イギリスの飛込選手で、パリ五輪では10m高飛込シンクロで銀メダルを獲得したトーマス・デーリー選手。編み物が得意なことで知られ、東京五輪に続きパリ五輪でも観客席で編み物に勤しむ姿を披露。改めて編み物王子の異名を轟かせた。

そのデーリー選手が競技生活からの引退を発表した。パリ五輪が終わりイギリスに帰国した際に受けたBBCのインタビューで明らかにした。レポーターに心境を聞かれると「話すのが難しい。感情的になってしまう」と涙を抑えつつコメント。レポーターから「英国中があなたのことを誇りに感じています。銀メダルを持って帰ってきてくれたことを嬉しく思います。あなたも自分をとても誇らしく思っていることでしょう」と言われるとデーリー選手は「話すのが難しい。でも誇りに思っている」と笑顔に涙を浮かべつつ答えていた。

さらにオリンピックが終わってこれからどうしたいかと聞かれると「家族と一緒にいたい」と即答。デーリー選手は夫で脚本家のダスティン・ランス・ブラックとの間に6歳の息子のロビーと1歳の息子フェニックスがいる。「家族と過ごして2、3日間ちょっと普通の気分を味わえることにわくわくしている。でも、そうだね、圧倒されるような気持ちだ。こういう風になるとは思っていなかったけれど自分のキャリアをとても誇りに感じている」。

デーリー選手は2008年に14歳で北京オリンピックに出場して以来、五輪に5回出場し5つのメダルを獲得している。「自分のスポーツに別れを告げるときはいつもつらいものだ。自分の中で処理しなくてはいけないことはたくさんあるけれど、今がそのときだと思っている。今年はボーナスのような感じだった」とコメントしている。

ちなみに今回のパリ五輪では「人生でやりたいことリスト」の2つをクリアしたとも。1つは「家族の前、子どもたちの前で闘うこと」。もう1つは「開会式の旗手になること」。引退後はどんな「やりたいこと」をかなえていくのか、楽しみにしたい。