――どんな人に、この本を読んでもらいたいと思いますか?

あらい:トラウマ治療中の当事者はもちろんですが、「もしかしたら自分もそうかも」という人や、「虐待を受けたわけではないし」と一歩距離を置いている方でも、交通事故に遭ったり流産をしたことで自分らしくいられなくなってしまった人など、さまざまな人にこの本を知ってもらいたいですね。

当事者の友人や生活を共にしている方にも読んでもらえるといいと思います。私自身、夫に対して治療中にトゲトゲした気持ちになってしまった時期があったので、お互いに知識があれば、もっとラクに乗り越えられたかもと思います。治療や支援は専門家に任せたうえで、周りの人に「こういう状態なんだな」とわかってもらえるだけでもいいと思います。

――本書を通して、知ってほしいことはありますか?

あらい:苦しいのをそのままにしなくていいし、「諦めることと、受け入れることは全然違う」と伝えたいです。治療法や医師との相性はあるので絶対に上手くいくとは限らないけど、「絶対に希望はある」と私は実感しています。

治療を受ける前は、「私はこういう人生なんだ」と、諦めに近い受け入れ方をしていました。そうすることで覚悟が決まることもあったので、ジタバタした時間が無駄だとは思わないし必要だったと思います。

でも、この本に出てくる先生みたいな人はきっといるから、無理に1人で立ち向かわなくてもいい。「一緒に立ち向かっていこう」というのは生野先生が伝えたいことだと思うし、私もすごく賛同します。

【あらいぴろよ】
1984年生まれ。イラストレーター、漫画家。東京都足立区で夫・息子・柴犬と暮らす。趣味は散歩とプロレス観戦、鼻ほじり。座右の銘は「欲しいならちゃんと欲しがれ」
Xアカウント:@pchaning
公式サイト:あらいぴろよのポートフォリオサイト

<取材・文/都田ミツコ>

【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。