なんだか仕事が楽しくないなら…「意外な原因に出会う」思考法を試してみて

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特別何かがあったわけではないのに、最近、なんだか仕事が楽しくない。そんなことってありますよね。テキパキこなせていたことが出来なかったり、なんとなくダラダラと効率の悪い仕事になってしまって自己嫌悪に陥ったり。あんなに好きだったはずの仕事がどうして楽しくなくなったのでしょうか?

今回は心理カウンセラーの筆者が、“トヨタ式5回のなぜ”の方法を使って、「仕事が楽しくない……」を解決する方法をご紹介します。

■「トヨタ式5回のなぜ」ってなに?

トヨタ自動車工業元副社長が提唱したと言われている“5回のなぜ”。トヨタではトラブルに直面した時に「なぜ、そのトラブルが起こったのか?」を繰り返し考えるのです。パッと思いつく安易な答えをすぐ結論にするのではなく、その奥底にある本当の原因を探ることが目的であるとされています。

この思考法はトヨタの徹底した生産効率のアップにつながったと世界から注目を集めています。

■1つめのなぜ

“仕事が楽しくない”ということも自分自身の中で起きた1つのトラブルだと考えてみます。例えば1回目の「なぜ、仕事が楽しくなくなったのか?」から何らかの原因を探り出します。

それは人間関係など精神的なものなのか、仕事量の増加でキャパオーバーや残業、休みの減少など肉体的な疲労によるものなのか、もしくは1日中パソコンのディスプレイを見る仕事で視神経から脳が疲れているのか。

最初の“なぜ”で大まかな原因がつかめると思います。

■2つめのなぜ

それが上司や部下との人間関係であれば「なぜ、その人について不快な感情を抱くようになったのか?」と自分に問いかけ、そこから不快な感情を抱くきっかけを探り出します。

仕事量の増加などはなぜ仕事が増えたのか、もしかしたら自分が会社から期待されているからかもしれませんよね。

体が疲れているのはなぜなのかを考えた場合、それは休日も無理やり出かけたり家事をしたりしているからかもしれません。

また、視神経の疲れであれば、通勤中も休日もスマホをじっと見る時間が長いのが原因かもしれないなどがわかります。

■3つめのなぜ

人間関係での疲れは、もしかしたら小さなことの蓄積が原因かもしれないと答えが導き出されたなら、次は「なぜ、自分はそれが許せないのか?」と考えてみましょう。

人は誰かの言動に対して、許せない・イライラするという感情を感じるときのほとんどが、その人物に対して自分が“こうであるべきだ”と考えている事に反しているとき、もしくは自分が否定されたときです。

休日の外出や家事、スマホについてが3つ目のなぜの場合は、「なぜやめられないのか?」を考えてみましょう。

■4つめのなぜ

もし、人が自分の“こうあるべきだ”と思うことに反していた場合は、「なぜ、自分はそのことについて“こうあるべきだ”と思っているのか」を考えましょう。もし自分が否定された場合は、「なぜ、自分は否定されたのか」を考えます。

ここできっと“こうあるべきだ”は親のしつけや学生時代の教師や先輩の教え(刷り込み)だということがわかってくると思います。また、自分を否定された理由の原因も相手の“こうあるべきだ”に自分が反しているケースだってあります。誰しもマイルールに反する言動をされたり、自分を否定されたりすれば最初はイライラや怒りの感情を抱くもの。それが無気力や楽しくないという感情、つまり心の疲れに繋がっていることがあります。

一方、外出や家事も、もしかしたら自分が“休日は遊ばなきゃ!”と思い込んでいたり、“家事をしなければならない”とルールを作っているだけかも。

果たして、本当にそこまでする必要があるのかを合わせて考えてみるのもいいですね。

■5つめのなぜ

そして最後のなぜ。「なぜ自分は相手を許せないのか、受け入れられないのか」ここまできたら、自分が小さなことにこだわっていたことに気づくことが出来ます。その小さなことにこだわることで、自分で仕事を楽しく感じられなくしていたと分かれば、「なんだ!そここだわる必要ないよね」ときっと心が軽くなることでしょう。

また、SNSへの投稿のために外出する人も近年増加しているといいますが、「果たして疲れた体で無理してまで出かける必要があるのか」、「SNSのための生活ってなに?」と自分に問うてみるのもいいでしょう。

家事をしなければならないと思っていても、もしかしたら自分がそう決めているだけで、たまには家事まで完全に休んでしまっても大した影響がない場合だってあるはずです。

最後のなぜでそこまでたどり着いたら、自分でもしっかり腑に落ちて解決策も見えてくるはず。そうすればまた新たな気持ちで、仕事を楽しめるのではないでしょうか。

【筆者略歴】

SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。

【画像】

※ Africa Studio/ shutterstock