見る人、食べる人を魅了してやまない「ねこねこ食パン」

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行列や売り切れが続出する人気店が話題を呼び、”高級食パンブーム”といわれて久しい。そんな中、今年誕生したにも関わらず続々と出店を行い、現在は全国に12の店舗をかまえる高級食パン店がある。「ねこねこ食パン」だ。特徴はねこの顔のようなビジュアル。ひと目見れば釘付けになり、思わず「かわいい〜」と声に出してしまう程の愛らしさがSNSなどで話題に。しかし、かわいいだけではヒットは生まれない。食パンとしての人気の秘密を探ってみた。

【写真】本物ねこと食パンがゼロ距離で共演

■ ミルク100%へのこだわりを”ねこの形”で表現

「ねこねこ食パン」が誕生したのは2019年7月。愛知県に本社を持つ株式会社オールハーツ・カンパニーが有する、マジカルチョコリングでおなじみのパン店「ハートブレッドアンティーク」の新業態として、彗星のごとく高級食パン界に現れた。誕生のきっかけを本社・広報の冨田瑠璃子さんにうかがった。

「高級食パンは一時的なブームではなく、日本の食文化の一つであるととらえ、弊社ならではの高級食パンを追求しました。その結果、水分はミルク100%、国産小麦を使用し、隠し味にハチミツ、生クリーム、バターを入れ、”ほんのり甘くてミルキーな、ふんわり生地の食パン”にたどり着きました」。

使用する素材へのこだわりと“らしさ”を表現したいという思いは強く、試行錯誤を繰り返し、ようやく納得のいく商品が誕生したという。食パンはシンプルがゆえにごまかしがきかず、パンそのものの味に魅力がなければけっして人気は出ない。かわいいだけではない、本物の人気の理由がここにあった。

■ SNSでファンが盛り上がる”ねこのアレンジ”

SNSを通して客の反応が顕著に拡散される現代、店舗側がそれを知るのも容易だ。「ねこねこ食パン」は販売から間もなく「かわいい」「おいしい」という反応があっという間に広まった。「通販を希望される方やご自分の住んでいる地域での出店を望んでくださる方など、本当にありがたいお言葉をいただいています」。

もう一つ、SNSで話題となっているのがアレンジ方法だ。食べ方だけでなく、見た目をアレンジする方法も多く見受けられる。チョコペンなどでねこの顔を書いたり、チーズなどで作ったリボンをつけたり、焼き色で模様をつけたりと、方法は実にさまざま。「こちらで予想した以上にかわいくアレンジしてくださったり、飼い猫と一緒に楽しく召し上がってくださっている様子を拝見でき、とてもうれしく思っています」。

■ 「おいしいパンを通して、幸せを届けたい」

「私どものパン作りの基本は、”こだわりのおいしいパンを通して、幸せをお届けしたい”という思いです。お客様からの反応は、今後のさらなる励みとさせていただければと思っています」と、社内でも多くの客からの反応に喜びを感じていると冨田さんは言う。

「食パンですが、“ねこ”というキーワードから“かわいい”“癒し”なども感じていただき、アレンジを“楽しんで”いただき、プレゼントとして“うれしさ”も感じていただけているのは、本当に素敵なことだと思います。みなさまの毎日の食卓に笑顔が広がるお手伝いができたらと思っています」。

■ 大躍進の「ねこねこ食パン」、気になる今後の展開

「ねこねこ食パン」は、本社のお膝元である中部からスタートして、2019年後半にオープンラッシュ。関東、関西、中国・四国エリアで12店舗を運営するほか、催事への出店も続いている。「さらに、(2020年)1月に4店舗、2月に4店舗の出店を検討しています。弊社のメインブランドのハートブレッドアンティークとターゲットが重なるため、近い場所での出店を予定しています。どのエリアでもお客様に感動していただけるような店舗運営を心がけています」と冨田さん。

今後については、「まだ発表することはできませんが、ねこにちなんだかわいい商品を数種類開発・投入するつもりです。もっともっとたくさんのお客様に知っていただいて、お子さまから大人の方まで幅広く愛されるブランドになって欲しいと思っています」とのこと。これからも、全国に散らばる多くのパン好きをハッピーにしてくれるに違いない。

オールハーツ・カンパニーとしては、高級食パンの新ブランド「京」がこの12月に大阪・名古屋にてオープン。京都発の老舗ベーカリー「GRANDIR(グランディール)」から誕生したブランドで、小麦粉には北海道産のものを使用、塩麴とマスカルポーネチーズが隠し味だという。こちらにもぜひ注目したい。(東京ウォーカー(全国版)・岡部礼子)