「配偶者控除」*の廃止をめぐって議論が重ねられてきましたが、廃止は見送られ、控除対象となる配偶者の年収上限(103万円以下)を150万円程度まで引き上げる案で調整に入りました。

*「配偶者控除」とは、配偶者を扶養しなくてはいけない場合、経済的に大変なので税金の負担を軽くしてあげようという制度。通常、夫と妻が働いていたら、それぞれの所得に応じて所得税と住民税が課税されます。しかし、たとえば妻の収入が103万円以下だった場合、所得税と住民税がかからない上、夫側も38万円分の税金が控除されます。

一時は、配偶者控除の廃止や「夫婦控除」を導入することも検討されてきましたが、引き上げで落ち着きそうです。

「配偶者控除」をめぐる議論について働く主婦はどう思っているのでしょうか?

このほど、主婦に特化した人材サービス「しゅふJOB」の調査機関しゅふJOB総研は、「配偶者控除」をテーマに主婦会員823人にアンケート調査を実施しました。

配偶者控除のあり方、半数が「見直すべき」

まず、配偶者控除枠の見直しが行われていることを知っているかを聞いたところ、97.8%が「知っている」と回答しました。

次に、配偶者控除のあり方を見直すべきかどうかを聞くと「見直すべき」と回答した人は46.7%。「わからない」は29.8%、「見直す必要はない」は23.6%でした。

「配偶者控除を見直すならどうすればよいか」について複数回答形式で聞いたところ「配偶者控除枠の上限を103万円より上げる」が48.8%で最多に。続いて「夫婦控除(103万円に関係なく夫婦ともに控除が受けられる)への変更」が34.0%、「控除より子育て支援など新たな手当てに変更する」が23.6%、「配偶者控除枠を廃止する」が13.4%、「配偶者控除枠の上限を103万円より下げる」が2.7%と続きました。

ちなみに、仮に配偶者控除枠が廃止されても「働き方は変わらないと思う」と回答した人は49.6%でした。

“壁”は103万円だけではない

同調査では、配偶者控除のあり方についてもフリーアンサーで回答を求めました。

「女性は、長時間働きたくても、育児や介護など負担が大きくて、短時間しか働けない人もいると思う。夫婦二人だけだとしても、帰宅してから家事の負担もあるので、制度よりまず意識改革していかないといけないと思う」(40代、パート・アルバイト)

「配偶者控除を変更して女性を働かせると言っても、働く制度ができていないように思う」(40代、その他)

「働きたい、社会で必要とされたい女性は多いのに『働いてもよいよ。でも家事の負担はそのままでね』という男性の意識が壁となり、配偶者控除を理由にしてあきらめる。控除のあり方で本当に男性が変わるようになると政府は本気でそう思っているだろうか」(50代、その他)

といった、家事や介護の負担が女性に押し付けられ、女性が働きやすい環境が整っていない状況を疑問視する声があがりました。

また、「共働きが半数を超えた今、以前と同じ制度には無理があると思う」(40代、派遣社員)という意見や、「格差を是正する意味でも夫婦控除が公平な控除方法だと思います」(30代、派遣社員)、「フルタイムで働いている人からすれば、税金も払っていない人が控除を受けるのは不公平」(40代、派遣社員)といった公平性を求める声も寄せられました。

税制の改革も必要ですが、女性の就労を促したいのなら、誰かがやらなければいけない家事や育児、介護といった負担を社会としてどう軽くしていくのかをまずは本気で考える必要がありそうです。

(編集部)