生理終了!と思ったら更年期でメンタル崩壊…救われた意外な方法とは?<漫画>
生理終了。これからシン・女の人生!と浮かれたのも束の間、待っていたのはメンタル崩壊でした。
◆閉経、そして新たな苦悩のはじまり
『生理終了!と思ったら。更年期メンタル、私なりの付き合い方』(竹書房)は、漫画家・安彦麻理絵さんの更年期を綴ったコミックエッセイです。
閉経を境にモンスターと化した自身のメンタルと、日々、どう向き合ってきたのか。リアルすぎて笑うに笑えない、でも笑うしかない、女として身を切られるほどわかってしまう、切ない物語なのです。
◆スプーン一杯のホルモンに踊らされて
個人差が大きいですが、日本では平均初経年齢は12歳前半で、平均閉経年齢は約50歳といわれています。私達は約38年も、女性ホルモンに翻弄されているのです。しかも「一生に分泌される女性ホルモンの量はティースプーン1杯分」。
ひと舐め秒で終わりそうな女性ホルモンのおかげで、生理前便秘や生理前ドカ食いや生理前性欲爆増や生理前苛々鬱々(いらいらうつうつ)など、サイコパスレベルの自分に遭遇しなくてはならないのです。しかも毎月、一定期間、延々と。
“閉経すればそんな苦労はなくなる!”と思いきや、閉経後、安彦さんをおそったのはメンタル絶不調でした。
更年期とは、閉経前5年と閉経後5年をさします。ホットフラッシュやめまいなどがメジャーですが、安彦さんの場合は無気力。なんと「朝起きた時から絶望」という撃沈ぶり。
1週間〜10日、お風呂に入らず、顔も洗わず、歯も磨かず、さらに着替えもしない。もはや化石と化した安彦さんを救ったのは、意外や意外、あの行動だったのです。
◆筋トレが更年期を救う
生命の危機を悟った安彦さんが、新鮮な酸素を吸いに外へ出たある日のこと。めぐりあったのが「死にてぇって思ったら筋肉を殺そう」という書籍のコピーです。
安彦さんいわく「ブッ飛んだ本」は『超筋トレが最強のソリューションである(Testosterone著)』(文響社)。
“まるごと死ぬ前に筋肉殺しとく?”というカジュアルなノリだったかどうかわかりませんが、せっぱ詰まった気持ちは私にも痛いほど理解できます。
筋肉殺しに目覚めた安彦さんは、ムカついたらスクワット、何はともあれスクワットを実行。すると、あら不思議。脳内天国状態、筋肉を酷使するとヘヴンズゲートがひらくのです。
へこんだ時も、泣きたい時も、腰を落として5秒停止。体を動かす、というシンプルかつ深い行動に目覚めた安彦さん。たまりにたまった「負のエネルギー」が成仏してくれました。
◆下着の捨て活は心の浄化
筋トレが女性ホルモンを超越する!という具合に、単純にできていないのが女の心身。体調と気分の大波は、途切れつつも確実にやってきます。いっそ無になりたいと願うも、生きているかぎりお腹はすくしトイレに行かねばなりません。
ふと、安彦さんは気づくのです。
「なんでいつまでもボロパンツはき続けてんの?」
下着の変え時って、難しくないですか。50歳も過ぎればいわゆる勝負も減ってきますし、とりあえず局部を覆っていればいいか、とエンドレスのローテーションにはまり、パンツはおろかブラジャーもへろへろの瀕死状態。
タンスをあけると、出るわ出るわ、襟ぐりが伸びたババシャツ、かかとの擦れた靴下、毛玉だらけのタイツ。それらをまとめると、漂(ただよ)ってきたのはこれまた負のエネルギー。
全部断捨離処分したら、これまたあら不思議。天から光が差し込んで、頭がスッキリするじゃないですか。
「閉経は女の終わりじゃない。ホントに『女終わってる』っていうのは、こういうことをいうのである」と安彦さんは悟ったのでした。
◆手あたり次第に夢中を探せ
閉経に更年期、症状は人それぞれ異なるからこそ、女性同士のネットワークも大切です。
安彦さんも女友達に誘われ、「チアダン」に挑戦したり(ポンポンマジックでハッピーポンポンホルモン分泌)、メイクにはまってみたり(メイク売り場はワクワクのお花畑)、前向きに奔走します。
「好奇心の目を潰さなければ、トシをとってからも出会いってあるものだ」
つらくても、しんどくても、避けては通れない更年期。あなたも安彦さんと一緒に、勇気と元気と好奇心を、呼び起こそうじゃないですか。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
◆閉経、そして新たな苦悩のはじまり
『生理終了!と思ったら。更年期メンタル、私なりの付き合い方』(竹書房)は、漫画家・安彦麻理絵さんの更年期を綴ったコミックエッセイです。
閉経を境にモンスターと化した自身のメンタルと、日々、どう向き合ってきたのか。リアルすぎて笑うに笑えない、でも笑うしかない、女として身を切られるほどわかってしまう、切ない物語なのです。
個人差が大きいですが、日本では平均初経年齢は12歳前半で、平均閉経年齢は約50歳といわれています。私達は約38年も、女性ホルモンに翻弄されているのです。しかも「一生に分泌される女性ホルモンの量はティースプーン1杯分」。
ひと舐め秒で終わりそうな女性ホルモンのおかげで、生理前便秘や生理前ドカ食いや生理前性欲爆増や生理前苛々鬱々(いらいらうつうつ)など、サイコパスレベルの自分に遭遇しなくてはならないのです。しかも毎月、一定期間、延々と。
“閉経すればそんな苦労はなくなる!”と思いきや、閉経後、安彦さんをおそったのはメンタル絶不調でした。
更年期とは、閉経前5年と閉経後5年をさします。ホットフラッシュやめまいなどがメジャーですが、安彦さんの場合は無気力。なんと「朝起きた時から絶望」という撃沈ぶり。
1週間〜10日、お風呂に入らず、顔も洗わず、歯も磨かず、さらに着替えもしない。もはや化石と化した安彦さんを救ったのは、意外や意外、あの行動だったのです。
◆筋トレが更年期を救う
生命の危機を悟った安彦さんが、新鮮な酸素を吸いに外へ出たある日のこと。めぐりあったのが「死にてぇって思ったら筋肉を殺そう」という書籍のコピーです。
安彦さんいわく「ブッ飛んだ本」は『超筋トレが最強のソリューションである(Testosterone著)』(文響社)。
“まるごと死ぬ前に筋肉殺しとく?”というカジュアルなノリだったかどうかわかりませんが、せっぱ詰まった気持ちは私にも痛いほど理解できます。
筋肉殺しに目覚めた安彦さんは、ムカついたらスクワット、何はともあれスクワットを実行。すると、あら不思議。脳内天国状態、筋肉を酷使するとヘヴンズゲートがひらくのです。
へこんだ時も、泣きたい時も、腰を落として5秒停止。体を動かす、というシンプルかつ深い行動に目覚めた安彦さん。たまりにたまった「負のエネルギー」が成仏してくれました。
◆下着の捨て活は心の浄化
筋トレが女性ホルモンを超越する!という具合に、単純にできていないのが女の心身。体調と気分の大波は、途切れつつも確実にやってきます。いっそ無になりたいと願うも、生きているかぎりお腹はすくしトイレに行かねばなりません。
ふと、安彦さんは気づくのです。
「なんでいつまでもボロパンツはき続けてんの?」
下着の変え時って、難しくないですか。50歳も過ぎればいわゆる勝負も減ってきますし、とりあえず局部を覆っていればいいか、とエンドレスのローテーションにはまり、パンツはおろかブラジャーもへろへろの瀕死状態。
タンスをあけると、出るわ出るわ、襟ぐりが伸びたババシャツ、かかとの擦れた靴下、毛玉だらけのタイツ。それらをまとめると、漂(ただよ)ってきたのはこれまた負のエネルギー。
全部断捨離処分したら、これまたあら不思議。天から光が差し込んで、頭がスッキリするじゃないですか。
「閉経は女の終わりじゃない。ホントに『女終わってる』っていうのは、こういうことをいうのである」と安彦さんは悟ったのでした。
◆手あたり次第に夢中を探せ
閉経に更年期、症状は人それぞれ異なるからこそ、女性同士のネットワークも大切です。
安彦さんも女友達に誘われ、「チアダン」に挑戦したり(ポンポンマジックでハッピーポンポンホルモン分泌)、メイクにはまってみたり(メイク売り場はワクワクのお花畑)、前向きに奔走します。
「好奇心の目を潰さなければ、トシをとってからも出会いってあるものだ」
つらくても、しんどくても、避けては通れない更年期。あなたも安彦さんと一緒に、勇気と元気と好奇心を、呼び起こそうじゃないですか。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx