【インタビュー】古川雄輝「間宮くんの初めてのキスシーンを僕が奪っちゃいました(笑)」

愛憎と裏切り渦巻く「14歳の世界」を描いた古屋兎丸の人気漫画「ライチ☆光クラブ」。舞台化もされ人気を博すこの物語が遂に映画として誕生。今、注目の若手俳優9人が一同に会し、演技バトルを繰り広げるこの世界の中で、一際異彩を放つのが、独裁者ゼラを演じた古川雄輝さん。今までのイメージをガラリと変え、狂気に満ちた怪演を披露した古川さんの本作にかけた思い、自身の「俳優としてのイメージ」と向き合ってきた日々をたっぷり語っていただきました。


『この役は“自分にとって挑戦になる”と思いました』


――古川さんの今までのイメージを一新するような「ゼラ」というキャラクター。オーディションではどうしても掴みとりたかった役だとお聞きしました。

古川:そうなんです。オーディションの時からゼラがやりたいと思っていたので受かってすごく嬉しかったです。だからこそ台本を見た時は「(自分にとって)挑戦になるな」とすごく思いました。ゼラは今まで演じたことのないキャラクターだし、光クラブの支配者でずっと喋っているんです。セリフ量が尋常じゃないくらい多いんですよ(笑)。

――期待と挑戦と…。

古川:純粋にこういうクセのある役、「自分ができるのか」という不安も正直あったし、同時にワクワク感もありました。でも、いざ現場に入って演じてみたらすごく楽しくて。自分が思い描いていたようなゼラを演じられることが多かったんです。監督が自由に演らさせてくださる方だったので、アドリブもいっぱい入れてみました。ベロをベーって出している所なんかは僕が勝手にやってみたんです。(笑)。全然台本にないことも結構やっていました。監督が寛大でした(笑)。

――ゼラに思い入れがあったからこそ、古川さんの思いを役に反映した、ということでしょうか?

古川:それもありますね。それにプラスして、ゼラはメンバーを支配している立場なので唯一自由に動ける役なんですよね。他のキャラクターはゼラがいる場所で自由に動くのが難しい。だからこそゼラの動きが際立つというか、そこが利点ととらえて僕なりにゼラの動きを考え演じました。


『撮影が始まる1か月前ぐらいから台本を読まない日はなかったです』



――古川さんは事前に演技を練っていくタイプなんですか?

古川:そうですね。今回も撮影が始まる1か月前ぐらいから台本を読まない日はなかったです。相当前から考え込んで、動きとかも全部自分なりに考えていました。特に今回は時間をかなり費やしました。自分なりに作り込んだゼラを監督に見せるとすごく優しい方なので「いいよ、それで」みたいな感じでやらせてくれるんです。

――ストイックですね。撮影期間中、他のメンバーは間宮(祥太朗)さんの部屋に集まってなんだかいたずらをしあったりしていたそうですが…(笑)。

古川:撮影は静岡でやっていたので1か月間みんなで泊まりこみだったんです。撮影が終わったらみんな飲むのが大好きなので、飲みに行っちゃうんですけど、僕は部屋に戻って台本を読みたかったから1回も行かなかったですね(笑)。「どこに立ってどう動けば、いい動きができるんだろう」って事前に練りながら1人考えてました(笑)。

――真面目ですね。ゼラというキャラクターもある意味「孤高」ですよね。ちょっと歪んだ14歳の心理状況みたいなものはどういうふうに捉えていましたか。

古川:ゼラは奥が深くて、孤独と言えば本当に孤独なんですよね。なんでゼラが大人になることを嫌うのかといったら、自分の親が関係しているわけで。まわりの大人を見て「自分はあんな大人になりたくない」「あんな疲弊しきった人たちになりたくない」という思いからなんですよね。頭が良すぎていろんなことを理解してしまっているから同じ14歳と合わない、と思った時に、ゼラは手袋をしたりして「ゼラという人格」を作った上で、仲間を増やしていくんです。


『間宮くんの初めてのキスシーンを僕が奪っちゃいました(笑)』


――撮影現場で大変だったことは?

古川:現場はすごい寒かったんです。その上で血のりを被るシーンはきつかったです。血のりって水なんですよ。だから水浸しになっている所での撮影は結構きつかったです。寒いし過酷だった…(笑)。夜の撮影がメインだったこともあって光が入らない時間帯にスタートして終わるのが朝5時とかだったのも大変でしたね。僕が最後にクランクアップだったのでどんどんどんどん現場から人がいなくなっていく中、ずっと血まみれで(笑)。なかなか大変でしたけど、その分すごくやりたかった役だけあって、達成感はありました。

――女性にはこの「ライチ☆光クラブ」をどんなふうに観てほしいですか?

古川:女性の方が観る時って、きっと「間宮(祥太朗)君とのキスシーン」とか「BL的な要素」とか、「男の子がいっぱい出てる」といった見方をされるかと思うんですが(笑)、実はもっと奥が深かったりするので、個々のキャラクターのバックグラウンドをじっくり知っていただいた上で「ライチ☆光クラブ」を観ていただけたらと思います。

――そうは言いましても、間宮祥太朗さん演じるジャイボとのシーンもお聞きしたいのですが…(笑)。禁断のシーンはお互い演じる上でどんな感じだったんですか。

古川:特に何も話し合うといったことはなかったですよ。サッっとやってました(笑)。僕、キスシーンがものすごく多くて、作品毎にキスしてるんですけど男とのキスは初めてでした(笑)。

――どうでしたか?

古川:変わらないっちゃ変わらないですね(笑)。ただ間宮くんはキスシーンが初めてだったみたいなので、お初を僕が奪っちゃいました(笑)。


『王子様イメージがついてしまって、役者としては困っています(笑)』


――古川さんの俳優としてのキャリアについても教えてください。ドラマ「イタズラなKiss」への出演によって中国などで爆発的な人気が出て「古川さん=入江くん」が定着している感がありますが、キャラクターと自分自身とのジレンマを感じることはありますか?

古川:すごいあります。「イタKiss」に出たことによって、すごい多くのファンの方が付いてくださったり、それをキッカケに中国でお仕事をすることが出来たり、役者としてはプラスなことではあったんですけど、それと同時に王子様的なイメージが強くついてしまったんですよね。だからそういう役が多くなって毎作品キスしてるんですけど(笑)。役者としては正直非常に困るんです(笑)。

――他にもありますか?

古川:あとは僕、顔が実際の年齢より若く見られることが多いので学生役も多いんですけど、今年はもう28歳なので、「少女漫画のようなキャラクターをいつまでもやってるわけにはいかないな」、とか「イメージを壊したい」という思いがすごくあります。そんな中での今回のゼラなんですね。


――古川さんといえば「帰国子女のインテリ」「ハイスペック俳優」などとも言われていますよね。

古川:それも「入江くん」のキャラクターの印象が強いんだと思います。頭良いイメージがついてしまって、そういう役もよく回ってきます。ゼラも頭良いんですよね。でも本当の僕はそんなに頭良くないですよ(笑)。みなさんの持たれる僕のイメージとはわりと逆なところにいるので…(笑)。僕自身はファンの方のイメージに応えようとは思っていないんです。逆にどんどん裏切っていきたい。それが俳優としてのありかたかなって思うんです。恋愛物の作品を観てファンになってくださった方々にこそ、今回のゼラを観てほしいですね。これを観たら「古川君、こういうのもやるんだ」と違う見方をしていただけると思います。


『たぶん僕、変な現場にいっぱい入ってると思います(笑)』



――中国での活動や、次回作では韓国のクァク・ジェヨン監督との作品「風の色」が控えています。古川さんご自身もずっと「海外」にいらっしゃったからこそ、あえて「日本映画の良さ」を感じる所はどこでしょうか?

古川:その質問は初めてですね、日本映画の良さ…。日本映画の良さは「撮り方」ですかね。日本人らしいというか「しっかり」「ちゃんと」「スケジュール通り」に撮るというのが良いところだと思います。意外と海外ではできないことだから(笑)。みんな時間通りに遅刻をせずに来て、っていうところは海外ではありえない(笑)。

――俳優としては日本のやりかたはやりやすい?

古川:僕は結構事前に考えるタイプなので、「ここでこうやったらこうなるかもしれない、じゃあこういうパターンをやろう」といくつも考えて、ある程度計算したりするんで、海外の撮り方だとアワアワしちゃう部分はあります(笑)。

――いろんな世界を見るのは俳優としてもいい経験にはなりますよね。

古川:たぶん他の俳優さん以上に、僕、変な現場にいっぱい入ってると思います(笑)。中国のドラマとかもう正直信じられないくらい大変すぎますから(笑)。

――でも耐性がつきますね。

古川:国ごとによって対応はかなり変わってきますよね。海外だとインタビューでちょっと本音を言ったりするとすぐネットに上がっちゃう。インタビュー横で動画を必ず撮っているから常に「見られている」って思ってやらないといけない(笑)。


『バラエティーが好きで…特に好きなのは「アメトーーク!」』


――最後にPeachyには「ごきげん」「ハッピー」という意味があるのですが、古川さんにとってのごきげんの源はなんですか?

古川:バラエティーを見ることですね。特に好きなのが「アメトーーク!」。ドラマを観ちゃうと仕事的な見方をしてしまうんですよね。知り合いもいっぱい出てるし。だからバラエティー番組を見ている時が一番楽しいですね。あとはアニメ。アニメはもう別世界なのですごく楽しんで見ています。声優もすごくやってみたいんです。声を活かしたお仕事はやってみたいですね。


「ライチ☆光クラブ」は2月13日(土)新宿バルト9ロードショー。2月27日(土)全国拡大公開。
公式サイト:http://litchi-movie.com/

撮影:倉橋マキ
取材・文:木村友美
制作・編集:iD inc.