港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区。

通称「都心5区」。このエリアは、東京でもずば抜けて不動産価値が高い。

日本の高級住宅街を抱えるこのエリアに住めるのはもちろん、“選ばれし者たち”のみ。

特に、人生のステージが変わってゆく女たちの欲望はいつも尽きない。男、仕事、年収、プライベートの成功を“すべて”手に入れたいと思っているのだ。

飽くなき欲求を内に秘めながら、白鳥のように美しくあろうと足元でもがき続ける彼女たちの生態とは?

「パーフェクト・ウーマン〜都心5区の女たち〜」一挙に全話おさらい!



第1話:「あとは御三家合格」中央区の女の“完璧な人生計画”

早稲田大学を卒業後、総合商社に新卒で入社した由紀子は、同僚だった夫と結婚した当初から人形町に住んでいる。

結婚の翌年にはひとり息子の裕太を出産し、今は分譲マンションで夫と息子と3人暮らし。キャリア、恵まれた年収、夫に子ども…。由紀子には、世の中の女性が欲しいと思うものすべてを持っている、という自負があった。

そして最近では、続けてこう思うようになっていた。

― これで、裕太が志望校に合格すれば…私の人生完璧で言うことないわ。何としてでも、裕太を御三家に入れないといけない!

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第2話:「誰よりも目立ちたい!」代々木上原在住のメディア女子。アンチ被害をある男性に相談するが…

― 周りも、そして自分もメディアに出る人間なのだから住む場所は大事。言って恥ずかしくない場所に住んでないと。

こんな価値観を持つ優子が代々木上原に住んでいる理由は、周りのメディア関係者が多く住むエリアであること。そして、誰から見ても恥ずかしくない場所ということだった。

そういった理由でこの場所を選んだが、いざ住み始めると閑静でありながらもオシャレなお店も多く、代々木上原という街をとても気に入っている。

ポール・シェリーのバスオイルを入れた湯舟につかりながら、優子はぼんやり考える。

― もっと、もっと目立ちたい。1人でも多くの人に認められたい。次は、何しようかな…。

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第3話:「仕事で評価されないなら、子どもを産むしか…」港区在住・外資金融勤務の女が招いた想定外のミス

仕事に便利という理由から、東京のど真ん中である港区に住んでいる。こうして平日の夜に夫婦仲良くレストランで食事する姿は、幸せそうな夫婦に見えるだろう。

理子自身、週に2回はプライベートジムに通い、今年で36歳になるとは思えないほどスレンダーな体形を維持。だから、賢司と変わらない若々しい見た目を保っている自信がある。しかし、理子はいつもこう思っていた。

― なぜ、私は何かが満たされないのかしら…。人が欲しいと思うものは何でも手に入れてきた。もっと私は自分に満足していいはずなのに。

心の奥底で、いつもこうして不満を抱えていたのだった。

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第4話:「男性の庇護欲をかき立てたい…」完璧な計算で、夫と九段下の高級マンションを手にした女の誤算とは?

「2人とも幸せそうでいいわね〜!麻奈美さんって、本当にいい奥さんになりそうだわ」
「ホントに、こんなに可愛らしい人なんて、お前にはもったいないぞ!」

先輩夫婦が発する言葉に、康史も照れを隠せないでいる。その隣で小さく微笑む麻奈美の様子は、周りから見たら淑やかな妻そのものだろう。しかし、麻奈美の心の中はこうだ。

「予定通りに結婚して、都心住まいをゲットしたし、私の人生順調!もっと上を目指していかないと…」

ローストビーフとワインをいただきながら、麻奈美は次の一手に思案を巡らすのだった。

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第5話:「出世興味ないってウソだったんだ」異例の昇進を遂げた29歳女が、嫉妬の的になってしまい…

時計を見ると23時近く。恵のデスク周りにはもう誰も残っていなかった。

オフィスから徒歩でしばらく歩いた先にある市谷のマンション。ここが恵の住まいだ。

調査に論文作成にと、1日中脳をフル回転させて働いているため体は疲れているが、好きな仕事ができていることで気持ちは充実している。

この夜の疲労感も、何だかんだ言って恵は嫌いではなかった。市谷に住んでいる理由は、職場からのアクセスを考えてというシンプルな理由に他ならない。恵はそれくらい、今の仕事が大好きなのだ。

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第6話:勝どきのタワマン在住、破格の待遇で転職したワーママ。仕事と家庭も絶好調と思いきや…

「タワマンに憧れるなんてダサイ」「地方出身にありがちなミーハー根性丸出し」などと周りから思われたとしても、人生で1度はタワーマンションに住んでみたいと思っていたのだ。

しかし、タワーマンションならどこでもよかったわけではない。

「タワマンの聖地」と呼ばれる豊洲ではなく、ここ中央区・勝どきにしたのも、都心5区に住むことへの強いこだわりがあったから。

豊洲は、勝どきから晴海大橋を渡ればすぐの距離だ。しかし、この“晴海大橋を渡るか渡らないか”の違いは、あたかも国境を越えるかのように、奈津子にとっては大きな違いだったのだ。

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第7話:「カレンダーは予定でびっしり!」多忙に過ごす28歳OL。ある日、彼女の身に異変が起きてしまい…

「仕事も、プライベートも、恋愛も頑張って、早く結婚して子どもを産んで、周りから憧れの存在になりたい!」

そう考えていた麻衣は、根が真面目なこともあって、恋愛と趣味にも一切手を抜かない性質だ。

そして、すべてを完璧にこなすためには、アクセスの良い場所に住み、効率よく過ごしたいと思うのは自然なこと。そのための恵比寿のマンション費用など、惜しむはずはなかった。

麻衣のスケジュール表は、平日のみならず土日も予定で埋め尽くされている。

しかし、麻衣はそれを窮屈だと思うことは決してない。それどころか、スケジュールで埋め尽くされ空きがないことが、麻衣にとっては快感で仕方なかったのだった。

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第8話:「麻布十番の家賃も習い事も両親のおかげ!」港区女子の価値観が、弟の婚約者の登場で一変し…

麻布十番に住んでいるので、フットワークはもちろん軽い。

真緒は大学時代から、お金のある男性が集うお食事会によく参加していた。

ご馳走になったり貢いでもらったり、楽しい時を過ごしていたが、6月に30歳を迎えようとしていた。

― 大学の頃は、27歳くらいには結婚して、今頃子どもを産んでいるはずだったのに…。

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第9話:「結婚できないなら出世でもしないと」30歳の金融女子が、友人の“ご報告”に追い詰められてしまい…

春香の住まいは、正確には千代田区神田錦町だが、最寄り駅は大手町。しかも、使える駅は大手町だけではない。神田駅や神保町駅、小川町駅など、1km圏内に何駅もあり、多くの路線を使うことができるのでアクセスにはまったく苦労しない。

春香が大手町に住んでいる理由は、職場に近いこと。加えて、最近はコロナ禍で回数は減ってはいるものの、出張するには東京駅が便利だからだった。

スーパーも小規模ながら、いくつかあるので生活にはまったく不便がない。しかし…。

ただ便利というだけで色気のない大手町の住環境に、30歳を迎えた春香は少しずつ焦り始めていた。

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第10話:「銀座を卒業しなければ」29歳女が同級生に恋するが、“ある疑念”に邪魔されてしまい…

中央区明石町。ここは、聖路加国際病院や銀座クレストンホテル、オフィスビルなどが立ち並ぶ閑静なエリアだ。

平日の昼間は人通りが多い一方で、夜間や休日はとても静かで居心地がよい。家賃も中央区の中では1、2を争うほど高く、治安も抜群によいエリアだ。

友里が明石町に住んでいる理由は、銀座から近いからに他ならない。

同僚も皆、明石町や築地などの中央区エリアに住んでいて、中にはマンションを保有している子もいる。

コロナ禍ではあるが、友里の勤める店は何とか売上をキープしていた。だが、それでも将来に不安がないわけではない。

「私、いつまでこの生活を続けていいのかな…」

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第11話:「お金持ちと結婚して優雅な生活を手に入れたのに」元モデルが南平台町の高級マンションで苦悩するワケ

舞子の夫の悠太は会社を経営しており、家を不在にすることが多い。ふたりにはまだ子どももいないため、舞子は自由気ままに過ごしている。

傍から見たら、おそらく“優雅な生活を送る主婦”と見えるのだろう。しかし時折、舞子は思うのだ。

― 欲しいものは全部手に入れたけれど、私はこのままでいいのかな…。

舞子は、漠然と気がついていた。

30年近く生きてきたというのに、自分の人生がどこか薄っぺらく、奥行きもないことに…。

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