女性誌『Suits WOMAN』で注目を集めた「貧困女子」。これは普通の毎日を送っていたのに、気がつけば“貧困”と言われる状態になってしまった女性たちのエピソードです。

今回お話を伺ったのは、牧田真理子さん(仮名・40歳)。彼女は8歳の娘がいるシングルマザーです。

「DV気味で生活費を入れない元夫といろいろあって、離婚して2年になります。養育費はもらっていませんし、娘が会いたがらないので面会もしていません。実家の両親と同居していますが、マンションだから窮屈で。仕事はIT関連会社の見習い社員をして半年になります。頑張り次第では正社員になれるみたいですが、子持ちにはきついですね。みんなが22時くらいまで仕事をしているのに、私は18時で退社させてもらっているんですから。でも、派遣社員で働くよりは、キャリアになるのかな……と考えています。」

真理子さんの手取りの月収は、19万円ほど。

「毎日の生活には困りませんが、一切の貯金ができないから貧困家庭だと思います。朝10時から18時30分までの時短勤務ということを考えると、額面の給料はまあまあだと思っています。でも、これから娘を中学校、高校、大学と進学させられるのだろうかと、真っ暗な気持ちになりますね。実家は持ち家のマンションですが、現金は皆無。今年なんて、固定資産税の約9万円が払えなくて、親はキャッシングしていましたからね。それでも今は両親ともに60代で元気にしていますが、どちらかが病気や要介護になったらアウト。父親は地元で酒屋さんを経営していたのですが、借金だらけで廃業。このとき、亡くなった祖父から相続したアパートを売って借金を返済しました。今の我が家の収入は、私の19万円と、母親が介護センターの食事補助の仕事をして得る5万円と、父が友人のお蕎麦屋さんの配達を手伝ってもらえる7万円のみ。あと数年で年金が受給できるので、その日を楽しみにしています」

祖父母が娘を甘やかすことも、将来の不安要素のひとつ

「離婚して出戻ってから、娘はブクブクと太ってしまい、虫歯だらけに。甘やかさないでと言っても、聞かないんですよ。成績もガタ落ちで、家に帰ってもスマホばかり見ています。母と娘に祖父母だと、生活に全く緊張感がなくなるんですよね」

現在の支出について伺いました。

「食費が6万円、通信費が2万円、塾代が3万円、あとの8万円の全額は娘と私のお小遣いです。服を買ったり、アイドルのライブに行ったり、女の子ってお金がかかるんです。給料日前はお金がなくなって、おやつ代わりにパンの耳にお砂糖をかけて食べているんですよ。お金って、いくらあっても足りませんよね。娘は最近、犬を飼いたいと言っているし、誰かお金持ちのおじいちゃんが、私と結婚してくれないかなと思っています。私が亡くなるまで一生懸命お世話して、後は遺産をすべていただく……というような」

真理子さんは、ボブヘアにパステルカラーのジェルネイルをしていて、まつ毛エクステをかなり盛っています。ぽっちゃり体型でチャーミングなので、男性からはモテそうです。白ブラウスにデニム、フリマアプリで買ったという、フランスブランドの市松模様の白いトートバッグを持っていました。

「私、働くの嫌いなんです。できれば、宝くじとか株でドーンと儲けて、あとは遊んで暮らしたい。結婚したのも専業主婦になれるかと思って、大手企業勤務の元夫を選んだのに、実際の収入は低くて、私が派遣社員として再び働かなければ、食べていくのは厳しかった。年に1回ハワイに連れて行ってくれると言ったのに、結局10年間の結婚生活で、行ったのは1回だけですよ。スーパーで毎日好きなモノが買えて、どこの飲食店に行っても、お金を気にせず注文できるような生活がしたかったんですけどね」

短大卒業後、都内のメーカーで事務職として働いていた真理子さん。正社員だったけれど、女性は結婚したら退職する“寿退社”が当たり前のようにされている社風だったといいます。

「男性中心の会社でしたから。責任ある仕事もできず、何のキャリアにもなりませんでした。仕事の内容だったら、今の方が充実しています」

実は結婚期間中に、穏やかで裕福な男性と交際していた真理子さん。その男性に娘はとても懐いていたとか。

真理子さんの恋人が、離婚を後押ししてくれた……7歳年上のバツイチ男が離婚後にした仕打ちとは?〜その2〜に続きます。