今週のテーマは「会社の先輩に紹介してくれた男。これってどれくらい本気?」という質問。さて、その答えとは?

▶【Q】はこちら:アプリで出会った32歳商社マンと2度目のデート。会社の先輩に紹介されたけど男の本気度は?




婚活が、こんなに難しいものだとは知らなかった。

最近、結婚を視野に入れて本気で彼女を探し始めたが、なかなかいい人に巡り会えない。

慶應出身で総合商社勤めの32歳独身、年収1,000万以上。僕の条件はそこまで悪くないと思うのだが…。

先日は、マッチングアプリを通じて由美と出会った。

彼女とは、初回のデートで色々と引っかかるところがあった。二度目に会った時に、その違和感は確実なものになり三度目のデートはしていない。

由美との出会いを経て、「自分自身はこうならないように気をつけよう」と思うことが多々あったのだ…。


A1:酔うと絡み酒になるタイプか…と思った


由美とはマッチした後に何度かやり取りをし、会うことになった。

顔が小動物みたいで可愛くて、プロフィールも悪くない。

だから最初からディナーで良いかなと思い、昨年末にオープンしたばかりの『黒さつま鶏 煉火』を予約した。




実際の由美は、写真とは若干違った印象だった。でも可愛かったし、僕は今日のデートに真剣に取り組もうと決める。

「由美さん、ってお呼びしてもいいですか?僕のことは涼介でもなんでも」
「由美、で大丈夫です!」

乾杯を済ませてから、雑談が始まる。最初は楽しくて、よくある会話だった。

「涼介さんは、どうしてアプリを?モテそうなのに」
「前の彼女と別れてから出会いを探していたんですけど、なかなか良い出会いがなくて。ちなみに僕、酒が強くて顔に出ないんですけど…。実は今日、『どんな人かな〜』って緊張して来たんです」

言っておきながら恥ずかしくなったけれど、由美も嬉しそうな顔をしてくれている。とりあえず、正解だったようだ。

「由美さんのほうは?どうしてアプリを?」
「私は周りが続々と結婚していって。食事会もないし、とにかく出会いがなくて」
「周りが結婚していくと、そうなりますよね」
「そうなんです!女友達って結婚とか出産とかでフィールドが変わると、離れたりすることも多いじゃないですか?」

このくらいまでは、僕は焼き鳥を食べながらふんふんと聞いていた。




しかし段々と、僕は「あれ?」と思い始めた。

「涼介さんって…絶対に、スクールカーストで常に上位にいたタイプの人でしょ?」
「どういうこと?」
「常に人が周りに集まるタイプで、ずっと王道ルートを歩んできた感じかな、と」

酔っ払っているのだろうか。由美の態度が、微妙に変化し始めた。

「何それ(笑)由美ちゃんって面白いよね」
「え〜やだ、やめてよ」

しかもそう言うと、僕の肩をバシバシと叩いてきた由美。

「由美ちゃん、イタイ痛い(笑)」

― まさかこの子、酔うと暴力的になる?

ごくたまに、女性でも怒ったり酔ったりすると物を投げたり殴ってきたりする子がいると聞く。さすがにそこまで酷くはないと思うけれど、若干僕は身構えてしまった。

「涼介さんって絶対にモテるよね?」

そして“絡み酒”っぽい感じにもなってきた。

「そんなことないよ。だからまだ独身だし。それを言うならば、由美ちゃんもこんなに可愛いんだから、モテるでしょ?」
「どうだろうな〜」

たった一度だし、悪い子ではない。それに絡み酒とも、暴力的だとも判断できるレベルの酷さではない。

非常に判断が難しいレベルだった。

だから僕は、確認の意味も込めてもう一度会うことにした。


A2:二人で会うほどではなかったから


「次はどうすればいいんだろうか…」

そう思っていると、タイミング良くイギリスに赴任中の会社の先輩、貴志さんが帰国しており、一緒に飲むことになった。

「涼介、誰かいないの?」

そう聞かれたので、『THE GRILL TORANOMON』で貴志さんと飲む時に、僕は思いきって由美を誘うことにした。

タイミングがよかったし、由美と二人で会うセッティングをするよりも気楽だったから、というだけで深い意味はない。




そして当日。3人で集まり、軽く他己紹介をする。

「こちら、由美ちゃんです。こちらは、僕の会社の先輩の貴志さん。今イギリスに赴任中なんだけど、一時帰国中で」
「イギリスにお住まいなんですか?」
「そうなんですよ」

「由美の酒癖が悪かったらどうしよう…」

一瞬心配したが、今日の由美は大丈夫そうだった。

3人で楽しく食事をし、飲みも進んでいく。とりあえず何事もなさそうだったので、席を外してお手洗いに行ったりもしていた。




しかし、最後のほうで、やっぱり由美の酒癖の悪さが出てきたのだ。

急に、彼女が僕のほうを向いてきた。

「あのさ、今日って私のこと、貴志さんにはなんて説明してるの?」
「この前会った女の子…って言ってるけど」

正直に言うと、特に何の説明もしていない。

「どうして今日、呼んでくれたの?」

一応貴志さんがスマホをいじっているタイミングだったから良かったものの、「今この場で聞かなくても良いじゃないか…」と思ってしまう。

「もう一度由美ちゃんに会いたかったし、先輩と一緒でも大丈夫かなと思ったから…。ごめん、もしかして嫌だった?」
「全然!むしろ紹介してくれて超嬉しい」

本当に絶妙な具合の絡み酒で、僕は何とも言えない気持ちになる。

― この子、いい子なのか悪い子なのかわからないな…。

しかし先に由美を帰し、貴志さんと二人になると、彼が苦笑いをしながら言った。

「いい子だけど…面倒だね(笑)涼介モテるんだから、まじで変な女に捕まらないようにね」

僕は激しく頷く。

「ですよね。すみません」
「全然!楽しかったし、ありがと」

貴志さんの人のよさに感謝しつつ、僕はもう由美と酒の場で一緒になるのは避けたほうが良さそうだな…と痛感した。

どんなに可愛くても、酒癖が悪かったり、人に紹介できない子は勘弁だ。

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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟

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