視聴者が「国民プロデューサー」となり投票でデビューメンバーを決定する日本最大級のオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」のシーズン1に出演した元練習生4名により結成されたボーイズグループ「OWV(オウブ)」。7月19日(水)に、セカンドアルバム『JACK POT』がリリースされました。

パワフルなパフォーマンスと、キレとコクのあるMCでファンを着実に増やしてきたOWV。コロナ禍にデビューを果たした彼らは、この3年間でどのような絆を結び、どのように進化してきたのでしょうか。インタビュー後編では、佐野文哉さんと浦野秀太さんにお話をうかがいました。

努力では手に入らない「阿吽の呼吸」

--デビューから3年が経ち、この春にはライブツアー「CASINO」を成功させました。デビューから変化してきた部分も多いと思いますが、現在のOWVの魅力は何だと思いますか?

佐野文哉さん(以下、佐野):表にバンバン出られないコロナ禍でのデビューだったので、いろいろ工夫してベースを固めていきました。その甲斐あって、絆が強くなったし、お互いの考えを阿吽(あうん)の呼吸で察知できるようになったと思います。それから、イベントに出たときの爆発力もOWVの魅力だと思います。「どの角度からでも、なんとしてでも爪痕残して帰るぞ」っていうスタンスが、毎回いい方向に転んでいるなって。

浦野秀太さん(以下、浦野):3年続けてきたことで、それぞれの個性が膨らんできました。ライブでも、個性がぶつかり合って良い流れが生まれることが多いです。「ちょっとクールなキャラをやってみたいな」とか、他の見せ方にトライしたい気持ちも芽生えてきましたね。

--他グループとは違う、OWVにしかない強みはどこにあると思いますか?

佐野:韓国発のオーディション番組出身ということで、そういった音楽にも違和感なくチャレンジできるところかな。K-POPのような音楽だけでなく、ジャンルレスに挑戦させてもらっているので、僕らはいい意味で、決まった枠のない、ハイブリッドなグループだと思っています。

浦野:先ほど文哉も言っていましたが、阿吽のテンポ感ですね。歌やダンスは、努力で上手くなったり成長したりできるけど、阿吽の呼吸って努力では成長できないところじゃないですか。そこが、OWVの一番の強みかなって思います。

メンバーを信頼しているから思い切ったムーブができる

--デビュー時と現在で、ご自身が変わったと思う部分はありますか?

浦野:キャラクターがしっかりしてきたし、垢抜けたなと感じます。写真フォルダを見返していると、デビュー時は「めちゃくちゃ格好いい」と思っていた写真が、今見たら「イマイチだな」って思うことがあります。特に、デビュー後1年くらいの間に撮ったものは、見返すのが恥ずかしいです。ポージングや顔の角度、パフォーマンスの仕方も、この3年で成長できているなって感じます。

佐野:僕は、踊り方が変わりました。オーディション時代やデビューしたての頃は、自分の得意なニュアンスで踊っていたんです。でも、今はわかりやすく目を惹くような踊りを意識しています。なぜなら、ダンスを知らない人が見ても「なんかすごい動きだね」と思ってもらわなきゃ、印象に残らないと思ったから。体が動くうちに、振り切れる部分は振り切っていきたいなって思うんです。

--なるほど。続いて、お互いの変わった部分についても教えてください。

佐野:秀太も、踊り方が変わったなと思います。デビュー当時と比べると「この人、ダンス苦手な人なんだ」って印象を受けなくなっているんじゃないかな。

浦野:嬉しい!

佐野:すごく研究熱心で、練習中は僕にめっちゃ質問してくるし、僕が踊っているところをめっちゃ見ているんです(笑)。うちの両親でも気がつくくらい、僕のニュアンスで踊っていることもあります。

浦野:文哉みたいな動きをしたいなって思うことも多いので、普段から、ダンプラやステージの動画をコマ送りで見て研究しているんです。

--スポーツ選手みたいですね!

浦野:ダンスを覚えるときや、振り修正のときも、スクショをしてコマ送りで見ています。「この動きどうやってやるの?」って文哉に聞きに行って、アドバイスをもらうことも。あまりに見すぎて、本田くんに「そこは文哉を参考にしないほうがいいんじゃないの?」って言われることもありますね。

--浦野さんから見て、佐野さんが変わったと感じるところは?

浦野:自分の個性を見つけて、それをどんどん伸ばしているなと感じます。OWVに足りないところを補ってくれるのも文哉ですね。

佐野:僕以外の3人は大人の立ち回りができるんですけど、僕はそういうことをあまり考えていなくて……。だから皆、僕の言動にヒヤヒヤする部分もあると思います(笑)。特攻隊長じゃないですけど、3人が踏み込めないエリアは、僕が先陣を切って進もうっていうスタンスで動いていますね。

浦野:それを、自分でちゃんとわかっているところも強いよね。

佐野:3人を信頼しているから突っ込んでいける、っていう安心感はありますね。「ダメでもリカバリーしてくれる」って思えるから、そういうムーブができるんです。

振付けを通して感じたデビュー時からの成長

--7月19日(水)に、セカンドアルバム『JACK POT』がリリースされました。ライブでしか聴くことのできなかった人気曲や、今春開催のツアー「CASINO」で披露した新曲を含む10曲が収録されていますが、その中でお二人のイチオシを教えてください。

浦野:僕は「Gamer」です。アルバムをリードする曲で、今までのOWVにはなかったような挑戦的なロックサウンドが気に入っています。パフォーマンスをしていても楽しいし、ライブでも映えそうですね。

佐野:僕も同じく「Gamer」です。デビュー曲でお世話になったkazukiさんに再び振付けしていただいたという点でも、この曲は特別なんです。3年経って、また一緒にお仕事できたことが嬉しかったですね。

--時間が経った後、また一緒に仕事ができるのって嬉しいですよね。kazukiさんに振付けをしていただき、デビュー当時と現在で何か変化は感じましたか?

佐野:デビューしたての頃は、グループのビジョンがまだ固まっていませんでした。とりあえず「いただいたものをしっかり消化しよう」「表現しよう」って精一杯で。今回は、OWVとして見せていきたい姿を、kazukiさんと話し合いながら作っていけましたね。

--ジャンルレスなサウンドで、繰り返し聴いても飽きのこないアルバムに仕上がっていると思います。QWV(キュウブ:OWVのファンネーム)の皆さんには、どんなシチュエーションで聴いてほしいですか?

浦野:プレイリストの順番にこだわっているので、一度は、1曲目の「Here & Now」からラストの「Better Day」まで通してほしい! 『JACK POT』というタイトルの通り、華やかでエモーショナルなサウンドを楽しんでいただきたいです。

佐野:3月からのライブツアー「CASINO」で、デビュー以降初めて声出しが解禁になったんですが、QWVの皆さんの歓声を聞いて「僕が目指していたアーティストってこういう感じだったな」と思い出しました。

僕たちは、それぞれ好きなように曲を受け取って、自由に盛り上がってもらいたいというスタンスを取っていて、あえて掛け声を決めていません。なので、ライブ会場を思い浮かべながらアルバムを聴いて「ここでこんな盛り上がり方をしたいな」ってイメージしてもらえたら嬉しいなと思います。

(取材・文:東谷好依、撮影:友野雄、編集:安次富陽子)