「タルトレット」とワインのセット(STARBUCKS EVENINGS)

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吉野家、ガスト、なか卯――。ファミレスやフードチェーン店での「ちょい呑み」は、帰りにほんの少し飲んで帰りたいな、というビジネスマンたちに広がりを見せています。

そんな中、2016年に新たな波としてきて登場しているのが「カフェDEちょい呑み」。3月30日には「STARBUCKS EVENINGS」、3月31日には「タリーズコーヒー プライムファイブ」、4月1日には「KFC高田馬場店」とカフェチェーンが連続でお酒を提供する店をオープンしました。

どの店舗も、ターゲットは働く女性。仕事帰りにふらっとひとりで立ち寄れる気軽さ――が、ポイントのようです。

仕事帰りの女性がリセットして家に帰れるように

「30〜40代の働く女性がターゲットです。丸の内というビジネス街の立地も重視しました。仕事を終えた女性が寄って、気持ちをリセットして、リフレッシュして家に帰れるような、そんな空間を目指しています」

と話すのは、スターバックス コーヒー ジャパンの広報、山口哲司さん。

「STARBUCKS EVENINGS」は、そもそも北米で2010年から展開していたプログラムで、今回、日本風にアレンジして新東京ビル(丸の内)にオープンした、というわけです。

メニューも"女性が1杯のワインでちょうどよく"楽しめるようにと、ワイン自体へのこだわりはもちろん、フードもワインと合うものを追求して作ったそう。たとえば、スイーツ「タルトレット」とワインのセットメニュー(1200円)では、女性が片手で軽く持てる食べやすさとサイズ感にするなど、"女性目線"の工夫が見られます。

「夜は1人で飲んでいく女性もいらっしゃっています。カップルで、という方もいました」と、戦略は当たっていると話す山口さん。

彼女たちは、ワイン×タルトレットだけでなく、スコーンなど通常メニューと組み合わせて、自由に楽しんでいるそうです。

「後からちょい呑みを加えた」タリーズ

同じく人気カフェチェーンのタリーズコーヒーは、注目の新施設・東急プラザ銀座地下1階に「タリーズコーヒー プライムファイブ」をオープンしました。

「もともとこの新名所に出店する、ということから店づくりをしていきました。考えていくうちにカフェで少し飲めたら、と"ちょい呑み"ニーズでお酒が加わった、という形です」(タリーズコーヒージャパン 広報・山口さほりさん)

買い物の街であり、ビジネス街でもあり、観光地でもある。そんな銀座ですが、今のところはお客は女性が多めだそうです。

「若い20代ほどの女性から40代のマダムまで、広い年代の女性に楽しんでいただいています。1人で来られる方もいます」

店舗の売りのひとつとしてこだわりを見せているのがスイーツです。代々木上原のブーランジェリー&カフェ「Main Mano(マンマーノ)」から、オリジナルスイーツのロールケーキやガトーショコラ(単品850円〜)を提供しています。コーヒーやワイン、さらに獺祭のスパークリングと合わせれば......。このおしゃれ感、たしかに女性に受けそうです。

戦略は40種の豊富なアルコールメニュー

高田馬場に新業態をオープンしたのは、「KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)」です。夜時間帯がバル形式になる、ちょっと変わったシステム。昔から寄せられていたという「チキンとビールの組み合わせを楽しみたい」というニーズに応えてのことだそうです。

"CASUAL×FASHION×POP"がコンセプトの内装は、シンプルながら遊び心あふれた女性も入りやすい雰囲気です。広報の茂呂朋子さんは、「女性1人や2〜3人で軽く飲んでいく、という方もいらっしゃいます」と、女性のお客が多いと話します。

店の特徴は、40種以上と豊富なアルコールメニュー。サントリーと共同開発したオリジナルハイボール「カーネルハイ」(460円)も用意するなどかなり力を入れています。

「お酒の種類が多いのは、また次に来てもらうきっかけづくりです。『ワインとチキンで食べてみたいな』『次はカーネルハイが飲みたいな』と、色々な楽しみ方が広がるといいですね」(茂呂さん)

うーん、これは"ちょい呑み"よりも、「オリジナルチキン(ハーフポテトつき)」(300円)と合わせて"ガッツリ"いきたいかも!

3つのお店にも共通しているのが「ターゲットは女性」ということ、そして「ちょっと高めの価格帯」であること。どのお店もアルコール1杯+つまみで1000円を越えるので"せんべろ"という言葉とは縁遠そうですが、「フードチェーンやファミレスで1人呑みはちょっと、だけどバーとかは敷居が高くて......」と悩んでいた女性には"待ってました!"に違いありません。

これまでとはちょっと違う「カフェDEちょい呑み」はまだ始まったばかり。女性たちのニーズを受けて、ぐんぐん広がって将来は当たり前になっちゃうかもしれませんね。