年収も店選びも完璧な広告代理店マン31歳。しかし、2回目のデートがないワケ
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:年収1,000万超の商社マン。女を2軒目に誘ったら「明日、朝早いんです」と言われて…
明日香と出会ったのは、食事会だった。
男女3対3での食事会は大いに盛り上がり、その後、僕より2つ年下で29歳の明日香と初デートの約束をした。
でも、その後何度誘っても明日香の返事はそっけない。
― 翔也:明日香ちゃん、元気?今日もいい天気だね!
そんな日常会話を送っても既読スルーされる始末。デートでは、盛り上がったのに、どうして明日香は僕のLINEに返信さえしてくれないのだろうか?
Q1:大人数での食事会。女が加点で見てしまうポイントは?
明日香と出会った食事会は、会社の先輩が誘ってくれた会だった。
男性は3人、女性も3人いた中でみんな可愛かったけれど、僕はとにかく明日香に目を奪われた。
外見は女子アナにでもいそうな清楚系で、可愛くて品がよさそうな明日香は僕のかなりのタイプだった。
「明日香ちゃんって、翔也のタイプだよな?」
先輩にそう耳打ちをされた時、あまりに図星すぎて僕の顔は赤かったと思う。
「そうですね。かなりタイプです」
そう素直に答えると、先輩は何かを悟ったように頷いた。
大手広告代理店に勤める僕たち。こういうときほど、先輩が頼もしく見えることはない。また食事会では驚くほど男同士のチームワークをいかんなく発揮するのも、僕たちの実力のうちだ。
「翔也は、すごく仕事ができるんだよ〜」
気を利かせた先輩が、さりげなく僕を褒めてくれる。それは、明日香にもしっかり刺さったようだ。
「そうなんですか?すごいですね」
「いや、全然。大したことないですよ」
先輩に感謝しながら、僕は目の前のハイボールを飲み干す。
そして盛り上がった僕たちは2軒目にも行くことになった。
「翔也、なんか歌えば?」
先輩にそう言われ、僕はこういう場で盛り上がる鉄板の曲を入れる。
宴会芸とまではいかないけれど、一曲くらいこういう鉄板曲を持っていないと飲み会は乗り切れない。
この時も抜群のチームワークを発揮し、僕は歌う係で、そして先輩たち二人は合いの手を入れる係として男三人でしっかりと盛り上げた。
そして歌い終わると、拍手喝采だった。
「翔也さんって、こんな面白い人なんですね」
明日香も笑ってくれていたので、体を張って歌った甲斐があったと思う。
「いやいや、歌わされ慣れてるので」
「そんな感じがしました(笑)」
もちろんこの後すぐにグループLINEが作られ、「ありがとうございました」や「また飲みましょう〜!」という社交辞令なのか本心なのかわからないLINEがグループ内で飛び交う。
そこから僕は個別で明日香に連絡をし、デートに誘ってみる。するとOKとの返事が来て、デートできることになった。
Q2:女から見た、デート中の男の評価は?
そして明日香との初デート。明日香の会社は丸の内だと言っていたので、近いほうがいいかなと思い、僕は『マルゴ 丸の内』を予約した。
「明日香ちゃんって、ワインが好きって言っていたよね?」
「大好き!覚えていてくれたの?」
「この前そんなことを言っていたなと思って、この店にしたんだ」
「嬉しい!ありがとう」
女性が話していたことは、極力覚えておくこと。これは恋愛の初期段階における鉄則だと思う。
「女性って、話していたこと覚えていてもらえると嬉しいって聞いたことがあって」
「たしかにそうかも」
そんな話をしながら、まずは乾杯をする。グラスワインがたくさんあるので、料理を食べながら僕たちはワインを何杯かおかわりした。
「翔也くんって、普段はどういう所で食事をしているの?」
「昼は社食が意外に多いかも。夜は、何もないときは適当に食べて帰るかな」
「そうなんだ。お家、どの辺りだっけ?」
「僕は十番だよ」
「十番だと美味しいご飯屋さんも飲むところもたくさんあっていいね!」
少し酔ってきたのか、話している明日香の頬が赤くなっている。
「明日香ちゃん、酔っ払ってきた?」
「え?まだ全然大丈夫だよ」
「本当?それならいいんだけど」
本人が「酔っ払っていない」と言うから大丈夫だろう。でも気がつけば、明日香は既にグラス3杯以上飲んでいる。
「明日香ちゃん、飲むペース速いんだね」
「そうかな。翔也くんはお酒強いの?」
「普通、かな」
「それって意外に強いってことだよね(笑)」
元々朗らかな雰囲気の明日香だけれど、今日は一段とテンションが高いように感じる。デートを楽しんでくれている証拠なので、僕も嬉しくなる。
「翔也くんって、先輩たちといる時と雰囲気違うね」
「そう?って、あんな毎回バカみたいに一生懸命歌を歌ったりしないよ(笑)」
「まぁ二人きりの時にあのテンションで歌われても困っちゃうけど」
しばらく沈黙が流れ、僕たちは同じタイミングでグラスワインのオーダーを追加する。不意に明日香と目が合うと、急に明日香はテラスのほうへ視線をずらした。
「それにしても、すっかり冬めいてきたね〜」
たしかに長すぎる夏が終わり、秋はあっという間に過ぎて行ったようだ。
「本当だね…」
「私、夏が好きで。寒いの苦手なんだよね。翔也くんは?」
「僕は逆に冬が好きかな」
「真逆だ〜」
そんな話をしているうちに食事も終わり、僕たちはお会計を済ませて外へ出た。イルミネーションの準備が始まっている丸の内は綺麗で、僕たちは思わず立ち止まる。
「綺麗…もうクリスマスシーズンかぁ。来週くらいからちょうど始まるんだよね、イルミネーション」
明日香の言葉に反応するかのようにもう一度、僕は既にライトがセットされた木々を見上げてみる。それと同時に隣にいた明日香の様子を伺うことにした。
「この後どうする?よければもう1軒行かない?銀座になるんだけどいいバーがあって」
「ごめん、行きたいんだけど少し酔っ払っちゃったみたいで…また今度でいい?」
「もちろん。ってか、大丈夫?」
「全然大丈夫。ごめんね、今日は先に帰るね」
こうして、明日香は颯爽と去っていった。そしてこの日の夜にお礼のLINEが来て以来、明日香は急に冷たくなった。
― え…デート中に、僕が何かした??
しかしどう考えても理由がわからず、僕はショックを受けている。
▶前回:年収1,000万超の商社マン。女を2軒目に誘ったら「明日、朝早いんです」と言われて…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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女のこのデートの評価は?