「中華そば」(750円)。徳島の地鶏「阿波尾鶏」の旨味と深いコクが詰まったスープと、北海道産小麦で作るなめらかな自家製麺がマッチ

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2018年6月26日、東京・末広町にオープンした「中華そば 龍の眼 Produced by 創作麺工房 鳴龍」。その店名からわかる通り、「ミシュランガイド東京2018」で1つ星を獲得している「創作麺工房 鳴龍」(東京・大塚)の齋藤一将シェフがプロデュースしたことで、話題を集めている。

【写真を見る】黄金色に輝くスープは「阿波尾鶏」の鶏ガラがメイン。「大山どり」など他も試したそうだが、「コクと油が格段にいい」というのが決め手に

■ スープには地鶏の中でも旨味とコクが強い「阿波尾鶏」を使用

「鳴龍」といえば「担坦麺」が代名詞だが、「龍の眼」は中華スタイルの王道のラーメンで勝負する。その核となるメニューが「中華そば」(750円)だ。

スープは鶏清湯(チンタン)。齋藤シェフが惚れ込んだブランド地鶏「阿波尾鶏」(徳島)のガラを贅沢に使っている。旨味が強く、コクのあるダシが取れるのが特徴で、国産の丸鶏と一緒に数時間かけて丁寧に煮込んだあと、さらに仕上げに煮干し、カツオ節、サバ節などの魚介も加え、香りと深みも出している。

スープに合わせるのは醤油ダレ。厳選したたまり醤油や濃口醤油など数種をブレンドし、魚介のエキスも詰まっていて、角がなくまろやかな味わい。ほんのりと甘味があり、鶏の旨味をシンプルに引き立てる。

【ラーメンデータ】<麺>中細/平打/ストレート <スープ>タレ:醤油 仕上油:鶏油(チーユ) 種類:鶏ガラ・魚介(煮干し)

■ 北海道小麦を使った自家製麺は、長さまで齋藤シェフが指定

麺は店内の製麺室で仕込む自家製。齋藤シェフが小麦の種類や配合などをすべて決めて、「鳴龍」とは違ったものを作り出した。ポイントとなるのが小麦。上質な北海道産を厳選し、香りと風味がより増すように全粒紛も配合している。

また、スープとの相性を考えて「鳴龍」よりもあえて短めの長さに。喉ごしなめらかで、絶妙な長さの麺がスルスルと通っていく。もちろんコシもあり、噛むと小麦の風味がしっかりと伝わる。

具の中で齋藤シェフが特にこだわったのがチャーシュー。豚肩ロースを広東料理の伝統的な“吊るし焼き”をアレンジした調理法で仕上げている。甘めの味付けで、噛むほどにスモーキーな香りが増す、他でも味わえない逸品だ。

基本メニューの「中華そば」に、チャーシューが別皿で約125gも付く「チャーシューそば」(1,100円)や、大きめなワンタンが5個のる「ワンタンそば」(980円)などもおすすめ。

「鳴龍」とはまったく異なるアプローチで、齋藤シェフが作り上げた「中華そば」。シンプルながら奥深い一杯を堪能しよう。(東京ウォーカー・取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦)