プロカメラマンがスマホの撮影テクを教えてくれる超お得な連載、今回のテーマは旅フォトの撮り方! 旅行に出かけたら、名所や風景、料理など撮影する機会も増えますよね。せっかくなら、いつもよりちょっとおしゃれな写真を撮ってみたいと思いませんか? そこで今回から2回にわけて、インスタ映えする旅フォトの撮り方をプロカメラマンの佐藤朗先生に聞いちゃいます!

写真・文:田代わこ

【カメラマンが教える! いいね! がつくスマホの撮影テク】vol. 25

名所の写真がグッと良くなる基本ポイント3つ!

今回は、ライターの田代が2017年夏に訪れた観光地、パリを舞台に撮り方のコツを教わります。まずは、名所の撮り方からスタート!

例えば有名なエッフェル塔をモチーフにした場合、ふつうに撮影すると全景を入れた写真になりがちです。でも、これって観光パンフレットや絵ハガキでよくあるパターン。あまり目を引く写真ではありません。そこで、佐藤先生が教えてくれた名所の撮り方ポイントは3つ! ひとつずつ実践してみます。

1.近くから見たり、部分的にカットしたりして撮ってみる!

全景写真ばかりでは飽きてしまうので、近くに行ってみたり、クローズアップして撮ってみたりするとおもしろい写真になるそうです。

ということで、エッフェル塔のすぐ近くまで行き、部分的に切り取って撮影してみました。

さらに、下から見上げて撮ってみました。最初の全景写真に比べると、ちょっと変わったエッフェル塔になったと思いませんか?

2.昼だけでなく朝や夜の景色も狙ってみる!

同じ場所でも、昼と夜では景色が違って見えますよね。ライトアップされた建物なども撮れると、写真に変化が出てくるそうです。

こちらは、パリのオペラ座「パレ・ガルニエ」の建物です。外観がとても美しく、昼間でも十分に見栄えがします。

同じ建物を早朝の時間帯に出かけて撮影。雰囲気がガラリと変わりました!

3.セピアやモノクロに加工してみる!

外国の街などは、あえてモノクロに加工してみるとおしゃれに見えることもあるようです。

試しに、先ほどのエッフェル塔写真をインスタグラムで加工してみます。モノクロ系フィルターは「Moon」「Willow」「Inkwell」。今回は「Willow」を使い、さらに編集画面で彩度を少し下げて加工しました。いかがですか? ちょっとフォロワーが増えそうな写真になってきたかも!

名所を撮るには…アレを検索!

続いては、名所の撮り方・応用編! 佐藤先生、旅フォトがさらによくなるコツってありますか?

佐藤先生 例えばパリを撮るなら、20世紀を代表する写真家でロベール・ドアノーという人がいます。彼の写真を検索して参考にしてみるといいですよ。

プロの写真を検索する! これはおもしろいテクニックですね。さっそくドアノーをネットで調べてみたら、公式サイトなどに写真がたくさん出ていました。

佐藤先生 ドアノーの写真には風景だけでなく人物も入っていて、なにげない日常を切り取っています。それを参考にして人を入れてみたり、モノクロにしてみたりするのもいいかと思います。人を撮るのは、最近では肖像権の問題もあるのでなかなか大変ですが、クローズアップではなく少し引いて後ろ姿を写してみるなどしてみてはいかがでしょうか。

わかりました! ドアノーを検索してみたら、エッフェル塔と人物を組み合わせた写真が出てきたので、それを参考にしてみます。

こちらは、二階建て観光バスからエッフェル塔を見ている人たちの後ろ姿を撮った写真です。背景の雲もちょっとドラマチックな模様になっていました。

これは、エッフェル塔の前で自撮りしている人の姿を路線バスの車窓から撮りました。逆光を利用して人物をシルエット風にしてみました。

ちなみに、ドアノーのような写真家の名前を知らなくても、例えば「パリ 街並み」「#paris」などで検索してみると、いろいろ写真が出てきます。そのなかで気に入った写真の構図を参考にしてみるのもアリですよね。

佐藤先生 ほかにも、例えば市場に出かけて果物や花だけクローズアップして撮ってみたり、店主だけ撮ってみるシリーズにしたりしても楽しいですよ。あるいは、昔の人が撮ったアンティーク写真を持って行って、まったく同じ場所で撮ってみる、というのもおもしろいです。

古い写真と一緒に撮る、というのは斬新なアイデアですね! それでは、私の好きな写真家、ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)が撮影したアンティーク写真を使って実践してみます!

こちらは、ヴェルサイユ宮殿の庭園内にある階段の写真です。この手前にある手すり部分に、アジェが撮った古い写真を重ねてみます。すると…

こんな感じに撮れました。片手で撮影したのでブレてしまいましたが、ちょっとユニークな写真になったと思いませんか?

次回に続く…

旅フォトの撮り方・前編、いかがでしたか? 最近はインスタ映えする観光地に出かける女子も多いので、もはや旅行前にフォトジェニックな場所を下調べするのは当たり前かもしれません。でも、一歩先を目指すカメラ女子のみなさんは、ぜひ名写真家の作品をお手本にしてみてください。みんながあっと驚くアートな写真が撮れるかもです! 次回の後編では、旅先のレストランやホテルでの撮影テクをお届けします!

Information

佐藤朗先生の新刊情報!

『おいしいかわいい料理写真の撮り方』(イカロス出版)¥1458スマホのテクニックと料理写真のノウハウがいっぱい詰まった本が出版されました!フードスタイリングも学べて、撮り方例もいっぱい。ぜひお手に取ってみてくださいね!

佐藤先生の写真体験教室情報

佐藤先生の料理写真体験教室、9月と10月のスケジュールがアップされています! 人気教室なので、レッスン受けたい方はお早めに予約してくださいね 詳しくは、料理写真教室をご覧ください!

プロフィール

佐藤 朗(さとう あきら)フリーランスフォトグラファー。日本大学芸術学部卒業。有名雑誌や書籍、Web媒体などで活躍。また、料理写真専門のカメラ教室フェリカスピコを主宰、毎月各地で開かれる教室は常に満席となる人気ぶり。著書に『もっとおいしく撮れる!お料理写真10のコツ』(青春出版社)。 Instagram:@felica_spico

田代 わこ(たしろ わこ)出版社勤務を経て、フリーランスのライター・エディターに。主にエンタメ系コンテンツ記事を執筆。趣味は美術鑑賞。ananwebでは「女子的アートナビ」を連載中です!