まるでカフェか洋食店のような外観。一見してラーメン店には見えない

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2017年2月13日にオープンした豊橋市のラーメン店、「ORIBE」がおもしろい。ここで味わえるのは鶏白湯スープのラーメン1種類のみ。しかし、今まで何となく感じていた「ラーメンとはこういうもの」という固定概念を吹き飛ばすような、斬新な工夫が盛り込まれている。まさに、新たな感性を取り入れた「ニュータイプラーメン」と言える仕上がりになっている。

【写真を見る】居心地がよく、年配者や女性1人客もよく訪れるそう

店内は、ラーメン店というよりは女性が好きそうなかわいい系カフェのよう。木の温もりを感じさせるナチュラルテイストでまとめられている。日差しが降り注ぐ窓際のカウンター席は、コーヒーやケーキを楽しみながら長居をしたくなる雰囲気。しかし、メニューはラーメンと数種類のサイドメニューのみ。れっきとしたラーメン店だ。

■ 麺もスープも同じなのに、こんなにバリエーションがあるとは!!

ラーメンは鶏白湯麺(750円)の1種類のみ。愛知県の奥三河地方で育てられた三河赤鶏100%の鶏ガラから抽出する白湯スープ、白醤油と醤油をブレンドして作るタレ、アゴやウルメイワシから抽出する香味油を組み合わせ、自家製麺と合わせている。しかし、トッピングの野菜は固定せず、季節や店主の気まぐれによって替えていく。そのため、毎日違うラーメンになるのだ。取材時はセミドライのミニトマト、春キャベツ、エノキを乾燥させたもの、カツオダシに漬けたホウレン草と2種類のニンジン、赤タマネギ、チャーシュー。スープの旨味を補強するトッピングを意識している。

チャーシューは毎日4種類を用意。注文する時に、好きなチャーシューを1種類選べるようになっている。本日のチャーシューは、券売機横の黒板をチェック。取材時のラインナップは豚肩ロースのロティ、豚トロの煮豚、豚タンのコンフィ、鶏肉のパテ。全部食べたい人のために、肉盛り皿(全種、350円)も用意されている。

麺は自家製麺。麺がしっとりと馴染むように、麺を打ってから最低1日は寝かせて熟成させている。細めのストレート麺を少し硬めに茹で上げて、歯切れのよさを意識。替え玉(90円〜)を楽しんでもらいたい、という店主の思いから、細麺でペロリと食べられるボリュームになっている。そして、替え玉を注文すると「ORIBE」ならではのおまけが付いてくる。

そのおまけとは、4種類の香味バター。すべて自家製で、店主が一つずつ工夫を凝らして用意している。替え玉を注文すると4種類の中から好きな1種類をセットにできる。これをスープに溶かしながら1杯目とは違った味を楽しむ、という趣向だ。トッピングとして香味バター(50円)だけを注文することも可能。

■ コンセプトは、毎日食べても飽きないラーメン

固定しないトッピング、4種類のチャーシュー、味を変える香味バター。この斬新なアイデアは、店主の遊び心から生まれている。店主の三浦啓史さんは、日本やアメリカでフレンチをメインに経験を積んできた料理人。豊橋市に店舗をオープンするため、もっと地元の人が気軽に食べに行ける料理を探していたところ、ラーメンが候補に挙がった。フレンチで培った技をラーメンに盛り込めば、おもしろいメニューができる。選択の幅があれば、毎日食べても飽きないメニューになる。そんな思いから、フレンチの技を生かしたチャーシューや香味バターを作り、注文時に選べるようにしている。

■ 店主は豊川市の人気店「ガチ麺道場」で修業

三浦さんは、ラーメン店オープンにあたって豊川市の人気店「ガチ麺道場」で修業し、麺やスープの作り方を習得。自己流ではなく、人気店で一からラーメン作りを学んでいる。

スープと麺が基本をおさえているから、トッピングの個性的なアレンジが生きてくる。1種類のラーメンに何通りもの楽しみ方があり、注文次第でまったく違うラーメンになるのがおもしろい。さらに、コンソメを使った清湯ラーメンや野菜ピューレを使ったまぜそばなど新メニューも企画中とのこと。東海エリアにまた1つ、楽しみなラーメン店が増えた。【東海ウォーカー/伊藤甲介】