話題のアンガーマネジメントって?怒りの心理を解説

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“アンガーマネジメント”、最近よく聞きますよね。アンガーマネジメントとはアメリカで誕生したといわれており、アンガー(怒り)を管理するという考え方で、怒りの感情とうまく付き合い、コントロールすることを目的としています。

ちょっとしたブームにもなったこのアンガーマネジメントですが、一見ネガティブに感じる“怒り”という感情のプラスな側面にフォーカスすることを広めたという意味では画期的であるといえるでしょう。

今回は怒りのメカニズム、怒りとの上手な付き合い方を中心に、心理カウンセラーの筆者がお伝えします。

■怒りはごく自然なこと

なぜわたしたちは怒るのでしょう? まずは怒りについて考えてみましょう。

怒りとは、自身に対して外部から攻撃的な言動や侵害があった際に生まれる情動です。自身を守ろうとする防衛的な反応から怒りが生まれるのです。

だから人は怒った際に、護身のために感情を向き出して声を荒げたり、物に当たったりなど攻撃的な行動を取ろうとします。その意味では、怒ることは身を守るためのごく自然なことなのです。

■様々な感情が積もって怒りになる

怒りは、“第二感情”といわれています。第一感情は不安、悲しみ、寂しさ、苦しみ、痛みなどのネガティブな感情のことです。それら第一感情が積もり積もってゆくことで、怒りへと変化をしてゆくのです。

分かりやすくするために、第一と第二感情の関係性をバケツの水に例えてみましょう。バケツの中に不安や悲しみなどの第一感情がどんどん降り注がれていく、すると中がいっぱいになり溢れたとたんに怒りが現れる、そんなイメージです。怒りやすい人とそうでない人の違いは、このバケツのキャパの違いによるといえます。

■怒りのコントロールのために、怒りの種類を知る

怒りの原因となるものは様々ですが、上手く付き合うために大事なのは怒りの種類を知ってコントロールをすることです。出来事に対して、“怒るべきことなのか”“怒らなくてもいいことなのか”を考えてみる必要があります。その判断基準は、“怒ることで変えられるのか?”です。

例えば休日にアウトドアに行こうとしたら、大雨だったとします。「せっかくの休みになんだよ」という怒りが沸いてきたところで、天気は自分の力では変えられませんよね。このような怒りは無駄な怒りで、本来であれば受け入れるしかないのです。また怒ったところで何も変えられないのでイライラがずっと続くだけです。

自分で変えられることなのか、そうでないのかを考えることで、無駄な怒りをコントロールできるようになります。

■怒りのポジティブな側面とは

怒りというとネガティブな印象を持つ方が多いかと思いますが、必ずしもそうとはいえません。ポジティブな側面もあります。

自身を守るために怒りが攻撃的な行動を生じさせるように、怒りという感情は “行動を始発させる動機づけの働き” という側面も持っています。つまり怒りは行動を起こす原動力やモチベーションになる力があるのです。

実際これまでの筆者のカウンセリング経験からも、怒った体験、納得のいかない経験を上手に昇華して、“悔しさをバネにした”“負けたくないから”など、それを原動力として前向きになれたという方がいらっしゃいました。怒りのメリットをうまく活用できた例だといえます。

怒りの心理を中心にお伝えをしましたが、怒りと上手に付き合うヒントになったでしょうか。怒りを知ること。怒りをコントロールしてエネルギーに変える。そうすることで、普段の生活がよりよいものになるといいですよね。

【筆者略歴】

大間秀章・・・心理カウンセラー&コラムニスト。企業や大学を対象に専任カウンセラーとして従事する傍ら、執筆活動も行う。専門分野は人間関係、恋愛、キャリア、メンタルヘルス、人生論など。Twitter

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※ Vadim Georgiev / shutterstock