知らないと恥をかく敬語の使い方|「すでにお聞きになられていると思いますが」は正しい!?
堅実女子の皆さんは、日々オフィスやいろんな場所で敬語を使うことがありますよね。
意外と間違った使い方をしていたり……この表現は正しいと思いますか?
「すでにお聞きになられていると思いますが」
事前に話をしてくれているはずなんだけど……。
初めて打ち合わせをする取引先の担当者。仲介してくれた人が一通り説明したというはなしだったのだけれど……。
<こたえと解説>
この場合、「お聞き」と敬語を使っているのに、さらに「なられ」も敬語です。これまでも何度も登場した二重敬語になってしまっています。
二重敬語は回りくどいですし、聞き逃さず不快に感じる人さえいるようです。間違えてしまいがちですが、気をつけましょう。「すでにお聞きと存じますが」「お伝えしておりますが」など、シンプルにするとよいでしょう。
オンラインでの商談でしたが無事に進み、取引先の担当者が商品の実物を早く見たいと言ってくれました。もう夕方の集荷も終わった時間で、お送りするのは時間がかかりそう。「お店には置いてあるのですが」と伝えたら、なにか間違ったような。
そう、「お」言葉になってしまっています。名詞に「お」をつけるのは尊敬語の場合、相手のものに対してだけ。自分の会社が展開している店にはふさわしくありません。
「その商品は店舗にあります」
「この商品は○○店で扱っています」
などとするのがよいでしょう。自分と相手の立場を考えて、一言ずつ発しましょう。
結局、担当者の自宅からもお店はあまり近くなかったので、数日かかるけれどサンプル品を送付することに。「商品Aと商品Bでお間違いございませんでしたでしょうか?」と聞いてしまいました。
言ったあとであなたは気まずいかんじに。「ません」の否定語に「でした」をつけたので、現在と過去の自制もあいまい、否定と肯定も入り混じった言葉をつかってしまったのです。これまでさんざん敬語を勉強してきたのに……。
否定形は誤解を招きやすいですし、どんな場合でも肯定形にしたほうが会話がとげとげしません。ですからこの場合は
「商品Aと商品Bでよろしいですか?」
としましょう。
「ございませんでしたでしょうか」は、バイト言葉の代表「ハンバーグセットでよろしかったですか?」に近しいものがあります。大人としてはふさわしくありませんので、気をつけましょう。
〜会話例〜
あなた:このたびはお世話になります。お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます。
取引先の担当者(以下、取引先): いえ、こちらこそありがとうございます。
あなた:弊社の△△からお伝えしたと聞いておりますが、新商品を発売することになりました。
取引先:興味深い商品で、取り扱いを検討させていただきたいと考えております。実物を拝見できますか。なるべく早く見たいと思っています。
あなた:サンプルをお送りしたいと思いますが、発送が週明けになってしまいます。銀座の直営店には置いてあるのですが。
取引先:そうですか。ちょっと遠いので、週明けでもお送りいただけますか。
応募者:かしこまりました。商品Aと商品Bでよろしいですか?
取引先:はい、それで結構です。楽しみにしております。
応募者:ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
☆☆☆
バイト敬語、二重敬語はまちがったまま世間に広まっており、自然に身についている人も少なくありません。まったく間違いなく話すのはもしかしたら、至難の業かも。
けれども、新人たちが研修を終えて配属されてくることが多いこの時期、先輩として一味違ったところを見せたいなら、敬語を使いこなせるのは絶対にカッコよく見えるテクのひとつのはず。
営業などでも、オンライン、電話、メールなど表情や身振り手振りではなく、言葉が重視される今の時期。これからのセールスも言葉を中心としたものに変わってきそうです。こんなときだからこそ、後輩に胸を張れる敬語の使い方をマスターしてみませんか。
文/近藤とも