紅白で米津玄師が演奏、だけじゃない!規格外の美術館「大塚国際美術館」とは
平成最後ということでも注目された2018年末のNHK紅白歌合戦。その中でも、米津玄師のテレビ初歌唱は大きな話題になった。演奏の舞台となったのは、荘厳な壁画が描かれた「システィーナ・ホール」。このホールを有するのが、徳島県鳴門市にある大塚国際美術館だ。
【写真を見る】システィーナ・ホールと同じ地下3階の中世展示/画像提供:大塚国際美術館 / 写真は大塚国際美術館の展示作品を撮影したものです
大塚国際美術館は、世界26か国の美術館が所蔵する西洋名画の数々を複製した陶板名画美術館。展示スペースは地下3階から地上2階まで、延床面積は日本の私立美術館の中で最大の規模を誇る。システィーナ・ホールは、ヴァチカンのシスティーナ礼拝堂の、壁画・天井画を環境まるごと再現した空間だ。間口20m、奥行40m、高さ16mの広大なこのホールは、同美術館全体でもっとも大きな展示室となっている。
ミケランジェロが手がけたシスティーナ礼拝堂天井画および壁画を完全再現したこのホール、もともと同美術館の展示の中でも人気を集めていたが、大塚国際美術館の広報担当者によると、紅白歌合戦の放送をきっかけに訪れたという来館者や、展示室の場所の問い合わせを受けるなど反響が寄せられているという。
この名画を堪能したい人にも、はたまた舞台となった場所の“聖地巡礼”をしたい人にもうれしいのが、システィーナ・ホール内で記念撮影ができるということ。大塚国際美術館では、通常の美術館では禁止されている作品との記念撮影や、一部の展示にそっと手を触れることができるなど陶板ならではの鑑賞が可能だ。ヴァチカンにある本家・システィーナ礼拝堂内はカメラ撮影不可のため、本来撮ることのできない作品をバックに記念写真を撮れるのは大塚国際美術館だけなのだ。
さらに、システィーナ・ホールは紅白歌合戦の舞台以外にもさまざまなイベントの会場として活躍している場所でもある。将棋の対局やN響コンサート、結婚式に至るまで、美術館では珍しいイベントが数多くとり行われている。
中でも、ミケランジェロの「最後の審判」など宗教画の傑作を背景に、和と洋がコラボレーションした新作歌舞伎を上演する「システィーナ歌舞伎」は、2009年の第一回を皮切りに人気公演として定着。「創作による新作歌舞伎を徳島から発信することにより、新しい文化の発信となれば」とスタートしたこの公演は、歌舞伎とともに通常の展示とは雰囲気を変えたシスティーナ・ホールを体感するまたとない機会となっている。2019年の2月22日(金)・23日(土)・24日(日)には第九回公演も決定している。
館内にある1つの展示だけでもこれほど多くの特色を持つ大塚国際美術館。これ以外にも、レオナルド・ダ・ヴィンチ「最後の晩餐」、ゴッホ「ヒマワリ」、ピカソ「ゲルニカ」など、美術書などで一度は見たことがあるような名画を原寸大で再現しており、見どころは尽きない。鑑賞ルートは約4kmにもおよび、世界の名画をゆっくり鑑賞できる規格外の美術館。この機会に足を運んでみてほしい。(東京ウォーカー(全国版)・国分洋平)