敗臭に似た強烈な臭いを発し、エナント酸は腐敗臭を放ちます。これらの成分が混ざり合うことで、あの独特のニオイが生まれます。種皮をとり、殻を乾燥させることでニオイは軽減され、調理するとほとんど気にならなくなります。調理では「焼きぎんなん」がおすすめと話す林さん。

「焼きぎんなんは、外側はパリッと、中はホクホクと異なった食感が楽しめるのでおすすめです。また、鶏肉やしいたけなどと一緒に炊き込むことで、炊き込みご飯の風味が一層豊かに仕上がります。その他にも、砂糖やみりんで煮詰め、甘くてほんのりとした風味のお菓子に仕上げた甘露煮や、茹でて、野菜やナッツと組み合わせたサラダなども秋らしい一品になります」

 旬の食材、ぎんなん。最後に、新鮮なぎんなんの選び方についてうかがいました。

「殻が瑞々しくて光沢があり、重みを感じるものを選ぶと良いでしょう。乾燥しているものや、軽いものは新鮮でない可能性があります。また、ぎんなんは日持ちしないため、購入後は早めに調理し、食べきることをおすすめします。殻付きの場合、保存する際は冷暗所で保管し、湿度を避けましょう」

記事監修/林安津美(はやし あつみ)さん

管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。