「どうしよう…でも脂質が…」その前に脂質を本当にご存じですか?

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執筆:山村 真子(看護師・西東京糖尿病療養指導士)


「脂質」と聞くと、みなさんはどういったイメージをもたれるでしょうか?

よく聞かれるイメージとしては、「カロリーが高くて太るから、極力控えたい」というマイナスのイメージです。

しかし脂質は、人間が生きていく上で重要な役割を果たしています。

今回は、知っているようで意外と知らない「脂質」について、ご紹介していきましょう。

脂質は生きていく上で必要不可欠!

人間が生きていく上で、重要とされる三つの栄養素があります。

「糖質(炭水化物)」「蛋白質」そして「脂質」です。


脂質はよく知られているエネルギー源としての働きだけでなく、体を構成している細胞の膜やホルモンなどの生成に利用されます。

またこの三大栄養素の他にも、「ビタミン」「ミネラル」を加えた五大栄養素と呼ばれることもあります。

コレステロールは食事摂取以外でも作られている!?

脂質という栄養素は、さらに細かく様々な分類ができます。

そのうちの一つが、テレビなどでもよく聞く「コレステロール」というものです。

コレステロールは脂肪から摂取する以外にも、肝臓で合成もされています。

これは、コレステロールが主にホルモンの生成や細胞の膜の構成を担っており、脂肪の吸収そのものを助ける働きもあり、体内において重要な役割を果たしているからです。

コレステロール=動脈硬化を促進する、は間違い!?


 
コレステロールと聞くと、多くの方が「下げなくちゃいけない項目」として挙げています。

しかし、コレステロールにも「善玉コレステロール(HDL)」と「悪玉コレステロール(LDL)」という二種類が存在しており、善玉コレステロールは動脈硬化を促進するどころかむしろ抑制するという効果があります。

一方、悪玉コレステロールは動脈硬化を促進する効果があり、脂質の取りすぎによって上昇しやすくなっています。

血液検査をした際は悪玉コレステロールが上昇していないかの他に、善玉コレステロールが低下していないかどうかをチェックするようにしましょう。

中性脂肪は体内脂肪の元!

脂肪が敵視される原因の一つとして、「脂肪としてため込んでしまうと太ってしまう」ということがあげられます。

エネルギーが余ってしまうと、体は脂肪細胞の中に中性脂肪をため込みます。

そのため、中性脂肪が高いということは、それだけ体内に脂肪をため込んでいるということが言えるのです。

脂肪をため込みすぎてしまうと、血糖値のコントロールが悪くなってしまったり、体内の代謝が悪くなってしまうことでより太りやすくなってしまうなどの悪循環となってしまいます。

中性脂肪が高いと診断された場合には、カロリー摂取について考え、運動を日常生活に取り込むようにするとよいでしょう。

人間は飽食となった期間よりも飢餓で苦しんでいた期間が圧倒的に長いため、エネルギーをため込む働きが消費する働きよりも勝っています。

そのため、昔は重宝していた働きですが、今は意識的に節制しないとかえって体に負担をかけてしまうことになります。

気になる方は和食中心に

脂質は、体にとってなくてはならない栄養素です。

一方で、過剰にとりすぎてしまうと体にとって負担となりかねないという二面性をもっています。

近年、脂質が少ない食事として和食が注目されています。

中性脂肪や悪玉コレステロールが高いと診断された場合には、食事を和食にしてみるところから、初めてみてはいかがでしょうか?

<執筆者プロフィール>
山村 真子(やまむら・まこ)
看護師・西東京糖尿病療養指導士、一児&犬二匹の母親兼主婦。現在は医療系ライターとして執筆活動中