幸せな時も悲しい時も、私の側にはワインがあった…。明日で最終話!「男と女のブランルージュ」全話総集編
愛おしい人といるときは、何気ない時間が特別なものに変わる。
そして、2人の時間をよりスペシャルなものにしてくれるのが、ワインだ。
ワインには、香りと舌の記憶とともに一瞬を永遠に留めてくれる不思議な力がある。
今宵も、ワインボトルの前に男と女がいる。
長い年月を経て、このテーブルに辿り着いたこのワインのように、とっておきの物語が紡がれる。
「男と女のブランルージュ」一挙に全話おさらい!
第1話:既婚男を好きになってしまった。報われない恋に悩む27歳女が決心したこと
一葉が一方的に思いを寄せているのは、同じ会社の上司、高野だ。彼は一葉より7歳上の34歳。
『ひょろっと身長が高く、端正な顔立ち、横顔のシルエットが素敵な人』というのが彼の第一印象。2年前に他社から転職してきたそうで、一葉は半年前、彼のプロジェクトチームに加わった。
既婚で幼稚園に通う娘がいるらしいが、「素敵な人」と思うだけなら、男性アーティストの誰々がタイプ、という感覚と変わらない。
推しを応援するのと同じことだ。そう、最初は「推し」だった。だから、彼が既婚かどうかは、最初はあまり気にしていなかった。
それが一葉も気づかないうちに「好き」にシフトしていた。つまり、この思いは、一方通行の単なる片想いなのだ。
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第2話:「何度も2人で会ってるけど、進展しない…」痺れを切らした女がとった大胆な行動とは
先月、汐音がフランスに出張した際、現地に住む日本人から「フランス人は信号を守らない。自己責任で赤信号を渡っていく」と聞いていた。
車は走っていない。日本人だとしても渡るチャンスだ。
しかし、汐音は渡らない。なぜなら今、隣には葉山彰人がいるからだ。大手商社に同期入社した彼とは、これまで何度となく酒を共にした。
今夜、二人の物理的距離は、過去最高に近い。汐音は、彰人の手に触れたかった。けれど、勇気が出ない。
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第3話:気がつけば7年も付き合っていたけど、結婚はできない…。32歳女が悟ったワケ
「幸せにしたいんだ。由奈を」
後に続く言葉をようやく絞り出すと、由奈は少し驚いたようだった。そして、うつむき、じっとテーブルを見つめている。
「隼人…ありがとう」
ここまでは、隼人には、想定内の返事だった。しかし…。
「でも、私、隼人とは結婚できない。私の方こそ、今更こんなこと言ってごめんね」
― えっ!?今俺、プロポーズ断られた?
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第4話:1回目のデートには誘われるが、2回目がない29歳女。彼女が無意識でやっているNG行動
「また2人で飲みましょう。他にもまだ、いろいろ話したいことあるので」
男は言うかもしれないが、それも毎度のことだ。20代前半なら、それが次のデートの誘いだと勘違いして、喜んでいただろう。
けれど、愛理は29歳の大人だ。11歳で初恋を経験してから、恋愛キャリアはもう18年。さすがに相手の言葉の真意を読み取る力はついている。
今夜の男も、自分のことを異性としては見てくれないことは、愛理にもわかる。
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第5話:クリスマスの日まで夫がゴルフ…。元CAのセレブ妻の人には言えぬ悩みとは
義昭とは、友人の彼からの紹介で知り合った。当時は、動物について熱心に語る様子が花梨は好印象を抱いた。
出会ってまもなく義昭からのアプローチで付き合うようになる。そして、しばらくすると、彼は結婚を考えていると言った。
義昭と一緒に過ごすのは、普通に楽しかった。言い換えると、これまで情熱的に恋愛を楽しんできた花梨にとって義昭との恋愛は、よく言えば穏やかで、少しも波風立たないといった感じ。
これが大人の恋愛というものなのかもしれない、と花梨は感じていた。
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第6話:妻が見知らぬ男と2人きりで…。偶然目撃した夫が取った、予想外の行動とは?
「妻とはどんな関係なのでしょうか?」
大和は知り合ったばかりの男・小暮智行に尋ねる。
小暮と対面すること自体は初めて。しかし彼の存在は3ヶ月前から気づいていた――大和の妻・静香の密会相手として。
「妻?」
とぼけているのか、小暮が尋ねる。
「吉岡静香、僕の妻です。たびたび妻と会っていますよね?」
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第7話:「私が出すよ」年下彼氏とのデート。女が毎回支払いをしていたら、男が突然…
「マリエさん、こんにちは。ここにいたのね」
マリエの頬が緩み、周囲と同じ保護者の顔になる。
「今日も颯は、バタ足10メートル連続でできなくて、足ついちゃったわ。葵くんは、上達早いね」
「冬休みにホテルのプールでパパと練習したからかな。ところで、この間マリエさんからいただいたシートマスク、めちゃくちゃ良かったわ!」
先日マリエがプレゼントした新商品をベタ褒めする彼女の隣で、マリエは小さくため息をついた。
― はぁ…。パパとプールねぇ。やっぱりパパは必要なのかな。
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第8話:「料理を作りに行くよ」を口実に、女の家を訪れる29歳男。曖昧な関係に終わりを告げたのは
貴志の手料理。麗が用意する1本のワイン。そして気が置けない友人同士としての会話。それが二人にとって毎週月曜の夜のすべて。
ひとつ屋根の下で男女が二人きりになるというのに、貴志は一切、麗に触れようとしない。
見えない壁でもあるかのように、一線を引いている。だからこそ麗も、貴志と距離を縮めようとはしない。
仮に麗のほうから近づいたとして、そのとき貴志に嫌な顔をされたりしたら…。そう思うと、麗は何もできなかった。
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第9話:4年付き合った彼氏に、年末にフラレた28歳女。元彼が“タグ付け”された画像を辿っていくと…
表参道は金曜日の夜を楽しもうとする人々で、華やいでいる。去年までの金曜日なら、自分もあの雑踏の中にいたのだ。
最近どうしてるんだろう?
ふと思い立ち悟のインスタを開いてみる。だが、11月を最後に更新は途絶えている。
― 私ってば、いつまでも未練がましいよね…。
そう思いながら、なんとなく「タグづけされたコンテンツ」を見てみる。すると…。
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第10話:港区の“ワイン会”に参加する27歳女。でも、実はワインの良さが全く分かっていなくて
― ただ美味しく飲めればいい。
それが結愛のワインへの姿勢だが、なぜか共感してもらえない。ゆえに高輪ワイン会には惰性で出席し続けているだけで、参加メンバーと仲良くなることはなかった。
しかし、今夜は違った。偶然にも自宅が近くて、帰りのタクシーを相乗りした上井翔馬に言われたのだ。
「もしよかったら、飲み直しませんか?」
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第11話:「付き合いたいけど、友情が壊れるのが怖い」28歳女が思い切ってバレンタインに誘ってみたら…
ショーケースの中の宝石のようなチョコレートを2人はうっとりと眺めている。ここは渋谷の東急本店通り。いくつかのスイーツショップを梯子し、2人は「テオブロマ」にバレンタインギフトを探しにやってきたのだ。
ワインが好きな2人は、何か理由をつけては一緒に出かけ、帰りは飲んで帰るというのがお決まりのコースだ。
「決めた。私、このボンボン・ショコラにする。麻美は?」
桜子は15個入りの箱を指して言った。食事会で知り合った彼と今年から付き合い始めた桜子にとって、バレンタインは初めて迎えるイベント。
「桜子は彼氏用だから選びがいがあるよね。でも私の場合…」
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第12話:離婚前夜、最後のディナーをしているうちに2人の気持ちに変化が。ワインがきっかけで…
藤吉遼平は明日、離婚する。
「理由は?」
周囲に離婚を報告するたびに聞かれるがいつも困る。自分でも理由がわからないからだ。
遼平が浮気したわけでも、1つ年上の妻・那奈が浮気したわけでもない。
結婚して3年。出会いから数えると6年を共に過ごし、気づけば互いに男女としての愛情が失われていた。遼平にも那奈にもその自覚があった。
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第13話:バツイチ同士の恋愛。大人だからこそ、結婚のタイミングが難しくて…
「もちろん。構わないよ」
快諾する孝太郎の脳裏に、里緒の父親の姿がふと浮かび上がる。
「娘を思いやってくれる相手なら反対しない。もう大人だから好きにすればいい」と、特に父親は2人の関係に寛容だ。
そして、家に遊びに行けば、ワイン好きの父親はウンチクを楽しそうに語った。孝太郎は何かの役に立つかもしれないと、熱心にメモを取る。いい関係を築いていたと思う。
だから、半年前の出来事は、孝太郎にとっても忘れることができない。
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第14話:「仕事で遅くなる」と嘘をついて、妻に内緒で元カノと密会した男。家に帰ったら…
6年前に購入した目黒不動尊近くの低層マンションには、愛する妻と子どもが待っている。
妻によると、4歳の息子は、仕事帰りの淳之介に「おかえり」が言いたくて遅くまで起きていようとするが、20時半を超えると限界が来て寝てしまうらしい。
だから何もない夜は、なるべく早く帰宅することを心掛けている。
でも、今夜は妻にも息子にも、あらかじめ「仕事ですごく遅くなる」と伝えていた。
― 今、俺たちは互いの家族にウソついて、秘密の逢瀬をしているのか…。
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第15話:付き合って3年だけど、結婚の話を出さない年上彼氏。30歳女が別れを切り出したら…
「直樹、ごめん。私、遠距離で続ける自信がない」
そう直樹に伝えた時、もしかしたら引き止めてくれるかなと、いずみはわずかな期待を抱いていた。しかし、直樹は「だったら仕方ないね」と別れをすぐに受け入れたのだ。
寂しかったが、自分は直樹のなかで結婚するほどの女ではなかったということなのだろう、といずみ結論づけた。
― きっとスペイン転勤がなくても、いつか別れることになっていたはず…。
そして「美味しいものを食べて笑って別れよう」と今日一緒に最後の食事をすることになったのだ。
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第16話:彼の家に何度訪れても、彼女になれない女。男の思わせぶりな態度に振り回された結果…
「私、正弥のことが好きだったんです」
誰にも言ったことのない本音を、なぜか初対面のドライバーにすんなり打ち明けてしまう。
「でも気持ちを伝えることができないまま、正弥に彼女ができて…。同棲を始めたらしいんです」
心美が訪れていた正弥のマンションに、今は別の女が住んでいる。
今回の同期会の会場が正弥の家になったのは、彼女を紹介するという目的もあった。当然、心美は気が乗らなかったが同期会に参加するつもりだった。
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第17話:2年前に別れた元カノをSNSで発見。結婚したことを知った31歳男は思わず…
「日本に帰ってきたばかりなのに、とんだ日曜日だ…」
ぽつりと呟き、リビングのソファに身を預ける。
ゼネコンに勤め海外と日本を行き来する勉は、1週間ほど前にマレーシアから帰ってきたばかりだ。窓際には、まだ中身を整理していないリモワのトランクが放置されている。
「はぁ…」
― 別れて2年経って、夏奈も僕と同じ31歳。そりゃ結婚ぐらいするよな。
お互い納得して別れたはずなのに、彼女のドレス姿にこれほどまで心をかき乱されるとは、思ってもみなかった。
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第18話:「仕事して疲れてるのは、自分だけって思ってるんだね」夫は、妻が不機嫌な理由がわからなくて…
陽奈とは、結婚7年目になる健斗の妻だ。健斗より2つ年下の35歳。IT系の会社に勤務しており、在宅で仕事をしている。
2人の間には、息子が1人。この春から念願の私立小学校に通い始めた。
陽奈の会社は、子どもが小さいうちは、時短が許され、そのうえフレックス。子どもを小学校に送り出した後、15時まで自宅で仕事をし、それ以降は子どもの習い事や家事に充てている。お受験の準備に費やす時間が多かった去年に比べ、陽奈も健斗も自由になる時間が随分増えた。
だが、最近の妻はイライラと機嫌が悪いことが多く、理由がわからない健斗のもやもやは募るばかりなのだ。
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