授業の臨場感に焦点を当てた「チャレンジタッチ」

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男、車、園、船......。大人なら当たり前の漢字も、初めて学ぶ小学生にとっては"難問"のようです。

2015年3月、ベネッセコーポレーションの添削式通信講座「進研ゼミ小学講座」から、タブレット学習「チャレンジタッチ」の受講生データをもとにした「小学生がまちがえた漢字ランキング」が発表されました。

漢字の書き順、その場で確認

学習専用タブレットを活用した通信講座「チャレンジタッチ」は2014年4月にスタートし、現在までに40万人以上の受講生が利用しています。ベネッセには日本最大級ともいえる小学生受講生の正誤データが蓄積されており、「漢字のどういったところを間違えやすいのか」を把握するために分析し、その結果がランキングにまとめられました。

ランキングによると、漢字を学んで間もない1年生の間違えやすい漢字1位は「男」(正答率38.3%)で、2位は「車」(同41.7%)でした。漢字の形に慣れていないため、突き出る、突き出ない、トメ、ハネなど「字形」を間違える特徴があります。

2年生は、1位「園」(同22.6%)、2位「船」(同28.2%)など画数の多い漢字を間違えやすいようです。学習する漢字数が増えてくる3年生以上では、形より「同音異字」がポイントに。「同音異字」で間違えやすい漢字1位は、3年生が「深長」と「新調」(同65.8%)、4年生が「『成』育」と「『生』育」(同46.9%)、5年生が「『復』習」(同63.8%)という結果になりました。

では、間違えずに覚えるにはどうすればいいのか――。"授業の臨場感"に焦点を当てたのが「チャレンジタッチ」です。専用タブレットを使うことで学習に音声と動きが活用できるので、目の前にいる先生から授業を受けている感覚で覚えられます。

「漢字の書き順が正しいかどうか、紙の教材ではおうちの方がとなりにつききりで見ていないと判断できませんでしたが、チャレンジタッチではその場で書き順を正誤判定して、子どもが確認できるようになりました」。これは、デジタル学習ならではの大きなメリット。ベネッセコーポレーション小学生中高学年開発部デジタル講座開発課の国語担当久富みずほさんも、「たかが書き順と考えがちですが、漢字を正しい字形で書くためには、まず正しい書き順を守ることが大切です」と話します。

また、同じ「男」という漢字でも、「おとこ」「ダン」など学校ごとに異なった読みで教わる場合があります。「チャレンジタッチ」の漢字学習は学校で習う読み通りに漢字を読み上げるため、子供が勉強に取り組みやすい利点もあるそうです。見る、聞く、書くが一体化された学習ならではの良さといえそうです。

語彙力育てる漢字学習が魅力

パソコンの活用が進み、「活字離れ」が叫ばれる昨今。正しくきれいに漢字を書く機会も減っています。あえて、「チャレンジタッチ」で漢字を学ぶ意義はあるのでしょうか。

久富さんは、3年生以降の「チャレンジタッチ」漢字学習は、語彙力を伸ばす学習を重視していると指摘します。例えば、「情」という漢字を学習するとき、ただ「情」を何度もくり返し書かせるのではなく、「情」熱、友「情」、「情」報などの熟語を通し覚えるよう考えられています。そうすることで漢字を正しく書く力だけでなく、漢字の意味や熟語を学びながら語彙力ものばせると言います。「将来、パソコンで文書を打ったり、読書をしたりする際にも、語彙力が必要になります。『チャレンジタッチ』の漢字学習は、漢字を使って生活していくことを視野に入れています」。

進研ゼミでは今後、受講生の正誤データを漢字学習にも役立てていきたいと考えています。久富さんは「間違えやすい漢字が明らかになったので、漢字の書き順、同音異字別の『間違えやすい漢字苦手特訓』といった展開が考えられます。子供たちの学習につなげていきたい」と話します。

専用タブレットを使って動き、音を生かした学習ができる「チャレンジタッチ」の魅力は、漢字を含む国語だけでなく、算数、理科、社会でも生かされているそうです。今回の漢字をはじめ、正誤データを活かした教材の展開が待たれます。