マッチングアプリの初アポ。経験者ならわかる、1時間盛り上がった後の“沈黙”の意味とは…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:二軒目に移動した途端に、スマホをいじり始めた女。30分後不機嫌になって帰宅した理由は…
七瀬とのデートを終え、僕は晴れやかな足取りで家に着いた。
今日で会うのは二度目だったけれど、特別な何かを感じている。
30代になって仕事が軌道に乗ると、お金目当ての女性が多く寄ってくるようになり、結婚する以外で付き合うメリットもよくわからなくなっていた。
― 剛:七瀬ちゃん、今日はありがとう!
― Nanase:ごうさん、今日はありがとうございました。とっても楽しかったです♡次回も楽しみにしていますね!
今日の帰り際に次に会う約束もしたし、LINEでも七瀬は前向きだった。
しかしこのあと急に次のデートを断られ、そして次第に疎遠になってしまった。
果たして、七瀬の気持ちはどうして変わったのだろうか…。
Q1:マッチ後の初デート。女が気にしていた点は?
七瀬と出会ったのはマッチングアプリだ。写真でも目を引くほどの美人で、いいねをするとマッチし、何度かやり取りをした後ですぐに会うことになった。
メッセージでやり取りをしている段階で、スムーズに進むかどうかは何となくわかる。七瀬とはメッセージのやり取りのテンポも良く、幸先の良いスタートだった。
マッチして2週間後。まずは実際に『Cafe & Dining ZelkovA(カフェ&ダイニング ゼルコヴァ)』で会うことになった。
「初めまして…剛さんですよね?」
「そうです。初めまして」
少しだけ遅れてやってきた七瀬。透き通るような肌に、華奢な手足。写真で見ていた通りの印象で、僕は少し緊張してきてしまった。
「七瀬さん、綺麗ですね」
「いえいえ、そんなそんな。剛さんもイメージ通りでした」
「イメージ、どんな感じでした?」
「爽やかで優しそうだなぁと。身長、お高いんですね」
僕の身長は178cmなのでそこまで高くはないと思うけれど、七瀬が褒めてくれて嬉しくなる。
「七瀬さんは、何のお仕事をされているんですか?IT系と聞いておりましたが…」
「スタートアップの企業で秘書をしています。剛さんは?プロフィールがすごい華やかでしたけれど…」
アプリ上で、僕は自分の仕事を一部開示していた。プロフィールにもお気に入りの車と時計の写真を載せたりしていたので、僕の経済状況はなんとなく把握できてはいると思う。
「僕はいくつか会社をやっているんだけど、一つは美容系ですね」
「美容系?気になります!」
「サプリとか作っているんだけど…」
実際に会うのは初めてということもあり、双方質問が絶えない。
「剛さん、絶対にモテますよね?」
「会社が軌道に乗ってから、言い寄ってきてくれる女の子は増えたんだけど…。でもそういうのって分かっちゃうんだよね」
「そっか…。それはそれで大変ですね」
お互いの恋愛話をしたり仕事の話をしていると、もう1時間が過ぎていた。
「あれ、もうこんな時間だ」
「本当ですね。あっという間…」
不意に、七瀬と目が合う。お互いに次もあるのかどうか若干探っている。もちろん、僕としては七瀬との関係を進めたいと思っていた。ここで誘うのは、男の僕からいくべきだろう。
「良ければ、次は飲みに行きませんか?」
「もちろんです!」
彼女の表情がパァッと華やぐ。こうして僕たちは次の約束をして店を後にすることにした。
「ここは僕が払っておきますので」
「いいんですか?ご馳走さまです」
「いえいえ。お茶なんて安いものですから」
「ありがとうございます。次も楽しみにしていますね」
「何食べたいですか?」
そんな会話をしながら、僕たちは表参道の交差点まで辿り着く。
「七瀬さん、電車ですか?」
「あ…。私は少しお買い物をしてから帰ろうかなと」
「そうですか。表参道でショッピング、いいですね」
七瀬と手を振って別れながら、僕は次のデートの店をすぐに考えていた。
Q2:女が二度のデートでずっと引っかかっていたことは?
そして二度目のデートは女性ウケが良さそうな、虎ノ門にあるイノベーティブなレストランにした。
「素敵なお店ですね…」
「いいでしょ?僕も初めて来るんだけど、気になっていた店なんですよ」
シャンパンで乾杯し、改めて七瀬を見つめてみる。惚れ惚れするくらい肌が綺麗で、つい触れたくなる。
「七瀬ちゃんって、本当に肌綺麗だよね。普段何かしてるんですか?」
「特別なことは何も…。でも一応、美容皮膚科には通っています」
「何してるんですか?」
「フォトフェイシャルとか?」
「それだけ?」
「はい。でも剛さんも肌綺麗ですよね」
「一応、美容系なので(笑)自社製品のサプリはせっせと飲んでます」
「ビタミン系でしたっけ?」
思わぬ美容話に花が咲く。七瀬は美容が好きなようで、いろいろと教えてくれた。
「七瀬ちゃん、詳しいですね」
「好きなんですよね…って、こんな話ばかりでつまらないですよね?」
「ううん。勉強になるし、聞いていて楽しいです!」
気がつけば食事は終盤に差し掛かっている。時計を見るとまだ22時で、もう1軒は行けそうな時間だ。
「この後、時間ありますか?もう1軒行きません?」
「もちろんです」
「ここ、僕が払ってもいいですか?結構値段がいってるから(笑)」
「いいんですか?ありがとうございます」
こうして、2軒目はホテルのバーへと移動した。
東京の夜景が綺麗に見えるバーは薄暗い照明で雰囲気も良く、しかもソファ席だったので距離も近くなる。敬語もいつの間にかなくなっていた。
「こんなこと二度目で言うの気持ち悪いかもだけど、七瀬さんのこと結構好きかも」
「本当に?ありがとう」
「またご飯行かない?」
「もちろんです」
そこから2人で話し込んでいると、もう24時前だった。
「そろそろ行こうか」
そういって会計をしてもらおうとすると、なんと七瀬がいつの間にか支払ってくれていた。
「え!?いいの?」
「もちろんです。さっき払ってもらったので」
「たしかにさっき払ったので、ご馳走になろうかな。ありがとう!」
そしてホテルの下まで降り、それぞれのタクシーに乗って別れた。
帰宅後、早速七瀬にLINEを送るとすぐに返事が来て、「次回も楽しみにしている」と言っていた。
しかしこの後。約束の4日前にキャンセルされ、それ以降代わりの日程を出しても毎回断られてしまった。
そして2回連続で断られ、僕はようやく気がついた。七瀬が僕とデートする気がないことに。
― なんでだ…?
二度のデートで、特に思い当たる節はない。果たして、七瀬はどうしてデートの誘いに乗って来なくなったのだろうか。
▶前回:二軒目に移動した途端に、スマホをいじり始めた女。30分後不機嫌になって帰宅した理由は…
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:5月14日 日曜更新予定
女が2回のデートで思っていたことは?