セルフラブって何? 30歳女子が「ノーガホテル京都」で1人旅を満喫した話

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中央線の某駅から徒歩7分、オートロック付き7帖の1K。地方出身の私が東京で手に入れた、たった1つの自分だけの場所です。少し狭いと感じる以外は特に不便を感じていないし、元々1人でいることが気楽な私にとって、1Kでの“おうち時間”はそこまで苦ではない、はずでした。

家族や友達にも会えず、予想をはるかに超える長い自粛生活の中で、少し疲れていたのだと思います。――ここではない場所で過ごしたい。そう思っていた矢先、新たにオープンしたホテルへの取材依頼が舞い込んできたのです。

■地域とのつながりを大切にするホテル

野村不動産と野村不動産ホテルズが運営するホテルブランド「NOHGA HOTEL(ノーガ ホテル)」が、関西初となる「NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO(以下、ノーガホテル 清水 京都)」を4月1日に開業したため、取材させていただけるとのことでした。

このホテルでは、「MEET HOT KYOTO.」をコンセプトに、京都で各分野の“今”を創るスペシャリストたちとコラボし、アート・食・音楽・メディテーションといったクリエイティブ体験が用意されているそう。滞在を通じて、京都を知るためのさまざまな“きっかけ”に触れる。そんなドラマチックな京都との出会いを提案してくれるホテルのようです。

関東を中心に生活している私にとって、京都に行けるまたとない機会。ぜひお願いしますと返事をして、4月某日、京都行きの新幹線に乗りました。

小学校、高校の修学旅行と、家族旅行で訪れたことのある京都。バスか車でしか行ったことがなく京都駅はほぼ初めてなのに、何も調べずに降り立ってしまいました。案の定、着いて早々ちょっぴり迷子に。さらに、生粋の雨女を歓迎してくれているのか、小雨が降っていました。

何とか電車を乗り換えて、「ノーガホテル 清水 京都」の最寄り駅、京阪電車「清水五条」駅に到着。徒歩7分、真っすぐ道なりに進むだけなので、迷いがちな私もスムーズにホテルを見つけることができました。

現代風のおしゃれな入り口を見上げると、町家の雰囲気を残した外観が目に入ります。新しいけれど周りに溶け込んでおり、一瞬通り過ぎてしまったほどでした。

チェックインを済ませ手渡されたルームキーに、早速こだわりが。1891年創業の木版印刷の出版社、芸艸堂(うんそうどう)が保有する、京都出身の画家・神坂雪佳氏の木版画をカードキーにしているのだそう。こういうちょっとした工夫が「京都に来た!」って感じがしてテンション上がりますよね。

受付のある1階にはカフェとベーカリーが併設されており、宿泊以外の方も利用可能です。ちょっとしたパソコン作業や、焼きたてのパンを目当てに朝食に訪れるのも良さそう。

宿泊特典としてウェルカムドリンクのサービスがあったので、早速いただきました。受付でもらったコインをカフェで提示すると、コーヒーやカフェオレ、エスプレッソなどのメニューから選ぶことができます。

館内のスピーカーにもこだわっているそうで、少し暗めのライトに合わせて、1階全体が落ち着きのある空間になっていました。

■細やかな工夫が詰まった室内に感動!

ひと休みしたところで、いよいよお部屋へ。今回はデラックスツインのお部屋を用意していただきました。

広い、めちゃめちゃ広い……! 1人なので広くて当たり前ですが、2人でも絶対に広い。おみやげや荷物を置いてもまだスペースがありそうです。

冷蔵庫や食器の入った棚の上には、ホテル内に散りばめられたこだわりを紹介する冊子と、周辺のおすすめスポットを紹介する冊子が。さらにBluetoothスピーカーが置いてあるので、最高の音質で自分の好きな音楽を聴くことができます。

中でも特に目を惹いたのが、メモパッド。1950年創業の窯元・嘉峰陶苑(かほうとうえん)による陶器でできており、マットな質感と程よい重さで、思わず手に取ってしまいました。筆ペンが置いてあるのも和を感じますね。

お茶を入れるケトルは、なんとバルミューダ! 湯のみも清水焼団地の清水焼ブランド「TOKINOHA」製のオリジナルマグカップを採用しており、お部屋でのリラックスタイムもいつもとは違う雰囲気を楽しめそうです。

今回のお部屋はバスルームと洗面所、トイレが全てセパレート。洗面所はフラットかつ左右に物を置くスペースが広いので、朝晩のスキンケアがしやすいと感じました!

バスルームには広々とした浴槽が。今夜、絶対にお湯を溜めて足をのばすことが決定しました。

洗面所のハンドソープ、バスルームのシャンプーやボディソープは、全てスキンケアブランド「OSAJI(オサジ)」とのコラボアイテムで統一。フローラルな「IKOI(憩い)」の香りでとっても癒やされました!

あと、ホテルのドライヤーって風力が足りないことがよくあるのですが、サロニアのドライヤーが用意されていて、ロングヘアの私はひと安心。

そしてこのルームウェアが良かった!! 着用写真はお恥ずかしいので撮っていないのですが、長めの袖丈とボディラインに沿ったシルエットがめっちゃかわいかったです。ガウンですがワンピースみたいで、テンション上がりました!

■自分と見つめ合う時間、作ってみました

さて、お部屋の探検を楽しんでいたら、予約していたメディテーション(瞑想)の時間が迫っていました。急いで向かうと、そこには同じホテルとは思えない異空間が。

地下にあるメディテーションルームは、ホテル近くにある建仁寺塔頭両足院の副住職・伊藤東凌氏とNOHGA HOTELがコラボレーションしたもので、オリジナルのメディテーション(瞑想)を体験することができます。

部屋に入って説明を受けたら、スタッフの方は退室。私1人だけの空間になりました。中央に設置されているのは、「水琴窟(すいきんくつ)」。本来であれば地中に埋め込んで空洞を作り、したたり落ちる水の音を聞くものなのですが、ここではそれを地上で再現しています。

ポトリ、と落ちる水の音が陶器に反響し、琴のような高い音を出します。床に座ってみると、床暖房でじわじわとあたたかくなっているではありませんか。

そして、スタッフの方に手渡されたスマートウォッチをつけます。実は、このスマートウォッチから読み取った自分の心拍数が、室内の照明と連動しているのだとか!

最初は緊張していたのか強い光だったのに、落ち着いてきたことで柔らかい光へと変わっていきました。明かりを見ながらあたたかい床に座り、この空間のために作られたオリジナル楽曲を聴いていると、どんどんこの世界に没入していきました。

実は私、メディテーション初挑戦。体験する前は、自分は何を考え、どのように自分を見つめ直すのだろう、と思っていました。しかし、そこに広がっていたのは“無”でした。何も考えない、ただ何かがリセットされたような、そんな不思議な時間でした。

■大人なレストランで夜ご飯

さて、日も落ちて、そろそろお腹が空いてくる時間になりました。夜ご飯はホテル内に併設されている「CICON by NOHGA HOTEL(シコン バイ ノーガホテル)」へ。

スペインのジョスパー社のオーブンで焼き上げるグリル料理や、京都を中心とした地元食材、国産のナチュラルワインなどを提供するグリルレストランです。

まずは、一杯。……といきたいところなのですが、悲しいことに私は下戸。大人しく「自家製ジンジャエール」をいただきました。

「当店のジンジャエール、結構辛口なのですが……」と前置きしてくださったのですが、むしろ大歓迎です!! 辛口とはいえ強い刺激ではなく、ジンジャーの香りが際立ち、ライムのおかげでさっぱりとした飲み口でした。

そして最初に運ばれてきたのが、「カンパチと紅芯大根のセビーチェ-岩のりヴィネグレットソース-」。

「セビーチェ」とは、魚介類に野菜と調味料を入れ、マリネしたシンプルな料理のことだそう。私がいただいたカンパチのセビーチェは、岩のりの風味とわさびが絡み合った和風テイストな一品。上にのった赤しその程よい酸味が全体をさっぱりと仕上げてくれていました!

続いてはグリル料理から、「京都産 京鴨 ロース」。

スモーク (薫製) とグリル (焼き) を同時に行うことができるジョスパー社のオーブンで焼き上げた鴨肉は、こんがりとした炭火の風味が広がるのに、ジューシーで柔らかい!

鴨肉の臭みもなく、周りの照り焼きソースが食欲をそそります。写真では分かりづらいですが、1枚がめちゃくちゃ分厚いです! 最高に幸せでした……!

お肉でお腹が満たされた私。でもデザートは別腹! ということで注文したのが、「生ガトーショコラ」。

“生”って何だろう、と思いながら食べたのですが……。本当に“生”でした!!!!!!

いつも食べているガトーショコラの生地とは全くの別物で、しっとり&程よいねっとりの柔らかい生地で、チョコレートよりチョコレートらしい風味が広がります。上にのった自家製ミルクジェラートと一緒に食べると、さらにおいしい!

お腹がもたれると思ってカモミールティーを頼みましたが、終始程よい甘さの生ガトーショコラでした!

ちなみに、本来であれば最上階の「ROOFTOP BAR(ルーフトップバー)」でカクテルを楽しむこともできます。東山、清水寺、京都タワー、比叡山の山並みなど、京都市内を一望できるルーフテラスのようですが、今回は雨女の私によって取材できずでした……。申し訳ありません!!

部屋に戻ったら大好きな音楽をBluetoothスピーカーにつなげて、自分だけの空間に浸ります。好きなことができるのも1人旅の醍醐味ですよね!

……こうして自分だけの時間を過ごしていたら、「そういえば、こうやって良い音質で音楽を聴くことって最近してなかったな」「あれ、大きいお風呂に入ったのっていつぶりだろう……」。と、1Kの部屋ではできなかった“楽しいこと”を思い出していきました。

しばらく1人で過ごす時間が多かったのに、意外と自分のことを大切にできてなかったんだな、と気づいた私。肩の力が抜けたのか、あれもこれもやりたいことが出てきたところで、いつの間にか眠りについていました。

■新たな朝が始まったかもしれない

昨日と同じく、「いい天気」とは言い難い朝を迎えました。雨女、これも予想通り。でも良いのです。私には最後の楽しみ、“ホテルの朝食”が待っているから!

朝食は夕食と同じく「CICON」へ。フリードリンクなので、あたたかい紅茶も冷たいオレンジジュースもいただきました。

そして朝食がこちら! お肉か魚から選べるモーニングプレートの他、サラダプレートとクロックムッシュプレートから選べます。今回はお肉のモーニングプレートをセレクト。

私はお野菜のグリルが一番好きでした! ほのかな燻製の香りに炭火の香ばしさが口の中に広がって、とてもおいしかったです。また、朝食のパンはホテル内に併設されているベーカリーで焼かれており、食べ放題なのでお腹の具合にはご注意を。

食べ終わって荷造りが終わったので、いよいよチェックアウト。どうせなら少し散歩しようと、徒歩圏内にある二寧坂や産寧坂の街並みを楽しんでから、京都駅へ向かいました。

■自分の一番の理解者になろうと決めた日

新幹線に乗り、東京駅から中央線に乗り換え、私は7帖の1Kに戻りました。広い部屋に泊まったせいか、心なしか行く前より小さく見えます。でも、ここが私の居場所なんだ、私のための家なんだ、という安心感も覚えました。

メディテーション体験で心の中をリセットし、ホテルでのゆったりした時間を過ごしてみて、私は自分をなおざりにしてしまっていたな、と気づきました。「セルフラブ」という言葉があるように、自分のしたいことに自分自身が気づいて行動してあげることも、とても大切なことだと分かりました。

京都旅行は観光メインになりがちですが、ホテルの中で京都を感じ、自分と向き合ってみるのも、新しい楽しみ方かもしれません。「ノーガホテル 清水 京都」は、メディテーションをはじめ抹茶やアロマ調香など、ここにしかない体験ができるのでおすすめです。

これからも外出の際は気をつけなければならないご時世が続きますが、自分と向き合うには良い機会だとも言えます。自分のための1人旅、出かけてみてはいかがでしょうか。

■ホテル概要

NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO

住所:京都府京都市東山区五条橋東4丁目450番1号
URL:https://nohgahotel.com/kiyomizu/

(取材・文:松岡紘子/マイナビウーマン編集部)