女優アンジェリーナ・ジョリーの初監督作品『In The Land Of Blood And Honey』の全米公開が12月23日に迫っている。彼女自身、「脚本や演出を手がけたことは、私の人生で最も素晴らしい体験だった」と言うほど思い入れの強い作品だが、意外にも一番大切な家族とは見ないらしい。

彼女は<The Hollywood Reporter>に、「私の子供たちは多分、この映画を見ないと思う」とコメント。普段から子どもたちとのふれあいを大切にしているアンジーだが、記念すべき初監督作品を家族と見ないのは一体なぜだろうか? 「子供たちは、私が折に触れてリビアなどの紛争地を訪れていることに気がついているわ。私がそうすることで、別の場所では違うことで苦しんでいる人がたくさんいるという事実を、子どもたちは否応なく感じてしまっている。戦争はビデオゲームじゃない、とても悲惨な現実なんだ、という事実を直視せざるを得なくなっているの」

同作は、1990年代に起きたボスニア紛争を舞台に、ボスニア人女性が、性的拷問が行なわれているセルビアの収容所に送られるというストーリー。子供たちが見たくないと考えるアンジェリーナの気持ちは十分、理解できる。

だがこの映画を見ないからといって、子供たちがアンジェリーナの"お話"を聞けないわけではない。「子供たちが眠りについたり授業を受けたりしているときに、できるだけ脚本を書いていた」と話した彼女は、「一番悲惨なシーンを書いているところへ、子供が『ママ、何かお話を聞かせて。眠れないの』と言ってやって来たら、私は脚本を書くことを中断して、ウサギ村の幸せな物語について聞かせてあげなくちゃいけなかったわ」と、現実の家族と原稿執筆のバランスを取る大変さを吐露した。

ひょっとしたら、アンジェリーナは将来、子供たちのためにウサギ村の映画を撮るかも(?)しれない。だが今は、私たちに聞かせてくれようとしている彼女の物語に期待しよう。