第84回アカデミー賞が終わった。<AOL Celebrity>では、静かな話題(または戦い)となった外国語映画賞のノミネート作品をご紹介したい。

外国語映画賞にノミネートされたのは、『闇を生きる男』(ベルギー)、『In Darkness』(ポーランド)、『ぼくたちのムッシュ・ラザール』(カナダ)、そして本命といわれたイランの『別離』(写真右)と対抗馬となったイスラエルの『Footnote』(写真左)の5本。結局、栄冠を手にしたのは『別離』だった。同作は脚本賞にもノミネートされていたが、こちらは『ミッドナイト・イン・パリ』が受賞している。

アカデミー賞の外国語映画賞で、イランとイスラエルの映画監督が対決するのは今回が初めて。ちなみにイランとイスラエルといえば、イランの核開発に対するイスラエル政府の激しい抗議がニュースで伝えられる通り、両国の関係は良いとはいえない。だがアカデミー賞とは直接の関係はなく、『Footnote』のヨセフ・シダー監督はことあるごとに、『別離』を「2011年のお気に入りの映画の1本」と絶賛している。

そんな注目の2本の詳細は以下の通り。

『別離(Separation)』
舞台はイランの首都テヘラン。11歳の娘テルメーの将来を考え、夫ナデルとともにイランを離れようとするシミン。だがナデルは、アルツハイマー病を抱える父を置いてはいけないとこれに反対する。シミンは離婚を決意するがうまくいかず、しばらくの間別居することに。ナデルは父親の介護のためラジエーという女性を雇うのだが、彼女がある日家を空けたことで事件が起きる。

『別離』予告編(英語字幕あり)


監督は、『彼女が消えた浜辺』のアスガー・ファルハディ。作品は第61回ベルリン国際映画祭で最高賞にあたる金熊賞や銀熊賞(男優賞・女優賞)など、主要3部門を独占する史上初の快挙を成し遂げた。また、ゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞をはじめ、数々の映画賞にも輝いている。日本では4月に劇場公開予定。公式サイトはコチラ。

『Footnote』
タルムード(※)学の教授として、親子でもありライバルでもある父エリエゼルと息子ウリエル。ウリエルの功績をたたえた賞が与えられることになったのだが、誤って父親のエリエゼルに受賞の知らせをしてしまい、親子の関係にも新たな変化が生まれる。

※ユダヤの道徳や習慣、律法をまとめたもの。ユダヤ教の多くで聖典とされている。

『Footnote』予告編(英語字幕あり)


日本公開は未定。ヨセフ・シダー監督は2007年の戦争ドラマ『ボーフォート −レバノンからの撤退−』でベルリン国際映画祭の銀熊賞(監督賞)を受賞。アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされた。