上手なプランター選びで家庭菜園を快適に!栽培を成功させるコツも紹介【ベランダ菜園におすすめの野菜&ハーブ #24】

教えてくれた人

プランターで野菜を育てるメリット

ーー急激に寒さが増して、ベランダ菜園も小休止かなぁという季節ですね。春に向けて、今のうちに何か準備をしておいたほうがよいことってありますか?

龍 慶介さん(以下、龍) 確かに植物も成長がゆるかになり、育てる楽しみは少し減ってしまいますよね。そんな今の時期におすすめしたいのが、プランターの準備です。プランターって植えるときに慌てて準備する方も多く、統一感がなかったり、サイズがバラバラで重ねて保管できないという後悔の声もよく耳にします。

何を育てたいか考えながら、お気に入りのプランターをゆっくりじっくり探すなら、今の時期がおすすめですよ。

ーーすっごく素朴な疑問なんですが、プランターってベランダ菜園には必須なんでしょうか?

龍 もちろん、地植えのほうが植物にとってよい環境と言えます。でも、持ち運びができて土を交換できるという利点は、プランターならではですね。地植えした植物は大きく育ちますが、その分場所も取ります。プランターなら小スペースで楽しむことができるので、家庭菜園にはピッタリです。また、数種類の植物を寄せ植えできるのもプランターでしか楽しめないことですね。

プランターと鉢の違い

ーーもうひとつ、根本的なことを教えてください……プランターと鉢の違いってなんですか!?

龍 あはは(笑)そんなに恐縮しなくて大丈夫!意外と知らない人も多いんですよ!実は、植物を入れる容器はすべてプランターと呼びます。鉢は、主に陶器(素焼き)でできた丸形のプランターを指すことが多いですね。

最近のプランターは、おしゃれなものやコンパクトに収納できる機能性の高いものなど種類も豊富です。種類によって特徴も異なるので、知っておくと植物の良好な成長にも繋がりますよ!

プランターの選び方

素材の種類

ーーどんな種類のプランターがあるんですか?

龍 一般的な素材としては、プラスチック、素焼き(陶器)、木製、布製のフェルト、ブリキのプランターがあります。材質や形状によって植物の育て方が違うので、いろいろと試してみてください。

どの素材のものでも、規格が同じものを買いそろえておくと重ねて収納できるので収納場所も困りませんよ。

プラスチック

ーープラスチックのプランターの特徴と、栽培に向いている植物を教えてください。

龍 薄さによって耐用年数は異なりますが、3~7年ほど使える比較的丈夫なプランターです。ただし太陽光で劣化するので、ガンガン陽が当たる場所だと早く壊れるおそれもあります。購入する際、持ち手を持ったときに歪むものも劣化が早いので避けたほうが無難でしょう。

水分を逃さないので、水やりをサボりがちな人はプラスチック製がよいでしょう。また、こだわりがない方もプラスチックのプランターを使えば間違いありません。保温性がよいので、どんな植物でも上手に育ちます。もっともオーソドックスなプランターと言えますね。

陶器(素焼き)

ーー陶器のプランターの特徴と、栽培に向いている植物を教えてください。

龍 陶器は耐年数が長いので、大切に扱うと何十年も使うことができます。太陽光を防ぐので根腐れしにくく、初心者向きのプランターと言えるでしょう。

陶器は材質的に水が抜けやすく乾きやすいので、湿気が苦手な植物に向いています。何年も植え替えの必要がないサボテンや盆栽、アガベなどの観葉植物が該当しますね。ただし外側に漆が塗ってあるもの(光沢があるもの)は水抜けしないので気をつけましょう。

木製

ーー木製のプランターの特徴と、栽培に向いている植物を教えてください。

龍 3年ほどで朽ちてしまうので長持ちはしません。自然の形状のものが多いので収納性はあまりよくありませんが、木のぬくもりを感じるデザイン性の高さが人気です。

また木製のプランターは熱を伝えないので、根痛みしません。夏場の暑さに限らず、冬場の冷え込みの影響も受けにくく、実はベランダ菜園に一番向いているプランターなんです。どんな植物でも上手く育ちますよ。

フェルト

ーーフェルトのプランターの特徴と、栽培に向いている植物を教えてください。

龍 畳んで片付けることができる収納性の良さが大きな特徴です。2~3年経つと苔が生えてきたり型崩れしたりするので、耐用年数は短いです。でも使えなくなったら燃えるゴミで捨てられるのは便利ですよね。

水抜けがよいので、さつまいもや大根などの根菜類に向いています。

ブリキ

ーーブリキのプランターの特徴と、栽培に向いている植物を教えてください。

龍 水抜けの穴が空いていないものが多いため、穴をあける加工が必要です。ブリキ自体は劣化しないので、10年は使うことができますよ。

丈夫でおしゃれなものが多いですが、熱を直接伝えてしまう性質があるので、すのこなどの下敷きを敷いたり、寒い時期は寒さに強い植物を植えたりなど工夫と調整が必要です。ほとんど水やりをしなくてもいいサボテンや多肉植物の寄せ植えに使われていることが多いですね。

プランターの形

ーープランターの形による違いはありますか?

龍 そうですね。大きく分けて5つに分類されるので、それぞれの特徴を説明しましょう。

長方形の深型:植物を選ばず育てることができる。初心者向き
長方形の浅型:葉物植物を育てるのに適している
スクエア型:トマトや茄子など、ひとつの植物を育てるのに適している
丸の深型:ひとつの植物を育てるのに適している。丸い行燈型の支柱で螺旋状に育てたい人におすすめ
丸の浅型:ハーブの寄せ植えや葉物系の野菜を育てるのに適している

浅型向きの植物を深型に植えることはできますが、深型向きの植物は浅型プランターには植えられません。困ったときは深型のものを購入すると、使い回しもできるので便利です。

プランター栽培を成功させるコツ

ーープランター栽培を成功させるコツってありますか?

龍 育てる植物について、水やりの方法や肥料の量など調べることが大切です。植物は子育てに似ていて、毎日見ていると植物の表情を見て何が必要なのか分かってきます。むずかしく考えたりしないで、「失敗してもまたチャレンジしよう」くらいの気持ちで楽しむことが大切ですよ!

プランター購入時にやったほうがいいこと

ーープランター購入時にやったほうがいいことはありますか?

龍 プランターの容量って意外と大切な情報なんですが、容量が書かれたシールってすぐに剥がしたり勝手に剥がれたりすると思います。なので容量を忘れないように、目立たないところにマジックで書いておくことをおすすめします。もしくは、ネームタグに書いて挿しておいてもいいですね。

鉢底石は必要?

ーー鉢底石を敷くのをたまにサボってしまうんですが、絶対必要なんでしょうか?

龍 鉢底石を置くことで土の中に空気が入り込みやすくなり、水抜きにも繋がります。根腐れや植物の病気を防ぐ重要な役割があるので、失敗せず育てたいなら用意してほしいですね。

ーーお店に売っているものって意外と高くて……。家のまわりの砂利で代用しちゃダメですか?

龍 鉢底石は、排水穴が塞がる程度あれば充分なんです。底いっぱいに敷き詰めなくても大丈夫なので、少量購入すればOKですよ。サイズは親指の先くらいの大きさで、空気を通す軽石などの材質が適しています。砂利よりも、やっぱり購入したもののほうがよいですかね(笑)。あっ、鉢底石がいらないプランターもあるので、それもおすすめですよ。

また、洗濯ネットやみかんのネットなどに石を入れて底に置くと、片付けるときや土の入れ替えの際に処理が楽になります。

プランター購入時に一緒に買いたいもの

ー一プランターとセットで買っておいた方がいいものはありますか?

龍 支柱はネットで購入すると送料が割高になるので、プランターと一緒にお店での購入がおすすめです。プランターに合った支柱で、150cmほどの長さがあればどんな植物でも応用が利きます。どれが合うかわからない場合は、プランターと支柱がセットになったものを購入するとよいでしょう。

また無農薬で育てたい方は、防虫ネットも一緒に購入しましょう。量り売りで買えば安く手に入れられますよ。

自作のプランターもおすすめ!

ーー龍さんイチオシのプランターがあったら教えてほしいです!

龍 僕は最近、無印良品のスクエア型のケースに、ドリルで穴を開けたプランターがお気に入りです。

ーーえっ!手作りされるんですか!? ぜひ作り方を教えてください!

龍 まず排水穴を作る必要があります。親指と人差し指を輪にしたOKサインの穴が底面の真ん中に一個あれば、それでOK。サイドに穴を作る方法もありますが、その場合は小指幅くらいの穴を二個、側面の下の方にあけましょう。

どんなものでも排水穴さえあけてしまえば、なんでもプランターにすることができます。ぜひお気に入りのものを見つけて、オリジナルのプランターを作ってみてくださいね!

お気に入りのプランターでベランダ菜園を楽しもう

材質や形状によって特徴の異なるプランター。育てる植物や環境、育てる人の性格などによって、適するプランターがあるというのは新しい発見です。

「もし今の季節、持て余しているプランターがあるなら春を待たずになんでも育ててみてほしいです。失敗するのが嫌なら、スーパーで買ったネギやニラの根を挿したり、豆苗を植えるのがおすすめですよ。寒さにも強いですからね」と龍さん。

お気に入りのプランターを見つけて、ぜひ気軽にベランダ菜園を楽しんでみてはいかがでしょうか。

取材・文/鎌上織愛