今回のビジネス女子マナーは、電機メーカー勤務の和田智子さん(仮名・27歳)からの相談です。

「月曜日のたびに、週末作ったという手作りの焼き菓子やパンを会社に持ってくる女性がいるんです。その人が部署の男性にちやほやされるせいで、他の女性社員にも手作りブームが飛び火して、最近では、月曜日は手作り合戦です。料理が苦手な私は本当に肩身が狭く、月曜日がイヤでたまりません。波風をたてずに止めてもらうにはどうしたらいいでしょうか」

休日にまで会社のことを考えなくちゃいけないのは、辛いですよね。月曜日に出社したくないというのは、深刻です。相談者さんが悪者にならずに、女子社員の手作りブームを鎮火させる手はあるのでしょうか。鈴木真理子先生に聞いてみましょう。

☆☆☆

 会社に食べ物を持ってくること自体は自由

週末のリア充アピールでしょうか。それとも、胃袋で男性のハートを掴みたいのでしょうか。いずれにしろ、相談者さんにとっては目に余る、そして、それに追随する女子社員ばかりで肩身が狭くなっているということですね。

食べ物を会社に持ってくるのは、本人の自由です。ですから、正義を振りかざすように「会社に私物を持ってくるのは止めましょう」と提案したり、「迷惑している人もいますので」などと声高に言わないほうがいいでしょう。嫉妬しているようにも聞こえてしまい、逆効果になりかねません。

得意分野は人それぞれです。やりたい人にはやらせておけばいいのです。もちろん、相談者さんが「私も作ってみました!」と便乗してもいいのですよ。

もちろん、「私はそんなことはしたくない」と決めるのも自由。料理がヘタな自分はダメ人間、と思うことはありません。料理ができないことも十分な個性です。自分は料理はしないけど、だからこそ、おいしいものを探すのが得意、という人もいますね。

お菓子を作ってきた女性たちが男性社員にちやほやされるのが面白くなくても、彼女たちのことを気にしすぎないことです。

お目当ての人でもいないかぎり、手作りブームは自然と鎮火していくものです。

ちやほや男性と同じスタンスで明るく褒める

手作りブームは長くは続きません。盛り上がっている間は、あなたもおいしくいただいて、「さすがね!」と心から褒めたり、彼女たちをちやほやしてあげているという男性と同じスタンス、態度をとってみてください。

冷静に考えてみてください。彼らは彼女たちが作ってきた手作りお菓子を食べているだけで、自分たちが何かをつくって持ってくるわけじゃないですよね。「持ってきた人がいる」「それを受け取る」でひとつのコミュニケーションが完結しているんです。それ以上でもそれ以下でもない。

また、お菓子を作ってきたから、責任ある仕事に抜擢されることもないですし、お菓子を作ってこなかったからといって、左遷されることもありません。ですから、安心してその場の雰囲気を盛り上げてください。

月曜日の朝が「今日は誰がおいしいおやつを持ってきてくれるかしら?」と、楽しみにできるくらいになれるといいですね。

ただ、怖いのは食中毒。保冷剤をつけて持ってきても、この猛暑です。何が起きるかわかりません。生のフルーツなどを使ったゼリーやおはぎなどを差し出されて、「これはちょっと食べる気になれない……」と思ったときは、「ありがとう。気持ちだけいただきます」と笑顔で言ってみてください。

「この時期に生菓子とか、ありえなくな〜い?」などと、陰でコソコソと悪口を言うより、本人にやわらかく伝えるのがマナーです。

レシピ動画のブームのせいで、手際がいい人はさらにサクサクと作れるようになったらしいけど、しらんがな。



■賢人のまとめ
「持ってくるの禁止!」と声高に主張するのではなく、食中毒に目配りしつつ、おいしくいただきながら、ブームが去るのを待ちましょう。

■プロフィール

女子マナーの賢人 鈴木真理子

三井海上(現・三井住友海上)退職後、“伝える”“話す”“書く”能力を磨き、ビジネスコミュニケーションのインストラクターとして独立。セミナー、企業研修などで3万人以上に指導を行う。著書は『ズルいほど幸せな女になる40のワザ』(宝島社)のほか、近著『仕事のミスが激減する「手帳」「メモ」「ノート」術』(明日香出版社)、『絶対にミスをしない人の仕事のワザ』は7万部を超えるヒットとなる。 

(株)ヴィタミンMサイトhttp://www.vitaminm.jp/