顔面半分アザのダンサーと義眼のYouTuber “普通”に囚われ悩みながら見つけた“自分らしさ”との向き合い方
これまで、eltha by ORICON NEWSではコンプレックスをテーマに悩みに葛藤する女性、克服し、乗り越えてきた女性たちを取材してきました。今回は生まれつき顔面の半分にあざを持った女性、生後10ヵ月から義眼をした女性をピックアップ。彼女たちがどのようにして、それぞれの悩みに対峙し、乗り越えていったのかを伺いました。
【画像12枚】顔半分アザを持つRICACOさんと生後10ヵ月から義眼のぴぴるさん 幼少期から現在の姿
■「“みんなと同じ”に」カバーメイクでアザを隠し続けていた女性が見つけた“自分らしい美しさ”
ダンサーで振付師のRICACOさんは、単純性血管腫を持ち、顔の左側に赤いアザを持って生まれました。取材での第一印象は、とにかく明るくてパワフルな関西女子。子どもの頃、自身のアザについて『赤ピーマン』とあだ名をつけられてもひるまず言い返すほどの勝気な性格は親譲りだと話します。
「あるとき、長く伸ばした前髪でアザを隠そうとしたところ、それを見た母から『コソコソするな!』と怒られました。『あんたは可愛い。堂々としてなさい!』というのが母の口癖でしたね」
そんなRICACOさんにとっての転機は小4の時。通っていたミュージカルスタジオでの発表会で講師がアザを隠すカバーメイクを施してくれたのでした。
「とにかく“みんなと同じ”になれたことがうれしくてうれしくて。そこからカバーメイクを研究するようになり、中学校に上がってから大学を卒業するまでずっとアザを隠してきました。SNSで初めて素顔を投稿したときには、同級生も『知らんかったわ!』と驚いてましたね」
大学卒業後、憧れていた企業にダンサーとして就職したもののそこで働く条件は「スッピンで活動できること。何年もあざを隠し続けてきたRICACOさんは悩みます。
「それでもダンスを仕事にしたいという気持ちが強くて、エイヤッとスッピンで初出社しました。そしたら、誰もアザのことをジロジロ見たり言ったりしなくて。いわゆる“大人の対応”だったと思うんですが、そのときに気づいたんです。『アザ=ネガティブなものと思い込んでいたのは自分だったのかも?』『コンプレックスで自分を縛ってたのは自分だったのかも?』って」
その後、素顔のままで投稿したSNSは、芸能人から「いいね」がついたことによって一気に拡散。多くの称賛とともに「人と違う」ことにコンプレックスを抱いていた人からは「勇気をもらいました」というコメントも寄せられ、RICACOさんの気づきは確信に変わりました。
「ありのままの自分でいることが、こんなにも人を前向きにできるんだと知ってから、コンプレックスだったこのアザが誇りに思えるようになりました。他の誰とも違う、私にしかない個性なんだって」
そんなRICACOさんのもとには自らのアザがある人のほか、「子どもにアザがある」という親からの相談も多く寄せられるといいます。
「私からお答えできるのは、まず心配してくれる親御さんの存在はお子さんにとっても心強いはずです、ということ。その上で『アザで産んでしまってごめんね』とか『かわいそう』とは言わないでほしい。その子の性格にもよるかもしれないけど、親御さんがドシッと構えていれば、意外とたくましく育つかもしれませんよ、とお答えしています」
■クラスの男子からの心ない言葉に囚われていた女性 「無理して普通に憧れるなんてコスパ悪すぎ」に至ったワケ
義眼で生活するリアルな日々を発信している義眼少女ぴぴるさんは、右目の眼球が育たない「小眼球症」の状態で生まれ、生後10ヵ月から義眼を装着して生活してきました。
「よく『生活に不便はないですか?』と聞かれるんですが、私にとってはこれが普通。生まれてから一度も両目でものを見たことがないので、ほかの方の“普通”とは比べられないんです。むしろ病気や怪我などで後天的に義眼になった方のほうが、ご不便な思いをされてるんじゃないかなと思います」
そんなぴぴるさんが自分が“普通”とは違うことに決定的に気づいたのは小学3年生の頃でした。
「クラスの男子から『目が変なやつ』と陰口を叩かれたり、『目の中どうなってるの?』と聞かれることがよくありました。子どもって遠慮がないから、平気でプライバシーに踏み込んでくるんです。純粋に知りたいのかもしれないけど、私にとってはそれがすごくストレスだったし、同じような思いを抱えてる義眼ユーザーの子もいると思うんです。だったら私が情報として『こうなってるんだよ』と見せてあげれば、傷つく子も減るんじゃないかと思ってYouTubeで公開するようになりました」
2019年5月にYouTubeチャンネル「義眼少女ぴぴる」を開設。義眼のメンテナンス方法や義眼メイクなど、義眼でより快適に生活する方法、視聴者の義眼についての疑問や質問に答える形の動画も多数投稿しています。
「『義眼って球体だと思ってました』というコメントはすごく多いですね。あるゲームで義眼がゴロッと出てくるシーンが有名みたいで。あとたまに『義眼カッコいい』というコメントもあります。アニメとか漫画で義眼キャラが特殊能力を持ってるように描かれることがあるからなのかもしれないですけど、『いやいや、そんないいものじゃないですよ』って思います(苦笑)」
自分の目は普通とは違う。そう自覚しながらも、学生時代は必死で“普通”を目指していたというぴぴるさん。やがて「無理して普通に憧れるなんてコスパ悪すぎ」という境地に至ります。
「学校という狭い社会で浮くのって怖いじゃないですか。だから自分を抑えて周りに合わせて、傷つくことを言われても聞こえないふりしてやり過ごしてたんです。だけどどう頑張っても“普通の目”にはなれない。結果が出ないことを無理して頑張るなんて『コスパ悪すぎ』だって気づいてからは、普通を諦めました。それよりも“普通”じゃない面を生かしたほうが、自分にとっても社会にとっても有益なんじゃないかなと考えるようになったんです」
現在、動画の更新はしばらく休んでいるが、YouTubeは今後も続ける意向だと話すぴぴるさん。「YouTubeを始めたことで、本来の自分に戻れたような気がします」と語ります。
「学生時代はなるべく目立たないように振る舞っていましたが、普通とは違うことにコンプレックスを抱く前はお遊戯会などが人前で表現することが大好きでした。義眼のほかにも自分にしかできないことを発信していけたらいいなと思っています」
【画像12枚】顔半分アザを持つRICACOさんと生後10ヵ月から義眼のぴぴるさん 幼少期から現在の姿
■「“みんなと同じ”に」カバーメイクでアザを隠し続けていた女性が見つけた“自分らしい美しさ”
「あるとき、長く伸ばした前髪でアザを隠そうとしたところ、それを見た母から『コソコソするな!』と怒られました。『あんたは可愛い。堂々としてなさい!』というのが母の口癖でしたね」
そんなRICACOさんにとっての転機は小4の時。通っていたミュージカルスタジオでの発表会で講師がアザを隠すカバーメイクを施してくれたのでした。
「とにかく“みんなと同じ”になれたことがうれしくてうれしくて。そこからカバーメイクを研究するようになり、中学校に上がってから大学を卒業するまでずっとアザを隠してきました。SNSで初めて素顔を投稿したときには、同級生も『知らんかったわ!』と驚いてましたね」
大学卒業後、憧れていた企業にダンサーとして就職したもののそこで働く条件は「スッピンで活動できること。何年もあざを隠し続けてきたRICACOさんは悩みます。
「それでもダンスを仕事にしたいという気持ちが強くて、エイヤッとスッピンで初出社しました。そしたら、誰もアザのことをジロジロ見たり言ったりしなくて。いわゆる“大人の対応”だったと思うんですが、そのときに気づいたんです。『アザ=ネガティブなものと思い込んでいたのは自分だったのかも?』『コンプレックスで自分を縛ってたのは自分だったのかも?』って」
その後、素顔のままで投稿したSNSは、芸能人から「いいね」がついたことによって一気に拡散。多くの称賛とともに「人と違う」ことにコンプレックスを抱いていた人からは「勇気をもらいました」というコメントも寄せられ、RICACOさんの気づきは確信に変わりました。
「ありのままの自分でいることが、こんなにも人を前向きにできるんだと知ってから、コンプレックスだったこのアザが誇りに思えるようになりました。他の誰とも違う、私にしかない個性なんだって」
そんなRICACOさんのもとには自らのアザがある人のほか、「子どもにアザがある」という親からの相談も多く寄せられるといいます。
「私からお答えできるのは、まず心配してくれる親御さんの存在はお子さんにとっても心強いはずです、ということ。その上で『アザで産んでしまってごめんね』とか『かわいそう』とは言わないでほしい。その子の性格にもよるかもしれないけど、親御さんがドシッと構えていれば、意外とたくましく育つかもしれませんよ、とお答えしています」
■クラスの男子からの心ない言葉に囚われていた女性 「無理して普通に憧れるなんてコスパ悪すぎ」に至ったワケ
義眼で生活するリアルな日々を発信している義眼少女ぴぴるさんは、右目の眼球が育たない「小眼球症」の状態で生まれ、生後10ヵ月から義眼を装着して生活してきました。
「よく『生活に不便はないですか?』と聞かれるんですが、私にとってはこれが普通。生まれてから一度も両目でものを見たことがないので、ほかの方の“普通”とは比べられないんです。むしろ病気や怪我などで後天的に義眼になった方のほうが、ご不便な思いをされてるんじゃないかなと思います」
そんなぴぴるさんが自分が“普通”とは違うことに決定的に気づいたのは小学3年生の頃でした。
「クラスの男子から『目が変なやつ』と陰口を叩かれたり、『目の中どうなってるの?』と聞かれることがよくありました。子どもって遠慮がないから、平気でプライバシーに踏み込んでくるんです。純粋に知りたいのかもしれないけど、私にとってはそれがすごくストレスだったし、同じような思いを抱えてる義眼ユーザーの子もいると思うんです。だったら私が情報として『こうなってるんだよ』と見せてあげれば、傷つく子も減るんじゃないかと思ってYouTubeで公開するようになりました」
2019年5月にYouTubeチャンネル「義眼少女ぴぴる」を開設。義眼のメンテナンス方法や義眼メイクなど、義眼でより快適に生活する方法、視聴者の義眼についての疑問や質問に答える形の動画も多数投稿しています。
「『義眼って球体だと思ってました』というコメントはすごく多いですね。あるゲームで義眼がゴロッと出てくるシーンが有名みたいで。あとたまに『義眼カッコいい』というコメントもあります。アニメとか漫画で義眼キャラが特殊能力を持ってるように描かれることがあるからなのかもしれないですけど、『いやいや、そんないいものじゃないですよ』って思います(苦笑)」
自分の目は普通とは違う。そう自覚しながらも、学生時代は必死で“普通”を目指していたというぴぴるさん。やがて「無理して普通に憧れるなんてコスパ悪すぎ」という境地に至ります。
「学校という狭い社会で浮くのって怖いじゃないですか。だから自分を抑えて周りに合わせて、傷つくことを言われても聞こえないふりしてやり過ごしてたんです。だけどどう頑張っても“普通の目”にはなれない。結果が出ないことを無理して頑張るなんて『コスパ悪すぎ』だって気づいてからは、普通を諦めました。それよりも“普通”じゃない面を生かしたほうが、自分にとっても社会にとっても有益なんじゃないかなと考えるようになったんです」
現在、動画の更新はしばらく休んでいるが、YouTubeは今後も続ける意向だと話すぴぴるさん。「YouTubeを始めたことで、本来の自分に戻れたような気がします」と語ります。
「学生時代はなるべく目立たないように振る舞っていましたが、普通とは違うことにコンプレックスを抱く前はお遊戯会などが人前で表現することが大好きでした。義眼のほかにも自分にしかできないことを発信していけたらいいなと思っています」