今回のビジネス女子マナーは、メーカー勤務の本宮かおりさん(仮名・32歳)からの相談です。

「同僚についてです。彼女はのんびりした性格なのか、ていねいに仕上げたい性格なのか、よくわからないのですが、とにかく仕事が遅いんです。

いつも“業務が多すぎてぜんぜん終わらない”と言うので、私のほうで仕事を巻き取ってあげているのに、それでもまだ、男性社員に愚痴ったり、仕事中パソコンの前でわざとらしく大きなため息をついたりします。周囲から“フォローしてあげなよ”と言われて私が悪者のようになっていますが、私から見たら、大した仕事をしているように思えません。それだからお給料も安いのに、文句ばっかりでイライラします。どうしたらいいでしょうか」

仕事のペースが違う同僚と同じ業務をしている場合、相手のやり方が気になってしかたがない、ということは多々あります。

とはいえ、それも個性とも言えますし、同僚という立場では指導するというのもちょっと違いますよね……。仕事を巻き取るのが限界で、だからこそイライラしてしまうということもあるでしょう。

堅実女子として、賢く立ち回るにはどうしたらよいでしょうか。鈴木真理子さんにうかがってみましょう。

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今すぐ「やってあげている」精神から抜け出す

「大変」が口癖の人、ぶつぶつ星人、アピール上手……いますね、どこの職場にも。相談者さんのように、コツコツ黙々と仕事をしていると「評価されないのでは」と心配になることもあるでしょう。

会議でも、声の大きな人の意見が通りやすかったりします。

あなたが不満をもつ理由として、ひとつは「仕事を巻き取ってあげている」ことでしょう。それなのに感謝してくれるならまだしも、大きな顔をされたら、相手が許せん!となりますよね。

そりゃあ、要領のいい人がいると腹が立ちますよ。

ただ、お手紙の中に「それだからお給料が安い」とあるので、その人の評価は決して高くないのですね。

つまり、見ている人はちゃんと見ているということ。安心してください。上司は、あなたの頑張りをちゃんと評価しているのだと思います。恵まれていますよ。

これから先も、あなたは同僚の仕事を巻き取ることが多々あるでしょう。そのとき、「アタシがやってあげる精神」だと、きっと、しんどくなります。

なぜなら見返りを期待しているからです。もしかしたら、あなたの好意は、相手にとっては恩着せがましい態度に思えるのかもしれません。彼女はそれが嫌なのかも、とも考えられます。

それでも、仕事が遅くて進まない彼女の担当分を一部巻き取らなければ、業務そのものが滞ってしまいます。チームで業務をしている場合、あなたの評価にも関わってしまいますね。

ですから、「そんな人はほっといって、自分の仕事をしましょう」と言えないのが苦しいところです。では、どうするべきか。

個人ではなくチームとして考えてみましょう

ここは、その同僚ひとりを助けるのではなく、チームに貢献するという視点に置き換えてみてください。

彼女と直接係わらなければいけないあなたにとって、“大変ちゃん”だったり“頑張ってますアピールちゃん”だったりは目障りでしょうが、完璧な人間などいません。近い将来、あなたが彼女に助けてもらうこともあるかも、と心を広くして。

そうすれば、ほかのメンバーはあなたのことを大切な存在として扱うことでしょう。

自分の損得を考えだすとストレスフルになってしまうから、できるだけチーム単位で考えて。



■賢人のまとめ
「大変」アピールをしている人は、意外と評価されがちではあります。しかし、今回その方は「お給料が安い」とのこと。あなたのほうが評価されている、ということに誇りをもって。いつかあなたが彼女に助けられる日も来るかもしれませんから、「やってあげている」という気持ちを捨てて、彼女のためでなくチームのために貢献するつもりで対応してみてください。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

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