デート中に手を握る=“今夜はOK”?男が「イケる」と思う瞬間
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「私たち、付き合っているんだよね…?交際した途端に男が冷たくなった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
金曜の夜。スマホを開くと何通かLINEがきている。その中に仁美からのメッセージがあった。
仁美と出会って約1ヶ月。顔がすごくタイプで、僕は最初、かなり積極的に連絡を取っていた。
しかし最近は仁美から連絡が来る一方だ。
「翼くん、大丈夫?スマホすごい鳴ってるけど」
目の前に座る可愛い女の子が、僕のスマホを覗き込む。
「うん、大丈夫。緊急じゃないから」
返信をしないといけないな…とは思いながらも結局、僕が返信をしたのは日曜の午後だった。
A1:口説いているモードの時は、男は頑張る。
仁美と出会ったのは、知り合いの美穂さんから呼ばれた食事会だった。美穂さんは謎めいた女性で、40歳くらいだと思うのだが、僕たちのような若い男女をやたらとつなげてくれる人だった。
「こちら翼くんと拓真くん。で、こちらが雪ちゃんとお友達の仁美ちゃんね」
そこで紹介された仁美。とにかく顔が可愛くて、そして大人しそうなところもまたツボだった。
そのせいか、無意識のうちに仁美を見つめていたようだ。
「あの…」
「ごめん!可愛くてつい見惚れてた」
これは本音だった。恥ずかしそうにしている仁美と会話を続けていると、横から美穂さんがナイスアシストをしてくれた。
「仁美ちゃん、翼って本当にイイ奴だから。独身だし、彼女ナシ。おすすめだよ!」
その甲斐あってか、翌日に仁美をデートに誘うとすぐにOKをもらえた。
そして初デートで、僕は積極的に仁美を口説き落としにいった。
「今日来てくれて、本当に嬉しい!僕さ、この前も言ったけど仁美ちゃんのこと本当にタイプなんだよね」
最初からストレートに想いを伝えてみる。すると仁美もまんざらではなさそうな態度をしてくれる。
「そうなの?嬉しい…ありがとう♡本当に翼くんって、彼女とかいないの?」
「いないよ、本当に。周りは結婚している人とかもいるけど…僕は完全にフリー」
「そうなんだ、良かった」
「仁美ちゃんは?今どんな感じなの?」
「私も完全にフリーです。彼氏と別れて、もうすぐ1年くらいかな」
「そうなんだ!どういう人がタイプ?」
話をしているうちに、どんどん距離が近くなる僕たち。この時から、僕は何となく「あれ?これはイケるかも…」と思い始めていた。
「そういえば、この前いた美穂さんって仲良いの?」
「僕?そうだな…。仲良しだよ。あの人実は既婚者なんだけど、ああやって若い人たちと飲むのが好きみたい」
「そうなんだ…なんかすごい人だね」
正直、美穂さんという女性をよく知らない。でも悪い人ではないし、こうやって可愛い子を紹介してくれるので悪い人ではないだろう…と思っていた。
そして現在、僕には彼女がいない。遊ぶ相手も欲しい。
だから店を出た途端に、思い切って僕は仁美の手を握ってみる。
「…え?」
驚く仁美に、僕はもう一押ししてみる。なぜならこのまま押せばいけそうだと思っていたから。
「俺さ、仁美ちゃんの彼氏に立候補してもいい?」
「え…?う、うん!もちろん!」
この日はこの場で解散した僕たち。でもここから、関係性は変わっていった。
A2:手に入ってから、追いかけたい気持ちがなくなった。
最初は、僕もちゃんと真剣に向き合おうとは思っていた。しかし初デートの日から、仁美は急にしつこく連絡してきた。
そして次のデート。僕はとりあえず、仁美と出会った場にいた拓真も一緒に呼び出した。
「あれ?そういう関係なの?」
拓真には仁美が来ることを伝えていなかったので、仁美が店へ来るなり驚いた顔をしている。
でも、彼はわかっている。
「まぁそういうことかな」
「翼はモテるからなぁ。さすがだね。俺も一緒にいたはずなのに、仁美ちゃんは翼派だったかー(笑)」
僕と拓真は大人になってから仲良くなった。
「翼くんと拓真さんって仲良しなんですね。どういう関係なんですか?」
仁美の問いに対し、拓真はちゃんと答えてくれている。
「僕たちが仲良くなったのはここ2〜3年くらいで。仕事とかも全然違うけれど年齢も近いし、とにかくウマが合って。最近はマジで週に一度は会っているかも」
よく食事会などへ一緒に参戦する仲だった。
だから僕の女癖も、拓真は一番わかっている。
拓真とは頻繁に食事会に行ってわかり合っているせいか、1時間くらいすると空気を読んで「帰る」と言い始めた。
「え?もう帰っちゃうの?」
「うん。別で予定があって。というか仁美ちゃん来るって知らなかったし、もっと前もって言ってくれたら時間空けていたのに!とりあえず、二人で楽しんで」
そう言って、拓真は帰っていった。
男友達とは不思議なもので、大概は男の味方をしてくれる。無駄なことは言わないし、阿吽の呼吸だった。
そんなことに感謝をしていると、拓真が帰った途端に仁美は急に僕の手を握りしめた。
「翼くん、会いたかった♡」
「本当に?俺もだよ」
― そうか。もう付き合っていることになっているのか。
そんなことを思いながら、僕は仁美の手を握り返す。
「やっぱり、翼くんってモテるんだね」
「そんなことないよ。拓真のほうがモテるんじゃない?」
「まぁ二人ともモテそうだよね」
仁美のことは嫌いでは決してない。でも本命の彼女として結婚まで至るかと言われたら、現時点でその可能性は限りなく低い。
もちろんここから逆転はあり得るけれど、仁美は男からすると、“追いかけたい本能”をくすぐられないタイプだと思う。
すぐに付き合ってその先までいける、簡単に手に入るタイプ…。
この関係性に、「目の前にぶらさげられた人参」の人参はもう残されていないので、急にさめてしまう。
男友達に紹介したのは、拓真もこういう男のサガを“わかっている”からだ。
体の関係にいくかどうかの攻防戦ぐらいの、ギリギリのシチュエーションでの男が放つ「付き合おう」という言葉は、意味をなさない。
仁美に罪はまったくない。でも世の中には僕のような考えを持っている人は残念ながら非常に多い。
もっと会う回数を重ね、そして相手に対しても真摯な態度を取ってくれるほど、親密な関係性の友人や上司などに会えれば、話は別だけれども…。
― 若干重いし、面倒だな。
そう思い、僕は仁美との関係を早々に切り上げることにした。
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