人と接する時に、あれば有利とされている「コミュ力」。これさえあれば、仕事もプライベートもうまくいくんだろうなあ、と思ってしまいますが、実際にはどうなんだろう……? そんな疑問から始まった、他薦による「コミュ力高い女子」の座談会。

恋愛について聞いた第3回に引き続き、最終回はまとめとして「コミュ力って結局のところ何?」という問題を考えていきたいと思います。

座談会に参加してくれたのは、こちらの3人

月島さん(仮名):アパレル業界勤務/営業(31歳)
辰巳さん(仮名):IT企業勤務/営業(32歳)
豊洲さん(仮名):総合商社勤務/広報(28歳)

第1回:会話はゲーム感覚!「高コミュ力女子」の生態を探ると…
第2回:コミュ力高い女子流!仕事相手から口説かれないための対処法
第3回:コミュ力があっても……。私がデートで失敗する理由。

「気遣い」の高等テク

--最終回は、引き続き「コミュ力高い女子」のホンネを探りながら、「コミュ力って結局のところ何?」という問題を追究していきたいと思います。ここまで話を聞いていると、コミュ力とはかなりの部分「気遣い」が占めているのかな、と感じました。相手をどうやって喜ばせるか、常に考えているというか。

辰巳:どうなんでしょう。でも、私の場合、あんまり気は遣ってないかも。たとえば、私主催でパーティーとかイベントをやる時も、私が気を遣うと相手にも気を遣わせちゃうから。それはイヤ。だから、気を遣わせないように気を遣っているというか(笑)。全部こっちで用意しないで、「デザート持ってきてね」「飲み物持ってきてね」と徹底して役割分担したり。もてなしすぎると、みんな焦るから。

--相手に気を遣わせないように気を遣う……高等テクですね。

辰巳:それに呼ばれる側に仕事を振っておくと、「これは〇〇ちゃんが持ってきてくれたんだよー」って会話のキッカケができるというメリットも。会話も弾むし、みんなの気もラクだし。

--はーー! さすが主催をやるだけあって、めちゃめちゃ人に気を遣えるんですね。でも、ぶっちゃけそこまで考えると疲れません? 月島さんや豊洲さんはどうですか? イベントとかパーティーで気疲れすることとかないんですか?

月島:疲れますよ(キッパリ)。

豊洲:楽しいんですけど、やっぱ、ぶっちゃけ疲れますよ(キッパリ)。

--気を遣うことがストレスになってる部分もあると?

辰巳:ありますよ(キッパリ)。

--(よかった! そうだよね、人間だもんね! やっぱりそうだよね!)

辰巳:イベントやパーティーは呼ばれる側でいると疲れるんです。だから、私の場合は自分で主催するんです。「呼ばれる側」より「呼ぶ側」のほうがラクだから。ホストだと、みんなが名前と顔を覚えてくれるし、相手から話しかけてくれるから、自分からコミュニケーションをとろうとしなくていいんです。

だから、逆に他の人が開催するパーティーには行きたくなくて。特にみんなが動き回る立食パーティーとかは苦手ですね。会話を続けるのが難しいし。だから、ずっとごはん食べ続けてたりします(笑)。

--辰巳さんほどのコミュ力を持ち合わせていても、立食パーティーに呼ばれるのはキツいんですね。なんか安心しました。

辰巳:セミナーのあとの懇親会も苦手なので、基本参加しないか、参加してもすぐに帰っちゃいますね。誰がいるかわからないから、どうしていいかわからなくて。自分にとって「ホーム」と「アウェイ」を使い分けてますね。そして、できるだけイベントやパーティーは主催して「ホーム」にしちゃう。そうすれば友達の友達はみんな友達! メンバーを自分で選べるから、おたがいに話しやすい人が集まるし、会話もスムーズだし楽しいからラクなんです。

--なるほどー、自分がコミュ力を発揮しやすい環境を作っちゃうんですね。

「得意な人数」ってあるの?

--コミュ力の高い人は、パーティーやイベントのような大人数でも、こじんまりとした飲み会でも、上手に会話を回している印象がありますが、みなさんは得意な「人数」ってあったりするんですか?

豊洲:普段は2、3人とか少人数派ですね。プライベートはあえてそうしてます。大人数でも少人数でも会話はできるんですが、やっぱりコミュニケーションの質が違うから。5、6人以上になっちゃうと、話しにくい人が出てきたり、話したい人がいてもなかなか直接会話するチャンスがなかったりしますよね。少人数でサシに近い雰囲気のほうがおたがいに深く話せるから好きです。

--コミュ力の高い人って、軽い話題で場を盛り上げるタイプと、じっくり深い会話を楽しむタイプと2種類いるかも……。

辰巳:私は3〜5人がいいですね。一つの話題についてみんなで話せる人数って、たぶん5人くらいが限界だと思うんです。それ以上になると、いろんな話題が同時発生しちゃって、隣の話題が聞こえてきたら、「その話、私も話したい!」って気になってちゃうんですよね(笑)。

--大人数だと会話に集中できなくなるんですね。月島さんはどうですか?

月島:人数はあんまり関係ないんですけど、「仲の深さ」によって結構違うかも。職場の人とか、初対面の人とか、「仲の浅い人」だと自分から積極的によく話すんですけど、仲のいい友達だけの場では逆にしゃべらないんです。

辰巳:そうそう、友達同士の会だと、つーちゃんひとりだけテンション低いんですよ。

月島:会話を盛り上げたり、場の雰囲気を作らなきゃいけない時は、がんばってコミュニケーションをとるけど、本当はまったりするのが好きなんです。本性は口数の少ない女かも。だから、パーティーでも、楽しそうなみんなを見ながらソファでまったりしてたり。

辰巳:つーちゃん、パーティーでもソファ席でクッションを抱えてボーっとしてる時あるよね。でも、初対面の人に話しかけられたり、カメラを向けられたりすると、一瞬で自分をよく作り込むんです。そのへんは一番うまい。

月島:コミュ力のオン/オフが激しいですね、たぶん。

--そっかー、コミュ力が高いと言っても、いつもオンの状態じゃなくて、黙っていても大丈夫なシーンではオフにしてひとりまったりしていることもあるんですね。

毒づく時だってあるんです

--コミュ力が高い人って、結局まわりの状況を正確に読んで対応できる人なんだな、と感じました。自分がそういうことを自然にやれると、反対にやれない人がいた時にイラッとしたりしませんか? たとえば、彼氏やパートナーに、「自分と同じくらい気を遣ってよ!」みたいな不満はないんですか?

豊洲:ありますよ(笑)。何様のつもりだ、と。こっちはすごく気を遣っているのに、それにまったく気づかない時とか。まぁ、そういう場面では、彼に逐一伝えるようにしてますけどね。一応、角が立たないように表現には気をつけて。

そして、そのストレスをジムのマシーンでカラダを鍛えて発散してます。今回の座談会の連絡をいただいた時も汗水たらして鍛えてました。

--(たくましく、カッコイイな)

豊洲:黙々とたくましく、鍛えてます。

--「ジムでワークアウト」が豊洲さんのストレスの発散法なんですねー。辰巳さんや月島さんはどうやって対人ストレスを発散してるんですか?

辰巳:ベッドでポテチ食べてる。家ではあまりにボーッとしてるので、ダンナは呆れてますよ。「本当に何もしない」って……。

月島:私の場合は人によって顔を使い分けてることで、ストレスが溜まらないようにしてますね。ずっとコミュ力MAXだとさすがに無理なんで。実際、初対面の人、ホントに仲のいい子、彼氏、ひとり……とシチュエーションによって使う顔が全部変わるんです。

辰巳:あ、発散法といえば、私、SNSに鍵アカ(裏アカウント)持ってます! で、ストレスが溜まった時はそこで病む(笑)。

月島:わかる! SNSで毒づいちゃう時、あります。私の場合は裏アカではなく、ストレスが蓄積して自分の中で闇が深くなってきちゃったなと自覚した時だけ鍵をかけるようにしてますね。「毒づいてきちゃったんで」と断って鍵をかけてから仕事のグチを書いてたりします。

辰巳:そうそう、「ちょっと自粛して鍵かけます」みたいな(笑)。

私は、人に対して直接グチるよりも、SNSのほうが言いたいことをうまく伝えられる気がする。でも、みんなには知られたくないから、裏アカにだけグチを書いて、表向きはめっちゃポジティブ(笑)。

--そうなんだぁ。コミュ力高い人って一緒にいるとオモシロいし、いつも笑顔の愉快で楽しい人ってイメージがありますけど……、毒吐きたくなることだって、そりゃありますよね。

笑顔の裏では傷ついてる

辰巳:コミュ力高い人って、案外まわりから「何を言ってもいい人」みたいに思われてるところがあって、ストレス溜めてる場合もあるんじゃないかな。たとえば私、学生時代はいつも笑ってるから、友達から何を言っても許されると思われてました。だから冗談半分によくディスられたりしてましたね。

--そういえば、今日も辰巳さんはずっと笑顔ですよね。……心から笑ってる時は、全体の何%なんですか?(笑)

辰巳:ちゃんと心から笑ってますよ!(笑) でも、ヘンなこと言われた時は、怒るべきか悩みますね。「傷つきました」って言葉で伝えていいのかなあ、って。

豊洲:ああ、わかります。私、昔は75キロもあって、今よりずっと太ってたんです。バス停で酔っ払ったおじさんに「なんだ、この大根足!」と言われたこともありましたし、そのうえ辰巳さんみたいにわりといつも笑顔だから、冗談半分にイジられることも多くて。でも、「傷ついてる」とは言えなかったですね。「明るいデブ」として自分をネタにして笑いをとってました。

--まわりの空気を悪くしちゃいけないと思うあまり、不快に感じていても言えないんですね。月島さんはコミュ力が高いがゆえに、密かに傷ついていることとか、ないんですか?

月島:んー、すぐに人に合わせちゃうところがあるので、前に付き合ってた彼から「八方美人だよね」と言われて傷ついたことはありますね。

--……みなさん、常に明るく振る舞っているけれど、傷ついてることが意外とがたくさんあるんですね。

本当に傷ついた時の模範解答とは?

辰巳:ちょっと暗い話になりますけど、うちは子どもができない夫婦なんです。で、このあいだ年配の知人に「うちは子どもができなくて。養子をもらうか、ふたりで生きていくかですかねー」って話したら、「それなら今のダンナと別れなよ」って言われて。

全員:ええええヒドすぎる!

辰巳:さすがに「え?」ってなるじゃないですか。でも、私、「いやいや……(苦笑)」って笑顔で流しちゃったんですよね。実際に傷ついたから、ハッキリ「今の言葉は傷つきました」って言うべきだったかなぁと悩みました。私が何も言わずによしとしたことで、また同じように傷つく人が出るんじゃないかと。

豊洲:イラッとしても空気を悪くしちゃいけないという判断を優先しちゃうことありますよね。私の場合、相手が心無い言葉を口にした時は「私はイイですけど、他の人にはそういうこと言っちゃダメですよぉ」ってやんわり牽制します。

--おおー!(それが模範解答かっ!……空気を悪くせずに、きちんと言いたいことは伝えてる……!)
でも、みなさんやっぱり悩んだり、傷ついたりいろいろあるんですね……。

コミュ力高い女子のみなさん、ホンネを語ってくださり、ありがとうございました。

「コミュ力が高い女子」は繊細な人

全4回にわたってお届けしたコミュ力高い女子座談会、いかがでしたか?

「コミュ力が高い人」といえば、一般的に明るくポジティブなイメージですが、実際には、まわりに対してすごく気が遣える繊細な人たちであることが見えてきました。そして空気が読めるからこそ、相手に合わせてしまい笑顔の裏で傷ついていることもたくさんあるんだなぁ……と。

コミュ力の高い女子の、ホンネと意外な一面が見えた座談会、毎日のコミュニケーションの参考にしてみてください。

ウートピ編集部