「私のこと、もう女として見れないの?」子どもが生まれてから、夜が“ご無沙汰”の夫婦。妻の不満に夫は…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:LINEも来るし、デートもする男。なのに彼が一度も誘ってこない理由は…?
「ゆう君。私たちって、なんで一緒にいるんだろう」
夫の裕樹と結婚して、もうすぐ5年になる。子宝にも恵まれ、私たちの間には莉緒という、2歳になる可愛い娘がいる。
裕樹も頑張って稼いできてくれているし、何不自由なく暮らせているのはわかっている。
でも結婚してから、裕樹は変わった。彼の優しくて穏やかな性格に変わりはないし、特に喧嘩もない。
ただ娘が生まれてから、裕樹が私に触れることは一切なくなった。
長い沈黙の後に、ようやく裕樹が口を開く。
「家族だから、一緒にいるんでしょ?」
そう裕樹に諭されると、より一層虚しさが募っていく。
浮気がしたいわけではない。ただただ、夫にもう一度女として見てもらいたいだけ…。一体いつから、そして何が原因でこうなってしまったのだろうか。
Q1:最初のレスになったキッカケは…?
裕樹と出会ったのは、知人の紹介だった。新進気鋭の経営者と聞いていたので、「絶対この人は遊び人だろうな」と思い、私は予防線を張っていた。
しかし実際に会って話してみると面白くて、そしてとにかく優しかった。
ただ最初から、かなりグイグイと来た裕樹。経営者ということもあるのか、かなり積極的だった。
「俺、葵ちゃんのこと好きだわ」
「本当に…?」
「嘘言ってどうするんだよ(笑)」
そうストレートに気持ちを伝えてもらい、私たちは交際へと発展した。
交際中、男女の営みは会うたびにあった。人より多かったと思う。
そんな裕樹を知っているからこそ、結婚後、彼の態度が変わったことに耐えきれないのだ。
結局、交際期間2年を経て籍を入れた私たち。きっかけは、裕樹のこの発言だった。
ある日のデート中。いつになく裕樹が真顔で、こう私に尋ねてきた。
「葵、僕さ子どもが欲しいんだよね。葵は?将来のこと、どう思ってる?」
「私も子どもが欲しい。だからなるべく早く決めたいなと思ってる…。今年で、私も33歳になるでしょ?子どもを作るなら早めのほうがいいなと思って」
「そうだよね、わかった」
そしてこの話をした1ヶ月後。裕樹は私にプロポーズをしてくれた。
ただ、ここからがすべてが順調に進んだわけではなかった。
どこか能天気に、「子どもなんてすぐにできる」と思っていた。しかし現実は厳しくて、私たち夫婦にはなかなか子どもができなかった。
「ゆう君。不妊治療しない?」
「もう?まだ早くない?」
男性はどうして、こうものんびり捉えているのだろうか。女性と男性では、流れている時間の速さの感覚が違うと思う。
「そんなことないよ。一分一秒でも早いほうがいいから、次の生理が来たら病院へ行こうと思ってる」
「そっか…。葵がそう言うなら、僕もできる限りのことはするから何でも言って」
こうして裕樹に支えられ、私たちは入籍して9ヶ月後に不妊治療を開始した。
ただ開始してすぐに子どもを授かれたわけではなかった。最初は検査から始まり、タイミング法にも何度もトライした。
「ゆう君、今日あの日だから。絶対早く帰ってきてね」
「了解」
「あと今週はお酒飲まないでね」
「え?一杯くらいいいよね?」
「ダメだよ。子作り、もっと真剣に頑張ってよ」
「わかった…」
結局私たちの不妊治療は2年続いた。途中で何度も挫けたし、しばらく休んだりもした。
でもようやく、私たちのところに天使がやってきてくれたのだった。
そして娘を妊娠して出産してから、私たちの関係はさらに変わっていく。
Q2:妻に触れなくなった夫の言い分は?
無事に妊娠し、難産だったものの可愛い娘が生まれ、人生でこんなにも愛おしい存在があるのか…と実感したのも束の間。
夜泣きや授乳でとにかく寝不足になり、心身ともにボロボロになってしまった。
そんななか、呑気に飲んで遅く帰ってくる裕樹を見ると、とにかく苛立ちが募る。
「ゆう君、今何時だと思ってるの?」
「え?ごめん、一応早く帰ってきたつもりではいるんだけど…」
「私がこんなにも頑張ってるのに、なんでもっと協力してくれないの?」
「ごめん。でも今日は大事な会食だったからどうしてもパスはできなくて」
「仕事が大変なのもわかるけど、こっちだって辛いんだよ?どうしてくれるの」
「ごめん…。今からでも、何かできることあるかな?」
裕樹に当たるのは違うかもしれないけれど、私には彼しかいない。二人の子どもなんだし、もっと積極的に子育てに参加してほしかった。
そしてようやく、卒乳ができた頃。私もだいぶ心に余裕が生まれてきた。
それと同時に気がついてしまった。
― あれ?最後にゆう君が私に触れたのって、いつだろう…?
妊娠してから、一度も触れ合っていない。キスすらしていない。
そのことに気がつくと、急に焦り始めてしまった。
「ねぇ、ゆう君。今夜何時に帰ってくる?」
家を出ようとしている裕樹に後ろから抱きついて、問いかけてみる。すると裕樹は心底驚いたような顔をした。
「どうしたの、突然」
「ううん。でも今日は早く帰ってきてほしいなと思って」
「ごめん、今日は遅くなるから先に寝ていていいよ」
何度も、私からモーションをかけた。でも彼の反応は毎回変わらず、気がつけばうまくかわされるだけ。
「ねぇ、なんで?何がダメなの?」
「ごめん、疲れてるから…」
拒絶される度に、心が張り裂けそうになる。私は女として、そんなにも魅力がないのだろうか。
そしてこのまま、一生何もなく終わっていくのかと思うと恐怖でしかない。
「なんで?どうして?」そう何度問いかけても、彼から答えは返ってこない…。
そして自分自身が女として見られていないことだけではなく、この3年間男性として裕樹が何もせずに耐えているとは考えづらい。
そうなると他に女がいるとしか考えられなくて、それはそれで私の心を蝕んでいる。
▶前回:LINEも来るし、デートもする男。なのに彼が一度も誘ってこない理由は…?
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
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夫婦がレスになった理由