【医師が解説】運動し過ぎると「免疫力」が下がる!? “運動”と“免疫力”の関係とは

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健康を維持するために運動をする方は多くいますよね。では、“運動”と“免疫”には、どのような関係があるのかご存じでしょうか?

「なんとなく関係あるのでは?」と思っている人が多いかもしれません。そこで今回は、『ファミリークリニックあざみ野』の院長である、総合診療医の石井道人先生に話を伺いました。

運動と免疫力は関係がある!?画像:プラナ/PIXTA(ピクスタ)

--“運動”と“免疫力”は関係があるのでしょうか?

運動をすると“ナチュラルキラー細胞(NK細胞)”とよばれる免疫細胞が増えるといわれています。ナチュラルキラー細胞は、血液中でウイルスに感染した細胞などを取り除く働きを持っていると注目されている細胞です。

また、白血球の一種であるリンパ球も運動によって増えるという報告もあります。

運動することで、そういった免疫細胞を増やすことにつながりますので、運動と免疫には関係性があるといえるでしょう。

--逆に、激しい運動は免疫力を下げるというのは本当ですか?

そうですね。激しい運動や長時間の運動の後では、ナチュラルキラー細胞は減少するといわれています。

また、鈴木克彦氏の『運動と免疫」によると、「マラソンやトライアスロンのような過酷な持久性運動では、競技終了後2週間で50~70%の選手が感冒症状を呈し、そのリスクは通常の2~6倍になる」(※1)とも説明されています。

自分に合った適度な運動を心掛けて画像:saki/PIXTA(ピクスタ)

--では、どんな運動をすればいいのでしょうか?

適度な“有酸素運動”をするのがいいでしょう。軽く汗ばむような運動を30分程度行うのがおすすめです。

ただし、人によって体力に違いがあると思いますので、必ずしも有酸素運動がいいというわけではありません。

筋トレなどでもいいですし、自分にあった運動や時間に調整した方がいいでしょう。

また、最近は難しいかも知れませんが、1人でやるよりもバトミントンやテニスなどの複数人でやるスポーツをおすすめしています。

スポーツの種類による平均寿命を調べた論文でも、1人でランニングをしていた人よりも複数人でテニスやバドミントン、サッカーをした人の方が平均寿命が長かったという研究結果(※2)が報告されています。

いかがでしたか。健康のために、適度な運動を取り入れてみるのもいいかもしれないですね。

※本サイトにおける医師および各専門家による情報提供は、診断行為や治療に代わるものではなく、正確性や有効性を保証するものでもありません。また、医学の進歩により、常に最新の情報とは限りません。個別の症状について診断・治療を求める場合は、医師より適切な診断と治療を受けてください。

<プロフィール>
石井道人
2007年北里大学医学部卒業後、東京都立多摩総合医療センターにて研修後、ERに専従。北海道喜茂別町で僻地・家庭医療に従事したのちに、現在は横浜市青葉区の『ファミリークリニックあざみ野』の院長を務めている。

【画像・参考】
※1 運動と免疫(鈴木 克彦)
※2 Mayo Clin Proc. 2018 Dec;93(12):1775-1785.
※Pangaea・プラナ・saki/PIXTA(ピクスタ)

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【筆者略歴】

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