「断捨離」やましたひでこ先生インタビューvol.2〜別れから見る「断捨離と恋愛」の関係とは
別れから「断捨離☓恋愛」が見えてくる!
あなたは今すぐ彼を自宅に呼べますか?
累計発行部数300万部突破のベストセラー『断捨離』の著者であり、クラター・コンサルタントであるやましたひでこ先生のインタビュー「断捨離x恋愛」第2回目は、「別れと断捨離の不思議な関係」についてです。
第1回目のインタビュー「「断捨離」やましたひでこ先生インタビューvol.1〜出逢いを呼び寄せる「断捨離×恋愛」のススメ」はこちら。
今回も「断捨離x恋愛」という視点から、なぜ断捨離を知ることが恋愛に役立つのかを紐解いていきます。
第2回目の今回も、恋愛ユニバーシティでしか見られないやました先生のご自宅の貴重なショット満載です。さっそく見ていきましょう!(恋愛ユニバーシティ編集部)
プロフィール紹介
やましたひでこ先生
学生時代に出逢ったヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」に着想を得た「断捨離」を日常の「片づけ」に落とし込み、誰もが実践可能な自己探訪メソッドを構築。 処女作『断捨離』<マガジンハウス>は、日本はもとより台湾、中国でもベストセラーとなり、『俯瞰力』『自在力』<いずれもマガジンハウス>の断捨離3部作や、他、著作・監修を含めたシリーズ関連書籍は累計300万部を越えるミリオンセラー。
山際恵美子
編集プロデューサー。元マガジンハウス「GINZA」編集長。大学卒業後、ロータリー財団奨学生としてフランス留学。帰国後平凡出版(現マガジンハウス)「Elle Japon」創刊メンバーとして出版の道に入る。ミラノ・パリコレクションの取材を10余年経験。その後書籍編集に移りベストセラー「断捨離」 の担当編集はじめ、ライフスタイル、医療、美容、料理と幅広い書籍を出版。2016年3月退職し、フリーの編集プロデューサーに。また、プロのフランス語原語シャンソン歌手の顔も持つ。
恋愛関係から見えてきた「モノとの関係」
▲ベッド脇の引き出しにはアクセサリーが
山際
お付き合いしている彼を自分の家や部屋に呼べるかどうかというのが、どうやら恋愛指数を高めるひとつのバロメーターになりそうですね。
やました
部屋を整えることは、心を整えることですからね。ひとつまた、実際にあったエピソードをお話しましょう。
この女性は、片づけが苦手で、断捨離を始めては挫折を繰り返していたそうです。しかし、ある日、恋愛をして大切な人ができた。彼女は非常に焦ったわけ。なぜなら、とても彼を自分の部屋には呼べない。
山際
部屋を散らかしている自分を見せたくないわけですね。
やました
そう。だからなんとしても片づけられる自分になっている必要があった。ところが彼との恋愛関係が良好なときは頑張れても、悪くなると元の木阿弥。
結局原因は別のところにあったそうですが、別れることになってしまった。
山際
別れはショックだったでしょうね。
やました
もう、どれだけ泣いたかわからないそうです。「どうして私を選んでくれなかったの?」「なぜ別れることになってしまったの?」「手に入れるだけ入れたら、それでいいの?」「もっと大切にされたかったよ」と。
山際
どうやって、そんなつらい別れから立ち直ったのですか?
やました
別れからしばらくたって断捨離をするうちに、こういう思いがいかに重たかったかに気づいたそうです。実は自分も自分の部屋のモノたちに、全く同じことをやっているんじゃないかと。
買う前や買ったときはあんなに恋焦がれて手に入れたのに、ちょっとすると扱いがぞんざいになって、手入れもせずに床に置いたままだったり、存在すら忘れてしまったり。別れをきっかけにモノとの関係を見つめなおすうちに「ごめんなさい」という言葉が口をついてでたそうです。
山際
モノとの関係の問い直しが、恋愛における彼との関係の問い直しにも発展したのですね。
やました
そうです。大切だったモノをきちんと大切にできない自分が人に「大切にしてよ」なんてよく言えたものだと。自分のことをわかっていなかったのも、大切にしていなかったのも自分自身だと気がついた。これは恋愛においても一緒です。
断捨離から生まれた恋愛の「気づき」とは
▲やました先生のパウダールーム
山際
別れがきっかけだったとはいえ、すごい気づきですね。
やました
これが、断捨離の醍醐味です。断捨離をしていくうちに自分自身で気づいていく。
別れた彼との関係ばかりでなく、自分の生活、思考を見直すきっかけになり、まるで霧が晴れるように視界が開けたといっていました。モノを大切にしていないのは、自分を大切にしていないっていうことだし、そんな自分が人を大切にできるわけがない。そんな人から「もっと大事にしてよ」といわれても、誰も聞く耳をもたない。だから恋愛においても別れにつながってしまった。
ここが逆転していくと、モノを好きになる、部屋を好きになる、自分を好きになる、というのが同時進行になって、恋愛でも自分を好きになってくれる人が現れるという現象がどういうわけか起こるんです。
山際
なんだか、わくわくしてきました。恋愛と断捨離はやはり密接に関係しているのですね。
やました
選んで選んで選び抜いている私が、人から選んで選んで選ばれる私になる。主体的に選ぶことをしていない自分が、恋愛でも人から選ばれるわけがない。それを逆転させたら、必ず選ばれる。家もその頃には「どうぞ」といえる家になっているし、心も「どうぞ」になっている。恋愛においても選ばれる人になっているでしょう。「ようこそ」という空間になっていくから、招かれた人はそこにいるだけでもてなしを受けるわけです。
みんな私の家に来たがるのは、そういうことでしょう。気持ちがいいから。断捨離を日々するだけのことなのに。
恋愛にも効果あり!「断捨離の具体的な始め方」
▲コスメドレッサー。すっきりですね!
山際
片づけの苦手な彼女が別れをきっかけにそこまで断捨離できたとは。とはいえ、散らかっていてどこから手をつけていけばいいかわからないという人も多いのでは?
やました
それは、当たり前です。モノがぐじゃぐじゃということは、思考もぐじゃぐじゃなのだから。別れを経験したり、恋愛に悩んでいるときはとくにそうでしょう。空間が淀んでいるってことは思考も淀んでいでる。その淀んでいる空間にいてどこから手をつけたらと考えること自体がアウトなんです。
ヘドロの中で考えたってろくな考えが浮かばないし、ヘドロだったら泳ぎにくいわけだから。動けるわけがない。それがわかっていない。
山際
では、どうすれば断捨離できるのでしょうか?
やました
私は考えるなと言っています。「どこから」なんておこがましいことを考えない。眼の前!眼の前のいらないものから。ゴミ一個捨てればいいの。
いきなりみんなはやましたひでこの家を想像するからおかしい。いきなりエベレストに登れますか?いきなりフルマラソンに出られないってことは知っているでしょう?挫折したり、途中で棄権したりするに決まっているでしょう? なぜそんなことからしようとするのだろう?
だから、断捨離するならまず、引き出し一個。まず財布一個の中身からでいいんです。
山際
そういわれると、すごく気が楽になります。
やました
私だって、いまだに引き出し一個からですよ。まずは、どんどん単位を小さくしていくわけ。家全体、押入れ一個、家具一個、家具一個の引き出し、引き出しの中のお財布の中と。そしてひとつひとつ達成感を味わう。ここならできる、ここならできるとやっていくうちに、環境がよくなっていくから、カラダは物理的に軽くなっていく。
小さな達成感を積み上げているから、自己肯定感も生まれてくる。で、本当にこれは自分のためにやっているんだ。誰かにやらされているんじゃないとわかってくる。自分を取戻していくわけです。 そうやって自分軸を確立した人が、ちゃんとした恋愛ができるわけ。自分軸を持てば相手に振り回されない。相手の奴隷になったり、相手を奴隷にしたりというというのは、やはり自分に自信がないから。自分軸を確立したら、そういうすぐ関係が終わってしまうような恋愛にはなりません。
山際
断捨離は自分の恋愛もレベルアップさせてくれるのですね。初心者でもできるコツを教えてください。
やました
まずは俯瞰です。鳥の眼のように上から見渡してみる。お財布の中なら全部出せるでしょう。全部出したら、期限の切れたチケットとか、どうでもいいような割引券とか、ただ漫然と入れてあるレシートなどが出てくるわけです。つまり、自分との関係がもう終わっているモノ。忘れてしまったモノがいっぱい出てくる。そこからスタートします。
だから、全部出すということはとても大事。ただ、すべてをいっぺんに出すと収拾がつかなくなる。だから、主婦の方なら私はいつもまずキッチンの引き出し一個からをおすすめしています。まず引き出し一個開けて全部出す。
そうするとこんなにいらないものが入っていたのかとわかる。これの単位を大きくしたのが家全体ですから、やっていくうちに俯瞰して見る「断捨離eye」が育ってきて、どなたでも次のステップにいけるようになります。
(続く)
(取材・文/山際恵美子)
『モノを引き算して大人のすっきり生活』
やましたひでこ
(海竜社)
【別れから気づく「断捨離」3つのポイント】
・モノとの付き合い方を見直す
・恋愛において「選ばれる人」になる
・断捨離はまず「引き出し一個」から!
◇プロフィール山際恵美子 編集プロデューサー
編集プロデューサー。元マガジンハウス「GINZA」編集長。大学卒業後、ロータリー財団奨学生としてフランス留学。帰国後平凡出版(現マガジンハウス)「Elle Japon」創刊メンバーとして出版の道に入る。ミラノ・パリコレクションの取材を10余年経験。その後書籍編集に移りベストセラー「断捨離」 の担当編集はじめ、ライフスタイル、医療、美容、料理と幅広い書籍を出版。2016年3月退職し、フリーの編集プロデューサーに。また、プロのフランス語原語シャンソン歌手の顔も持つ。