【今週のボヤき】

30歳の後輩がいるのですがことあるごとに「もうオバさんだから」と自虐的なことを言ってきて反応に困ります。最初は35歳の私に対する嫌みなのかなと思ったのですが、そこまで頭が回るタイプではないので、本気で自虐を言っているんだと思います。

自虐を言うなというわけではありません。私も友人に会ったときは自虐的なことを言うし、くだらないことでゲラゲラ笑っています。ただ、彼女たちは自虐を言っても周りを変な空気にしないというか、笑いに変えたり、ユーモアを感じさせることを言ってきたりするので話してて楽しいです。

件(くだん)の後輩はこちらが受け答えに困る感じで、別の上司も「ああいうこと言われると何て言っていいか分からないよね」と困惑していました。私としては「あまり周りを困らせるんじゃないよ」と言いたいのですが、スルーするしかないのでしょうか?

自虐ネタは共感の笑い

自虐ネタって共感の笑いなんですよね。

例えば「私はもうオバさんだから」という自虐ネタをしたとして、それを笑う人は少なからずその人のことをオバさんだと思っていた人で、

例えば自らの容姿を自虐ネタにしたとして、それを笑う人は少なからずその人のことをブスだと思っていた人で、

自分からは決して言えないタブーな気持ちを、その人が自ら「自虐ネタ」としてカミングアウトするさまが面白いわけで、そこに「共感」がなければ笑いにはならないんです。

周りの人が自分をどう見てどう思っているのか、その本心を知らなければ自虐ネタで笑いは取れないわけで、自己分析と他者分析の両方が正確にできていて、初めて自虐ネタは成立するというわけですね。

微妙な自虐ネタは試し行動の一つ

特別美人というわけでもないし、特別ブスというわけでもない人の「私はブス」的な微妙な自虐ネタとか、若者と言うには熟れ過ぎていて、オバさんと言うには若過ぎる、微妙な年齢をした人の「私はオバさん」的な自虐ネタとか、あれって笑ってほしいわけではなく、一種の試し行動みたいなもので、その自虐ネタを笑われたら「あ、やっぱりそう思っていたんだ」と自覚する材料にしようとしているだけ。

自分でも美人なのかブスなのか測りかねているんですよね、自分でもまだ若者なのかもうオバさんなのかを測りかねているんですよね。

自分は一体何者なのか、それが自分でもイマイチ分からないから不安になり、他者評価に判断を委ねて、中途半端な自虐ネタで様子を見ているというわけです。

笑われたら自虐ネタとして自己防衛すればいいし、「そんなことない」と言われたらそれはそれでうれしいし、どっちに転んでも傷つくことがないので試し行動として自虐ネタは使い勝手がいいんです。

だからSNSとかでも「ちょーブスに撮れた(泣)」とか言いつつめちゃめちゃキメにいった渾身の自撮り写真をアップするブs……女が後を絶たないんですよ。

そんな微妙な自虐ネタには「そんなことないよ」と優しい言葉を掛けてあげるのが人としては正解なのですが、なんか鼻につくのが我慢ならないという人はぜひ「え? なに?」と聞き返してあげてください。

同じネタを二度繰り返して言うことほど恥ずかしいことはありませんからね。

一度恥をかかせればもう二度と微妙な自虐ネタに付き合わされることはなくなりますよ。