「えっ！帰っちゃうの？」ホテルに取り残されたグラビア級美女。彼女をトリコにした男の正体

2023年6月21日 5時3分

恋人や結婚相手を探す手段として浸透した「マッチングアプリ」。

接点のない人とオンラインで簡単につながることができる。

そう、出会うまでは早い。だけど…その先の恋愛までもが簡単になったわけじゃない。

私が、僕が、あの時NGを出したワケ。ここでこっそりと教えてあげる。

▶【Q】はこちら：色白でグラマラスな人気会員に「会いたい」と言われたが…。“ある部分”に自信がなくて悩む32歳男

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Episode04【A】：宮本美和、27歳。
顔目当ての男には、もううんざり…。

「ごめんね、和也くん。楽しくて飲みすぎちゃった…」

六本木のシティホテルの一室で、私は今夜のデート相手に謝った。

「いや、僕が強いから、ペース合わせちゃうよね。ごめん」

介抱してくれているのは、マッチングアプリで出会った、和也。

楽しく食事していたことまでは覚えているのに、二軒目のシャンパンバーから記憶が曖昧だ。

ここに来るまでに、和也がタクシーの中で水を飲ませてくれたからか、ようやく意識がハッキリしてきた。

― あぁ、もう。最悪。

私は和也に対し、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、涙があふれてくる。

「美和ちゃん、大丈夫？冷たい水は胃を刺激して、さらに気持ち悪くなるから、これ飲んでね」

和也はケトルでお湯を沸かし、わざわざ白湯を作って、私に手渡してくれた。

― どうして、そんなに優しいの…？

私は和也にバレないよう、涙をぬぐった。

「ありがとう。あのね…信じないかもしれないけど、こんなの初めてなの」

「うんうん。わかったから、もう横になって」

和也は、優しく諭した。

― この人となら、このまま朝を迎えてもいいかも。

私は、頭痛と吐き気を堪えながら、ベッドから和也を見つめた。

「あと、経口補水液もここに置いておくね。飲みづらいけど、これをたくさん飲んだら明日楽になるから」

「…うん」

「じゃあ、僕は行くね。今日はありがとう！本当に楽しかった」

だけど、和也はジャケットを羽織り、私に別れを告げた。

「えっ？あ…うん。私も。ごめんね、和也くん。また連絡する」

私は、予想外の展開に拍子抜けした。

こういうとき、男性はあわよくば…と思うものではないのだろうか。

― それならそれで、いいんだけど…。ていうか、せめてメイクは落とさなければ。

そう思っていたのに、私はコンタクトも化粧をしたまま、眠りについてしまった。

◆

実は私には、付き合って3年になる彼氏がいる。

しかし、マンネリ化に悩んでいた矢先、彼の浮気が判明した。

しかもその浮気相手は、私とInstagramでつながっていて、あろうことか彼の存在をガッツリと匂わせていた。

それは、彼の腕の画像だったり、彼の持ち物だったり、“恋する女のイタさ”全開のポエムだったり…。

浮気の事実を、私にアピールしたくて仕方ないようだ。

そんな事実を知っても彼を泳がせているのは、2週間後に私の誕生日があるから。

「今年こそは海外でお祝いしようか。欲しいものがあったら教えて」

「いいね！モルディブとか…？あ～やっぱり、イタリアかフランスがいいかも」
「OK。じゃあ、早速手配するわ」

別れるつもりの彼氏との南国リゾートは地獄だろうと、買い物と食事重視の行き先を選んだ。

豪勢にお祝いをしてもらってから、日本でサラッと別れを告げる計画なのだ。

そして、その時に新しい彼氏候補がいれば最高だ。だから、マッチングアプリを始めた。

『Mちゃん、すっごく可愛いですね！』
『めちゃくちゃタイプです』
『なぜ天使が地上にいるのですか！？』

― はぁ…。

マッチングアプリに登録すると、たくさんの男性からメッセージが届いた。

それなのに、いい人は全然いない。

私は色白で童顔。さらにバストにボリュームがあるせいか、変な男が寄ってくる確率が高い。

それがリアルだろうが、マッチングアプリの中だろうが、変わらなかった。

― バストアップの写真は避けたのになぁ～。

そんななか、目に留まったのが、和也のメッセージだった。

『Mさん、はじめまして。旅行会社に勤務されているんですね。僕も国内外問わず、旅が好きなのでぜひお話してみたいです！きっとメッセージをたくさんもらってると思うので、気が向いたらお返事ください笑』

長すぎず、短すぎず、ラフすぎず。そしてかしこまりすぎてもいない。

こんな簡単なことなのに、できない男性が多すぎるから、すごく目立った。

顔画像が1枚もなかったが、それはあまり気にならず、私と和也はその日からやりとり始めた。

◆

「ふふ。和也さんって、本当に面白いですね」
「そう？」

平日の23時。私は、ベッドに横になりながら和也と通話をしている。

「はい、ものすごく。こんなに笑ったの久々です」

和也と話すのは本当に楽しかった。

彼は言葉選びのセンスがいいし、聞き上手で、基本的に謙虚。それが心地よかった。

それなのに、なかなか誘ってくれないので、しびれを切らした私は会うことを提案した。

「あの～…」
「ん？どうしたの、美和ちゃん」
「そろそろ会いませんか？もう電話も3回目だし」

顔がわからない人と仲良くなるのは、新鮮で面白い。

けれど、和也と話せば話すほど、電話だけじゃなくて会いたい気持ちが高まった。

「そうだね！来週あたり会おう」

― やった～！

「うん！和也くん、お酒も飲むよね？私がお店探そうか？」

私は、興奮気味に聞いた。

「ありがとう。でもそこは男の僕にさせて。好き嫌いとかアレルギーはある？」

私から提案したが、お店を探してくれるという彼に、男らしい気概を感じる。

「ないよ！やっと会えるね。楽しみにしてます」

「僕も。じゃあ、お店いくつか探して送るね。その中から美和ちゃんが決めて」

「わかった。ありがとう！じゃあまた。おやすみなさい」

和也が送ってくれたリストの中には、彼氏と行ったことのある店も含まれていた。

そこに他の男性と行くくらいでは、浮気の仕返しには足りないだろう。

でも、私は和也にその店をリクエストした。

◆

「はじめまして、美和です！」
「美和ちゃん、今日は来てくれてありがとう」

和也は、会う前と印象が変わらなかった。

気が利くし、優しいし、それに食の好みも合う。

テンションが高いわけではないのに、話が面白くて、久しぶりに声を出して笑ったような気がした。

それなのに、私は和也と話しながら彼氏のことを考えてしまっていた。

交互に押し寄せる、プラスとマイナスの感情。

それらを鈍らせるために、強くない日本酒を、たくさん飲んでしまったのだ。そのせいで、横浜の自宅まで自力で帰ることが困難になり、和也が近くのホテルまで運んでくれた。

「はぁ…最悪」

翌朝。

私は目に張り付いたコンタクトレンズと、カピカピに乾燥してしまった顔に落胆した。

しかし、和也の介抱のおかげか、二日酔いはそこまでひどくない。

― あれ？LINE…来てない。

私は、通知がゼロのスマホを持ったまま首をかしげた。

生まれてからずっとモテてきた女は、時々調子に乗ってしまう。どんな姿を見せても、必ず男は追ってくると。

『美和：和也くん、昨日は本当にごめんね。お詫びにごちそうさせてください』

私は、急いで和也に連絡した。

自分から会おうと言わないのに、お店の予約をしてくれて、当然のようにごちそうする。

そして、泥酔した初対面の私に指一本触れないでホテルに泊め、自分は家に帰る。

― そのあとは、連絡がないなんて…ズルいよ。

まんまと彼の手中にハマっているのだろうか。

でも、それでよかった。この人を離したくないから。

『美和：早くまた会いたいです』

私は、和也の返事を待たずに追いLINEをした。

会うまで和也の顔を知らなかったけど、中身が素敵すぎて、顔もかっこよく見えた。

― もっとちゃんと向き合いたい。

そのために、彼氏にも連絡をした。

『美和：話があるんだけど、これから会える？』