働き女子のためのビジネスマナー、今回の質問は、電気メーカーに勤める矢野奈々さん(仮名・32歳)から。

「派遣会社に登録していて、今の会社でSEの仕事を3年続けさせてもらっています。バレンタインが近づいてきて、会社関係者への義理チョコを買うべきか迷っています。去年はチームリーダー用と、一緒に仕事をしている女性の方用にと準備したのですが、渡すタイミングがなくって……。結局、自分で食べました。お金もバカにならないし、選ぶのも手間。ムダになるのはイヤなのですが、万が一、他の人が渡しているのに自分だけ用意がないというのも、好感度が下がりそうで……。ビジネスマナーとしては、用意しておくべきなんでしょうか」

鈴木真理子先生に聞いてみましょう。

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義理チョコ文化はすたれている

今年のバレンタインデーは火曜日。職場の男性に義理チョコをあげるべきか悩む人もいるかもしれません。最近は、友チョコという名で女友達に配ったりもするようですから、男性上司や先輩だけでなく、お世話になっている女性の方にも配るべきでは……と考えてしまう気持ちはよくわかります。

しかし、私がセミナーなどで伺っている企業にバレンタインデー事情をリサーチしたところ、女性社員が上司や先輩に義理チョコを渡すところは、ほぼゼロに近い状況です。また、20代〜30代の若手男性に「ほしいですか?」と聞いてみると、「義理ならいりません」とキッパリ。受け取る相手の方も、義理チョコは必要なしと思っている世代もいます。

社内のルールに従うのがマナー

質問者の方のように、準備をしておいて、周囲の雰囲気を伺いながら立ち位置を決めるというのは、ビジネスマナーとしてとてもエレガントです。結果、ムダになってしまったのは残念ですが、ご本人がおっしゃるように、ほかの方が配っているときに、自分だけできなかったとしたら、気まずい思いをしてしまったことでしょう。また、自分は準備しているんだからと、他の人が渡していないのに自分だけ配ったとしたら、目障りと感じる人もいたかもしれません。そう考えると、質問者の方の行動は、ビジネスマナーとして100点といえます。

社内には、暗黙のルールというものが存在します。もし、昭和のお局様がやるといえば、それに従う。波風立てないようにするのもマナーです。

また、10年くらい前から、「社内メール便でチョコを送らないように」とお達しが出ている企業が増えています。社内メール便はあくまで仕事のために使うものです。確かに、義理チョコもコミュニケーションツールのひとつ、という点で「仕事のため」のものですが、重要度は低いですよね。ルールがあるのに背けば、受け取った相手にも迷惑ですし、あなたの評価がつまらないことで下がってしまうので気をつけて。

義理チョコを配る風習がある会社にお勤めであれば別ですが、配るか否か、悩むくらいなら、今年の義理チョコはスッパリやめておきましょう。それよりも、本命チョコをあげたい人がいれば、そちらに集中してください。成功を祈ります!

個包の大袋入りチョコを用意しておいて、その日に会う人会う人全員に配るという人もいました。これなら、配る方も受け取る方も、負担がなくて楽しいかも。



■賢人のまとめ
20代、30代は「義理ならいらない」という人多し。今年は本命集中型で、義理チョコ断捨離するのもよいかもしれません。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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