休みの日、ゴロゴロしているアナタに!筋肉成分で生活を変えませんか?

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執筆:山本 ともよ(管理栄養士)


忙しい毎日、気づかないうちに疲れが溜まっている…という人は多いのではないでしょうか?
せっかくの休日、有意義な時間の使い方をしたいものですが、体が重い、だるい、眠い…結局家の中でゴロゴロ過ごしていませんか?

このように疲労に悩む人たちに、最近、注目されはじめたのが「筋肉成分」。何だか強そうな名前ですが、蓄積した疲れを吹き飛ばすパワーがあるのでしょうか?
本記事では、「筋肉成分」について説明しましょう。

「筋肉成分」の正体

それはズバリ、「イミダゾールジペプチド」というたんぱく質の一種のこと。

イミダゾールジペプチドには、バレニン、アンセリン、カルノシンなどの種類があります。

はじめて発見されたのは意外に古く1900年で、哺乳類の骨格筋内で発見されました。さらに研究が進み、さまざまな動物においてもその存在が明らかになり、とくに、渡り鳥を祖先に持つガチョウの骨格筋中に豊富に含まれていることがわかりました。

さらに、その濃度が高かったのが、羽を動かす胸肉の部分でした。
このように、骨格筋と関係の深い成分であることから、「筋肉成分」と言われているのです。そのほか、脳や心臓、肝臓、腎臓など広く分布していますが、多くが骨格筋内に含まれています。

イミダゾールジペプチドの働き

その働きは、イミダゾールジペプチドを多く含む食品から見えてきます。

前項でもお伝えした鶏の胸肉、マグロ、カツオ、クジラなどに多く含まれます。数千kmも不眠不休で飛び続ける渡り鳥、魚類の中でも秀でた遊泳力を持つといわれるカツオ、毎日数百km泳ぎ続けるマグロ、寝ている間も泳ぎ続け、種によっては200年も生きると言われるクジラ。
これらの「パワーの源」には、イミダゾールペプチドの働きが深く関係しています。

その働きをもう少し詳しく解説しましょう。

イミダゾールペプチドには抗酸化作用があり、これが疲労回復に働きます。疲労には精神的疲労と肉体的疲労がありますが、どちらも刺激によって活性酸素が過剰に発生し、それによって傷つけられた細胞が脳に信号を送ることで起こります。

抗酸化作用とは、原因である活性酸素を抑える働きであり、これがイミダゾールジペプチドによる疲労回復のメカニズムです。

身体にどんな良いことがある?

ヒトを対象にした研究で、さまざまな効果があることがわかってきています。

運動機能の向上


イミダゾールジペプチドを摂取することで、骨格筋内のイミダゾールジペプチド濃度が上昇し、エルゴメーターの全力ペダリングを実施したところ、摂取後の骨格筋中のイミダゾールジペプチド濃度が、平均パワー、最大パワーともに、有意に相関することが確認されました。このことから、運動機能の向上に深く関与することがわかります。

運動による疲労の回復


10秒間全力でペダリングをしたとき、イミダゾールジペプチドを摂取した群において、疲労による最大回転数の低下を有意に抑制することが明らかになりました。また、主観的な評価でも、疲労感の上昇を抑えました。

さらに、組織損傷により生成されるストレス物質の上昇も抑えました。これらのことから、運動による疲労の軽減や細胞機能の低下を抑えると考えられています。

生活活動による疲労の回復


強度の高い運動までいかなくとも、日常生活の疲労に対しても効果があることが分かっています。日常での生活活動で疲労を自覚している被験者を対象に実験を行ったところ、イミダゾールジペプチドを摂取した群と摂取しない群では、摂取した群の疲労感が有意に低下しました。生活活動レベルでも、その疲労回復効果が期待できることがわかります。


どんな世代にも、つきものである疲労。しかし、その回復機能は年々衰えていきます。それが、さらなる疲労につながり、老化を加速させるという悪循環を招きます。
そんな老化の根源となる疲労の回復効果が期待できるイミダゾールジペプチドは、今だけでなく将来の生活の質を大きく変えることが期待できますね!


【参考】
http://japanpm.com/pdf/research05.pdf#search=%27%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%80%E3%82%BE%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%9A%E3%83%97%E3%83%81%E3%83%89%27

<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中