目黒駅周辺は、誰もが知る有名企業の本社が置かれるなど、“働く場所”としての存在感も強い。

今回は、そんな目黒を代表する企業のひとつ「ホリプロ」にフォーカス。

毎日を目黒で過ごすベテラン社員に、この街で働く魅力を聞いてみた!


人と人とがじっくりと長く付き合う街


タレントのマネージャーから始まり現在所属する人事部に至るまで、ホリプロ勤務歴19年目を迎える和田瑞希さん。

出産を機に住まいも目黒に引っ越し、公私ともに“目黒の人”である。

「目黒で働く利点ですか?難しいですね(笑)」と笑うが、まず挙げてくれたのが“街にいる人たちの人の良さ”だという。


「目黒は人情と坂の街。ホリプロ同様すごく温かな雰囲気です」

1976年に本社を目黒に移し、以降目黒の顔として存在感を放つ、大手芸能事務所ホリプロ。俳優、タレント、アーティストの発掘・育成をはじめ、ドラマや舞台の企画なども手がける。8月17日からは大ヒットミュージカル「スクールオブロック」日本版も上演予定


「目黒って“働く”か“暮らす”人がほとんどですよね。観光や買い物で外から来る人がほとんどいない街。だから、小さな個人店にもそれぞれ地元の常連客がいて、距離も近いんだと思います。

駅前にタワマンこそできましたが、総じてみると、変化が少ない街だなと。人の出入りもそんなに多くないから、人間関係が長く続くんです」

長く通う店では、「元気?」、「子どもはいくつになった?」と、家族のように温かく迎えてくれることが日常茶飯事だという。

そんな長い付き合いはホリプロとお店にも、多く刻まれている。



目黒駅西口にA館からD館まで4つの社屋を構える。写真のB館は元々本社だった場所で、和田さんの思い入れが深い棟だとか


「お隣の『香港園』は、例えば新しくタレントが所属したら、まずごはんに行く場所。

メグロードにあるイタリアンの『パセリ』もホリプロで代々受け継がれていて、社員との遭遇率がすごく高いんです。私もつい先日、上司におねだりして、久しぶりに連れて行ってもらったばかりで(笑)」


「食の充実度が高くて、どこもコスパがいい。そして何より人がいい街です」


食の豊かさは、主要駅であれば、枚挙にいとまがないが「目黒は美味しい店がギュッと密集している印象。そして、本当に価格帯が丁度いいなと思います。

私はワインが好きなので、例えば『古澤亭』さんみたいに、料理も美味しくて、お酒も豊富。でもコスパもいい、そんなお店が多い印象です」とのこと。


都心なのに便利で楽ちん。等身大が許される

家も目黒にしたのは「仕事も育児も全力で頑張りたいから」と話す、和田瑞希さん。2005年に入社し、人気女優などのマネージャーを担当。その後、宣伝部などを経て、現在は人事部のチームリーダーとして活躍中


ホリプロでさまざまな職種を経験してきた和田さん。

現在は人事部所属ということで外に出る機会は少ないが、マネージャー時代は、この立地に助けられたとか。

「テレビ局や出版社など、あらゆる場所に出向いていたので、JRも地下鉄もあるアクセスの良さには助けられました。

また、車移動も多かったので、首都高に入りやすいのも利点でした。大きな道路へのアクセスがいいという点では、車で動く人にとって、格好のいい場所だなと思いますね」

現在は会社での業務がメインのため、日々、自宅から会社までの10分を歩いて通っている。

「こう、肩肘張らずに街を歩けるのは、私にとっていいことですね。お洒落過ぎる街だと、身構えちゃうじゃないですか(笑)。

普段は会社より坂を下ることは滅多にないんですが、春は目黒川まで桜を見に行ったり、ホリプロの横の坂は晴れていると富士山が見えるんですよ。

そもそも、街に坂が多いので、自転車に乗っているとすごく運動になるんです」



「ホリプロ」横の坂には「富士見茶屋と夕日の岡」と書かれており、富士山を望む名所として数々の浮世絵にも登場している。和田さんお気に入り


住んでいるからこそ分かる、住人の特性も顕著だという。

「経済的に豊かな方が多い印象です。子どもが区立の小学校に通っていますが、中学受験率が高くて驚きます。

親御さんの職業を聞くと経営者やご夫婦でお医者様など珍しくないですし、タレントさんもよく見かけます。規格外にリッチな方が多くて“都心”を感じます(笑)。

でも、服装や持ち物は派手じゃないんですよね。どこか“品の良さ”を感じさせる人が多いです」

そんな洗練された人々が集う街だからこそ、落ち着いた空気がある。

和田さん曰く「便利で楽で居心地がいい街」だとか。なるほど、だから目黒には等身大の居心地の良さを感じるのかもしれない。

そして、人と人が深く繋がるから、その心地良さから離れられなくなるのだ。

「最近、新卒採用で面接する学生たちが“目黒によくごはんを食べに来ます”と言うんです。聞けば、安くてお洒落な店が多いから、と。若い世代にも、そう映っているんだと逆に教えられました(笑)。

そんな目黒で働きたい人は、ぜひ『ホリプロ』の門戸を叩いてくださいね(笑)」

さすが、人事部のチームリーダー。目黒で働く、アリです!


目黒に自社ビルを構える「ホリプロ」の強さの源泉とは?


売れっ子芸能人を数多く抱えるホリプロ。名刺の裏には読めないほどの小さな文字で、タレントの名がズラリ。

あえてタレントのジャンルを限定しないのも戦略だとか。




所属タレントの活動や事業などを紹介した広報誌『ほらいずん』。

社員が日々持ち歩き、現場で配布する“草の根営業”も欠かさない。


目黒歴19年の和田さんに聞いた「こんな時のこんな店」

Q.ひとりでランチするなら?

――A「東口にある『アント・ミミ』」




昼は定食カフェ、夜はナチュラルワインとおばんざいを提供するワインバーに。




「いつも女性客でいっぱい。洋風とん汁やオムライスがお気に入り」

ランチは1,100円〜(5月よりランチ休止の可能性あり)。


Q.みんなでランチするなら?

――A「メグロードの中華『陳民』」




近隣で働くビジネスマンやOLに人気の35年の歴史を誇る町中華。




「お店に行くといつも店主のご家族が挨拶をしてくれる、なじみの一軒です。夏の『冷やし坦々麺』が大好き」

写真は坦々麺(900円)。


Q.個室で接待できる店といえば?

――A「創業69年目の老舗『香港園』」




行人坂沿いに建つ、ホリプロのそばにある中華の老舗。




「3階建てでお店が広いので、お客様との会食で個室を使ったり、会社の新人歓迎会を開いたり、昔から会社ぐるみでお世話になっています」


Q.目黒のB級グルメといえば?

――A「『スパゲティ ダン』の「たらこスパ」」




1976年創業のハシヤ系スパゲティ屋。「たらこスパ」(930円〜)は店の代名詞。




「入社時代から通う大好きな店で、時々無性に恋しくなる。自宅にも持ち帰り用のたらこソースを常備しています(笑)」


Q.目黒の手土産といえば?

――A「『OGGI』の「ショコラ デ ショコラ」」




目黒川沿いに本店を構える洋菓子店。




「濃厚で上品なチョコレートケーキやオレンジピールが名物。目黒駅のアトレにも店舗があって、急に手土産が必要になった時にも重宝しています」。2,268円〜。