女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回お話を伺ったのは、レストラン従業員の安田聖子さん(仮名・35歳)。取材時に驚いたのは、彼女が着ていたベージュ色のコットン素材のニットワンピースが透ける素材で、下着が丸見えだったこと。薄いオレンジ色のブラとショーツがしっかりとわかり、目のやり場に困りました。

顔立ちはすっきりとした切れ長の目ですが、つけまつげをバッチリしており、年齢を考えるとムリしている感が出ているのは否めません。黒の合皮のウエッジソールサンダルに、黒の大きなトートバッグを持っていました。

喫茶店でお話を伺ったのですが、聖子さんに飲み物をすすめると、「水でいいです」。そんなわけにもいかないので、何か頼んでくださいとお願いすると「同じもの(アイスコーヒー)を」と言います。そして、アイスコーヒーが運ばれてくると手を付けないのです。「どうぞ召し上がってください」とすすめると、聖子さんは「私、コーヒー飲めないんで……」と返答。「何か好きなものを頼んでください」と言うと「安いもので」と言われてしまい会話が続きません。今、いろんなことに悩んでいる、という聖子さんにお話を伺うことにしました。

「問題がありすぎて、どこから手を付けていいかわからなくて。一番ヤバいのは同棲している彼が引きこもりになっていること。ホントにお金がないし、私もメンタル面はもちろん、不正出血や背中の痛みなどがあって、体調が悪くて。メンタルはお医者さんにかかっているので、薬を飲んでいるのですが、眠れない時は飲み過ぎて胃が荒れているし……。でもやっぱりいちばん辛いのは、彼のことかもしれません」

聖子さんが付き合っている彼は、彼女より2歳年上で37歳のバツイチです。5年前に勤務していた会社で知り合ったと言います。

「前の会社はインターネットに強い広告代理店でした。給料は年収480万円とそこそこいい方だと思うのですが、とにかくノルマが厳しくて、社長から“お前は自分の給料分も稼げないくらいのカスなのか”と怒られるから、体調がおかしくなる人が続出しました。社長が元ヤンのワンマンで“達成できなかったらどっか行け”とかフツーに言ってきていましたしね」

聖子さんはテレアポや飛び込み営業などがどうしてもできず、制作チームに異動します。しかし、そこは社長の奥さんが仕事に口を出してくるという部署だったと言います。

「奥さんは元大手広告代理店勤務の超優秀な女性で、しかも美人。私達のパワポの営業シートに“これだから売れない”とかダメ出ししてくるんですよ。自社でゲームアプリの開発をしたり、サイトなどの運営もしていて、そこにいる人は、“あんたのアイデアはつまんない”“才能ない人は東京から出たほうがいい”など、人格を否定されながら仕事をしなければならないから、実家に帰ったり、うつになったりする人が多くて。彼はそのセクションで技術職をしていたんですけれど、仕事が丁寧なので“遅い、遅い”と怒られ続け、うつになるわ、離婚するわで、同情する形でいつの間にか付き合うように」

同情から恋が始まり、彼を助けようとする。

聖子さんは28歳から30歳までその会社に勤務していたと言います。

「22歳で大学(都内の中堅私立大学)を卒業してから、前の会社が5社目です。最初に入ったのは信用金庫だったのですが、仕事が退屈なのと男尊女卑が激しすぎて2年で退社。その後は、派遣会社に登録したり準公務員になったりして、毎月20万円の収入をキープしていました。でも、不安定な毎日って、ちょっとずつ自分を蝕んでいくというか、“働けなくなったらどうしよう”とか“給料が減らされたらどうしよう”“クビになったらどうしよう”とか考えていると辛くて眠れなくなるんですよね。それに派遣社員や契約社員は人間扱いされないことが多いと感じます。正社員はいい給料と待遇で働いていて、私達は終わらない雑用を半分くらいの給料でさせられるのですから。そんな現実を見てきて、前の会社に正社員として採用されて、ホッと一息ついたんですよ。そしたら、人間関係は最悪だし、ノルマも時間管理も厳しいので、2年間勤務するのが限界でした」

30歳になると、未経験でもOKという求人は激減し、専門職の求人が増えてきます。しかし聖子さんにはスキルも人脈もない。

「仕事に疲れ果ててしまって、頭を使わず、ノルマもなく、人間関係がラクな仕事がいいな〜と思って、今のレストランに落ち着いて5年になっちゃうんですね。ランチの時はホールにも出るのですが、基本的には経理をしていて、月給は15万円。ビジネス街だから土日は休みだし、居心地がいいのですが、オーナーが高齢なのでお店をたたむと言い出してきたことと、彼のことが悩み。彼は自分の思うように私が行動しないと、怒り出したり泣き出したりするので、毎日が地獄です」

引きこもり状態でありながら、彼は食事にもうるさい。

激しいDVとモラハラ、そして働かない彼との同棲生活の中身とは?〜その2〜へ続きます