私たちはこれまでに散々、LINEやデートのHow toを学んできた。

しかし、LINEやデートに漕ぎ着けるまでに、まずは“出会い”という最初の関門が待ち受けていることを忘れてはいないだろうか。

初対面であんなに盛り上がったはずなのに、LINEは既読スルー。仮に返事が来たとしても、いつまでたっても前に進まない。そんな経験、無いだろうか?

“出会い”を次のステップに繋げる方法を学ぶため、あなたに宿題を出していこう。

さて、今週の宿題は?




由香里と出会ったのは、ホームパーティーだった。

それは知人の自宅で開催された会だったが、僕は家主と仲が良かったこともあり、色々と準備を手伝っていた。

そんな時に、そっと僕を手伝ってくれたのが由香里だったのだ。

「いいよ、綺麗な洋服が汚れちゃうから、座っていて」

そう言っても、由香里は率先して動いてくれる。

「何だか、落ち着かなくて...それより、智久さんの方こそ、飲んでいますか?家主より働いてません?これじゃ、まるで智久さんの家みたいですよね。」

笑いながら尋ねる由香里に、僕はとても惹かれた。

昔から、こういう会になると無駄に動いてしまう。そもそも家主が何もしないのが悪いのだが、グラスを出したり皿を出したりと、僕は一人でせわしなく動いていた。

でも、そのお陰で由香里とこうして話せた。

たまにポイント稼ぎのようにホムパで張り切る女子もいるが、由香里はそんな素振りは見せず、純粋に手伝ってくれているように見える。

「由香里ちゃんって、すごく良い子でしょ?」

「そんなことないですよ〜。それを言うなら智久さんの方こそ!」

キッチンに二人でいる時は、こんな風にとても盛り上がっていたし、次の約束までこぎつけた。

しかしこのホームパーティーの間に、どうやら僕は何かを“やってしまった”ようだ。


ホムパで成功する人、しない人。その差はどこにある?


宿題1:以下の会話の中で、女性が“この人ないな”と思った箇所を述べよ


ホームパーティーは、人間性がよく表れると思う。

由香里のように率先してキッチンに立って手伝ってくれる人。その一方で、何もせず、ただ呑んだくれている人。

どちらが良いとか悪いはないけれど、僕の個人的な好みとしては、由香里のように手伝ってくれる子の方が好印象だった。

「由香里ちゃんって、家でもよく料理するの?」

慣れた手つきで、家主が買っていた惣菜を皿に並べる仕草を見ながら、僕は感心していた。

「はい。外で食べることも好きですが、料理は結構好きなんです。智久さんは料理されますか?」

「うん、するよ〜。自分で会社をやっているから、時間は結構あって。カレーはルーから作るし、家にいる時は自分でササッと作ることが多いかな」

「え〜すごい!そんなにも本格的なお料理をされるんですか!?男性で料理上手な方って、素敵ですよね」

そこから暫く料理談義に花を咲かせる。

二人で話に夢中になっていると、空になったグラスがどこからともなく運ばれてきた。

「みんな盛り上がっていますね。智久さんは飲まなくていいんですか?」

「そしたら、その洗い物終わったら乾杯しようよ」

盛り上がる皆を横目に、僕たち二人はキッチンで乾杯をする。この時点で、僕の中で今日は由香里に決まりだと思っていた。




食洗機も一杯になり、手洗いでないと取り扱えなさそうな高価なグラス以外、一通り準備や洗い物も終わった。

「ここはもういいから、リビングの方行こうよ」
「あ、はい。そうですね...」

由香里を誘って皆が集うリビングへ移動する。皆、そこそこ出来上がっていた。

「もー二人がキッチンで楽しそうだったから、邪魔できなかったよ。でもありがとう!色々と任せちゃってごめんね」

そんな風に茶化され、僕も由香里も照れ臭くなる。

「本当だよ。俺が全部準備したし。お前、家主なら何かしないと」

冗談半分で言うと、家主は“悪いぃ”と言いながらおどけていた。そんな家主を見ながら、僕と由香里は顔を見合わせて笑ってしまった。

「智久は料理もできるし優しいし、ジム行って身体も鍛えているし、由香里ちゃん、狙った方がいいよ!さっき二人でキッチンに立っていた姿、お似合いだったよ」

家主の冷やかしに対し、由香里も僕もまんざらでもない表情を浮かべる。

「由香里ちゃんスポーツは好き?」
「スポーツですか?実は苦手なんです」

僕はスポーツが好きなため、一緒にできたら良いなと勝手に思っていた。でも、仕方ない。一緒に観戦するという手段もある。

「そっかぁ〜残念。でも観るのはどう?今度野球見に行くから、一緒にどうかなって。知り合いから譲ってもらったチケットなんだけど、かなり良い席なんだよね」

「私で大丈夫ですか?ルールとか分からないですが」

先日、ちょうど友人から年間シートのチケットを貰った。

野球のルールが分からなくても、ビールを飲みながら良い席で試合を観戦するだけでも十分楽しい。

「全く問題無し!試合が再来週の土曜だから、一緒に行こうよ」

そうして、僕は野球観戦デートにこぎつけたのだ。


野球デートの誘いに成功!のはずだったが、この後予想外の展開が


宿題2:智久の誘い文句の中でNGだった箇所、及び理由を述べよ


「由香里ちゃんは、何の仕事してるんだっけ?」

そう言えば、由香里についてまだ何も知らないということに気がついた。

「私は大手町で働いています。平日はちょっとバタバタしていますが、土日はのんびりしてるかなぁ。智久さんはご自身で会社を経営されているんですよね?」

「そうそう。だから休みとか自由なんだよね〜。休みの日は何をやっているの?」

由香里の休みの日は、想像していた通りの休日だった。

午前中はヨガへ行って、昼は好きなカフェへ行く。そして夜は友達とご飯。

「なんかいいね、そういう休日」

由香里の休日が目に浮かび、ちょっと微笑ましい気持ちになる。

「そしたらさ今度の土曜、ご飯行こうよ」

何気なく言った、よくある誘い文句。

しかしまさかここで、断られるなんて思ってもいなかったのだ。




「今週土曜は、ちょっと先約があって…」

由香里は、言いにくそうにそう答えた。予想外の答えに僕は慌てたが、ふと考え直す。

今日は木曜だ。いつも忙しくしている女性なら、さすがに明後日の予定はあるに決まっている。

「そっか、そうだよね。そしたら来週の水曜は?その日、僕はゴルフだからちょっと早めの時間から動けるかも」

「ごめんなさい、来週水曜も予定があって…すみません」

その時に、ようやく気がついた。これは、遠回しに断られているのだろうか?

「あれ?もしかして、これって断られている?(笑)」

「まさかまさか!そんなこと無いですよ〜」

-それなら良いのだけれど...

慌てて否定する由香里を見て、とりあえずその場で僕は彼女とLINEを交換した。

しかし結局、その後も僕は断られ続けたのだ。

LINEで誘っても“その日は忙しい”の一点張りで、なかなか二人で会うことができない。

最初キッチンで話していた時は良い感じだったし、少なからずこちらに興味を持っていたはずだ。

なのにどうして、由香里は二人のデートには応じてくれないのだろうか。

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定番の誘い文句に潜む罠。一体何がダメだった?