家への愛があふれたメッセージを語る

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「うれしいねぇ」「失礼します!」

【写真を見る】全身を使って家について感じたことを表現

毎週、ユニークな家を訪ね、数々の名せりふとともにその魅力を伝える渡辺篤史の番組「渡辺篤史の建もの探訪」(テレビ朝日)。土曜の朝に、こんな家に住んでみたいな…という憧れとともに、渡辺の豊かで“建もの”への愛あふれる言葉に和まされる、根強いファンをもつ番組だ。

番組は28年目。建ものの魅力を伝え続けてきた、その思いを語ってもらった。まずは、渡辺の思う「優れている家」について聞いた。

渡辺「番組を長くやっているもんで、いろんな人から『最も良かったと思う家は?』と質問されるんです。選べるわけないじゃないですか(笑)。家族構成やライフスタイル、趣味嗜好は人それぞれだから、具体的にどこがどうなっていれば優れているとは言えない。ただし、感心させられる家の共通点なら、すぐ言えますよ。それはね、つくり手の愛や住み手の安心感が伝わってくる家です」

収録にあたっては事前打ち合わせはせず、家に入ると、素で家の魅力を感じるという渡辺。どのように家から「愛」や「安心感」を感じとっているのか

渡辺「つくり手が“自分は他人様の家を扱っているんだ”という謙虚さや思いやりを持って建てている家ってね、住まう人の安心感に包まれているんですよ。玄関の広さや手すりの位置、窓の大きさや位置など、細かな部分にまで完成形に至った根拠がある。また、外観は周辺の街並みと調和が取れていて、存在感はあっても決して突出していない。これも、つくり手が地域の歴史にまで配慮している結果なんです。

こんなふうに、自分たちや地域のことが考えに考え抜かれた家なら、当然、住まう人は愛着を抱きながら暮らしますよね。これが、何ともいえない安心感になって家を包み込むんですよ。こういう空気は、初めてお邪魔する僕にも伝わってくる。訪問しているのはそんなお宅ばかりです。

というわけで、これから家を建てるという人には、ぜひ、安心感に満ちた住まいを手に入れていただきたいですね」

長年番組を作り続け、住宅のあり方や街づくりについても強い思いを持つ。

渡辺「たとえばイギリスなどでは、いったん家を建てたら、大切に手入れしながら100年単位で住み続けるのが普通だし、歴史を積み重ねているほど価値が高く評価される傾向にあります。また、行政が昔から街並みや景観を美しく維持することに注力してきた結果、住民も意識が高い。

日本は正反対ですよね。住宅は20〜30年周期でスクラップ&ビルドを繰り返すのが当たり前になってしまっているから、時間がたつほど価値が落ちていく。さらに、古い建物が壊されるたびに土地は細切れにされ、街並みがどんどんすさんでいく感じ。これでは日本の魅力は損なわれる一方ですよ。経済効率ばかりを追求していてはダメなんです」

家、建もの、そして街。

……愛あふれるロングインタビューは、発売中の「家を買ウォーカー」に掲載されている。