元セクシーダンサーの女性が、お尻を豊かにする"豊尻手術"の知られざる実情とその危険な世界を訴えている。

<自らの姿をカメラに収めるワンダーさん>
この女性はカーヴィー・ヴァニティ・ワンダー(Curvy Vanity Wonder)さん。彼女はこれまで、"バットショット(butt shot)"と呼ばれるお尻への(物質)注入に約1万ポンド(約124万円)を費やしたという。そして今『ショット・ガールズ/Shot Girls』という自身の著書に、その経験をこと細かく綴っている。

バスト87cm、ウエスト58cm、そしてヒップ114cmというオドロキのスリーサイズの持ち主ワンダーさん。彼女は、アメリカやイギリスで禁止されている(闇の施術師による)お尻への注入に5年を費やしたとか。

今回の著書『ショット・ガールズ』では、違法な手術が横行する状況や、偽の医者がパラフィン(ろう)やセメント(充填剤や接着剤)、またはタイヤを膨らませるのに使われるスプレーすら女性に注入するケースに光をあてている。内容の一部はコチラ(英語)から読むことも可能だ。

「もっとスタイルが良くなりたいと願っていたし、自分の体が"厚みを増した"ときに周りからかけられるほめ言葉がとてもうれしかったの」と、ワンダーさん。彼女は2006年11月、仲間のダンサーのオニキスさんとデニムさんと一緒に"豊尻"手術を受けようと決めた。

デトロイトのホテルにて、ミステリアスな人物"ルクソール(Luxor)"と会ったワンダーさんたち。彼女たちはルクソールから感覚をなくす軟膏をお尻に塗るよう言われ、その後(お尻を)サランラップで包んだという。

ワンダーさんは最初の注入を次のように振り返る。「針が刺さるのはちょっと痛かったけど、そのあとに液体がお尻に注ぎ込まれる痛みに比べれば大したことなかった。(お尻への注入は)鋭い痛みで、脚やひざ、すねにも響くほどだったの。その繰り返しよ。雷に打たれたことはないけど、もしそうなったらこんな痛みなんだろうと思ったわ」

自分たちのお尻に何が注入されたのか、考えもつかなかったというワンダーさん。注入の際にお尻にできた穴は強力な瞬間接着剤でふさがれたという。後日、注入されたのは大豆油だと知り、さらにルクソールとはまた別の施術者からは、医療用のシリコンを注入されたという。

受けた痛みやかかった金額は決して少なくなかったが、ワンダーさんがそれに見合うような結果を手にすることはなかった。彼女は誰も自分の変化に気づかないことに落胆し、さらなる施術を受けようと決意。事態はエスカレートしていくばかりだった。

一方、当時のショービズ界ではビヨンセやキム・カーダシアン、ジェニファー・ロペスといった"魅力的なお尻を持った"セレブがもてはやされていた。だが残念なことに、彼女たちの"財産"は悲劇的な状況への引き金にもなってしまったようだ。

2011年、イギリスの大学生クラウディア・アディロティミさんは、違法な美容目的の豊尻手術を受けるため、アメリカはフィラデルフィアのホテルにやって来た。ヒップホップダンサーを目指していた彼女は結局、(施術後に)胸の痛みを訴え病院に搬送されたが、帰らぬ人となってしまったのだ。

一方のワンダーさんは、1回325ポンド(約4万円)の注入にハマるまでに。その後、感染症にかかってひどい痛みや醜いしこりができたことで、やっと豊尻手術への依存から脱出することができた。2児の母親となった今は、若気の至りだったと振り返っている。

自身の著書『ショット・ガールズ』について語るヴァニティ・ワンダーさん