探偵歴10年以上、浮気調査に定評があるリッツ横浜探偵社・山村佳子が目撃した、男と女の浮気事情。

パートナーがいる男女の恋愛の詳細を、美人探偵・山村佳子がその事件簿から紹介します! 

浮気がバレた後の夫婦関係、浮気調査のポイントについても語ります。

☆☆☆

今回の依頼者は、ある自治体の正規職員として働く保育士の中山亜紀さん(仮名・40歳)です。結婚して10年、最近は夫婦仲もすっかり冷め、日常のあいさつ程度しか、家庭の会話はないと言います。旦那様は同じく公務員だそうです。

童顔にショートカットが似合い、小柄で筋肉質なので、20代後半に見えます。化粧っ気がないから、豊かな表情が魅力的。ファッションはクマのキャラクターがプリントされたTシャツにデニムですが、雰囲気に合っているのでおしゃれに見えます。バッグはナイロン素材のシンプルなグレーのリュックで、パンパンに荷物が入っており、とても重そうです。勤務先から慌ててカウンセリングルームに来たと、おっしゃっていました。

「夫の異変は前から感じていたのですが、最近は特にヤバいんですよね。私、子供が大好きなんですが、夫のほうが原因で、なかなか子供が授からなかったんです。去年、最後だと決めて体外受精をしたのですが、うまくいかなかったんですよね。今後の可能性も含め、費用面、体のことでもいろいろ考え、断念したあたりから、夫婦の会話が激減。ただの同居人になりました」

旦那様のショックは大きく、みるみる痩せていったといいます。思い出しては涙を流す亜紀さんと、生きる気力を失う旦那様……そんな日々を過ごす中、ある日、旦那様が犬を連れて帰って来たと言います。

「コーギーという犬種なのですが、私は猫派なんですよね。でも、夫は子供がいないから犬でも飼おうかという気持ちになったみたいなんですけれど、そういう単独で暴走する性格ってイラっと来ません?私、犬の臭いが苦手なので、そのコが来てから家庭内別居になりました。今は、1階に夫、2階に私が住んでいます」

そんな亜紀さんの気持ちとは裏腹に、旦那様はワンコを溺愛する。

さらに高額のドッグトレーナーをつけて、トレーニングをして楽しそうにしていると言います。

「最初、あまりにもワンコがうるさくて、文句を言いまくったんです。そもそも私達が住んでいる家は、私の両親から譲られたもの。マスオな夫が勝手に犬を飼ってはダメなんですよ。そうしたらトレーナーの所にせっせと通い、きちんとした犬に仕上げてきました」

1日1時間程度ワンコを連れて散歩する旦那様の様子がおかしくなったのは、1か月ほど前。

「それまで、早朝に散歩していたのが夜になったんですよ。理由を聞いたら“涼しい方がいいから”って言うんですよね。しかも夜19時から22時までなど、散歩の時間が劇的に長くなった。この前、ちょっと夫の後をつけたら、近くに借りている駐車場にワンコを乗せてどこかに出かけていったんです。あれは私の尾行に気が付いていたような気がする」

そんなある日の夕方、夫からLINEが来たと言います。見てみると「大好き」という文字に、犬の絵文字やスタンプが踊っていたと言います。

「どう考えても夫が私に対して、犬の絵文字を使うLINEを送るわけがない。おどおどした夫に聞いてみたら“ウチのワンコにLINEはできない。好きという気持ちが抑えられなくて、奥さんにLINEしちゃった。ごめんね”と堂々と言うんです。私もまあ“そんなこともあるかな”とスルーしたのですが、離婚歴がある同僚にそのことを話したら“ありえねーし!それ浮気だし!”と断定。彼女と元旦那さんは、LINEの誤爆により離婚しているんです。旦那さんの浮気相手は若い女の子で、彼女に向けてラブラブLINEをしたつもりが、奥さんに送っちゃったみたいなんですよね」

亜紀さんは、他にも異変に気が付いたと言います。

「ネットでまとめて買うドッグフードのランクが上がったんですよ。キッチンは共有しているので、缶のストックが私達の食品棚に入っているんです。それがあまりにムカつくから、つい見てしまうんですよ。で、商品名をネットで調べたら、従来のよりも高いものに変わっており、減りも激しい。いったいどうしたものかと思い、何かあると確信。そして、今日依頼に来ました」

亜紀さんの話を伺い、探偵の経験から判断しても、「旦那様は浮気をしている」と思いました。

「それなら即刻、調査をお願いします。怪しいのは犬の散歩時です。明日から……いや今夜から調査に入ってください」

コーギー犬を飼ったのは、もともと旦那様がこの犬種が好きだったからだと言います。

※本連載はプライバシーに配慮し、体験内容を変えない程度に一部書き換えています。

夜の公園を横切り、犬と旦那様が向かうマンションに待っていたトイプードルの飼い主は……〜その2〜に続きます。